釣りにおいて恐ろしい敵、毒魚。釣り経験者の中には毒魚のせいで痛い思いをした人もいるのではないだろうか?
釣り経験がない人の中には毒魚が怖くてなかなか始められないという人もいるだろう。
かくいう私も同じで、毒魚を学ばない状態で海釣りを始めるのが怖く、やってみたいものの、なかなか始められないジレンマを抱いた時期があった。
ということで、釣れてしまう主な毒魚を紹介しよう。
この他にも毒魚はいるので知らない魚をむやみやたらに触らない事は大切ではあるが、あくまで目安として覚えて欲しい。
刺されると危険な魚
アイゴ

夏場にチヌ釣りやサビキ釣りの外道として釣れることが多い。背ビレ、腹ビレ、尻ビレなどほとんどのヒレに毒トゲがある。
刺されると患部が腫れ、鈍痛が1日以上続き、釣りどころではなくなる。アイゴの毒トゲはグローブをしていても貫通するほど鋭い。
対処法
釣れてしまったらフィッシュグリップなどで掴んで処理しよう。ちなみに、内臓に独特の磯臭さはあるがしっかり処理すれば美味しく食べられる。

アカエイ

投げ釣りやヒラメ狙いの泳がせ釣りの外道としてヒットすることが多い。置き竿にしていると竿ごと海中に引きずり込まれるケースもある。
長いシッポの付け根に強力な毒バリを持っており、魚体が大きいだけに毒の量も多く傷口も大きいため刺されると重症化することもある。死亡例もあるほどだ。
対処法
掛かってしまったら無理に引き上げずになるべく手前に引き寄せたところで道糸を切ってしまうのが無難だ。
ハオコゼ

サビキ釣りや投げ釣りの外道で釣れることがある。背ビレ、胸ビレ、尻ビレに毒トゲがあり、刺されると鈍痛が半日〜1日続く。
色や姿がカサゴによく似ており間違いやすいが、成魚でも体長5〜10cmと小さいので、小さいカサゴが釣れたと思ったらとりあえず触らないように注意しよう。
また、オコゼには他にも仲間がいる。同じく毒を持っているので注意だ。


対処法
背ビレのトゲは鋭く、タオルは簡単に貫通するので無理に掴まず、プライヤーなどを使ってハリから外してリリースしよう。
オニカサゴ・ミノカサゴ


またカサゴと言っても油断はできない。毒を持っている魚種もいる。オニカサゴなどは背ビレ、腹ビレ、尻ビレなどに猛毒を持っている。英名ではスコーピオンフィッシュと呼ばれているほどだ。
ミノカサゴは背ヒレに毒を持っており、刺されると激しい痛みに苦しむので、注意が必要。
対処法
各ヒレに気をつけながら、プライヤーでハリを外してリリースしよう。フィッシュグリップなどがあると外す時に便利だ。
ゴンズイ

ゴンズイは海にすむナマズの仲間である。群れで移動するため、投げ釣り仕掛けに一荷で掛かったりする。愛嬌のある見た目に反して、背ビレと胸ビレに強い毒トゲを持ち、刺されると患部に激痛が走り、最悪の場合刺された部分が壊死してしまうこともある。
対処法
ハリ掛かりしたゴンズイをハリから外すときに、知らずに手づかみして刺されるケースが多い。対処自体は他と同じく掴まずにプライヤーで外せば良いが、家族で釣りに行ったときは子供が触ったりしないように気を付けよう。
ヒョウモンダコ

成長しても10㎝ほどにしかならない小さいタコだが、フグと同じ猛毒のテトロドトキシンを持つ。毒性の強さは青酸カリの850〜1000倍で致死量は1〜2mg。
噛まれると最悪の場合死に至る。興奮すると鮮やかな青い輪が体表に浮かび上がる。生息域は南日本海域とされていたが、近年の温暖化にともない生息域が北上しており、日本海側や関東近郊でも発見されている。堤防で釣れる可能性もあるので注意しよう。
対処法
エギなどにかかって振り落として外せそうなら外しても良いだろうが、無理なら道糸を切ってしまおう。間違っても無理に外そうとしてはいけない。
食べると危険な魚
ソウシハギ

カワハギ科の魚で内臓にパリトキシンという猛毒を持つ。この毒はフグ毒の数十倍の毒性があり、食べると手足の痺れや呼吸困難を引き起こし、最悪の場合は死に至る。
亜熱帯海域に生息する魚だが、近年の温暖化の影響で日本各地に分布域を広げている。ウマヅラハギに似ているので間違えないように注意しよう。体色は全体的に黄色で黒い斑紋と青い波模様が入る。尾ビレは大きく、広げるとうちわのような形状になる。よく見るとウマヅラハギとは全く違うのが分かる。
フグ


※フグは見分けが付きにくいので、全てにおいて食用することは避けたい。
エサ盗りの代表格で、堤防からの様々な釣りで外道として掛かる。フグ毒の怖さは広く知られているが、それでも毎年のように釣り人の死亡例が報告されている。
そもそも免許を持たずにフグを調理するのは違法。フグ毒の多くは主に内臓の各部位にあるため内臓を取り除けば大丈夫だと思っている人が多いが、種類によっては皮膚や身にも毒を持つものがいる。なので処理する時もなるべく触らずプライヤーでハリを外してリリースしよう。クサフグのように小さくても毒の強さは変わらない。また、貝を噛み砕くほどアゴが強いので、噛まれないようにも注意しよう。
ウナギ

知らない人は意外に思うかもしれないが、実はウナギの体内にも毒がある。血液中に「イクチオヘモトキシン」という毒素を含み、食べると下痢、嘔吐、呼吸困難などを引き起こし、大量に摂取すると死亡することもあるのだ。
ただしこの毒は熱に弱く、60度で5分加熱すれば分解され毒性がなくなる。ウナギが刺身で食べられないのはこの毒素のせいである。ウナギの粘膜にも毒があるので、釣れたときは手で直接触らないよう気を付けよう。ちなみにアナゴの血にもウナギよりは弱いが毒はある。
刺されてしまったら
アイゴ、アカエイ、ハオコゼ、ゴンズイなどに刺された場合は、患部を綺麗な水で洗い流し、火傷しない程度のお湯に患部を浸すことが有効とされている。
これらの魚の毒はタンパク質で構成されており、60℃以上の温度で分解されるためだ。ただし、あくまでもこれは応急処置なので、手当を終えたらすぐに病院へ向かおう。
堤防上に放置しない
毒魚は釣れても歓迎されず、リリースされることが多い。海に帰すのは全く問題ないが、腹立ちまぎれに堤防に放置する釣り人の姿も目にする。
誰かが誤って踏んでしまったり、毒があると知らない子供が触ってしまう可能性もある。放置は絶対にやめよう。