PEラインの優位性と加工による特性の違い

PEラインの登場により、釣りを取りまく世界は劇的な変化を遂げました。ことルアーフィッシングにおいて、その浸透は広く、早く、現在ではソルトルアーのメインラインといえばPEというのがもはや常識となっています。

それまでメインラインとしての地位を築いてきたナイロンラインと比べると、PEラインはまず感度が圧倒的に優れています。

PEラインは、ナイロンやフロロカーボンラインと比べて低伸度(伸び率が低い)というのが特徴の一つです。伸びないため、何十mも先のわずかな変化が手元に伝わりやすい。つまり感度が良いのです。

魚のアタリを感知するためにウキを使わないルアーフィッシングでは、ターゲットの反応を知るための手段はラインを伝わってくる感覚だけです。

アタリだけではありません。ルアーの動きや潮の変化、海底の地質など、ラインを通して感じ取る情報は非常に多いです。それゆえ感度の良いラインが求められるようになります。

また、PEラインは引っ張り強度がナイロンやフロロカーボンラインと比べて圧倒的に強いということも、メリットとして挙げられます。同じ号数であれば3〜4倍程度強いと言われています。

高性能なラインの出現により、釣りは劇的な進化を遂げました。

ラインに記載されている号数は、ナイロンやフロロカーボンラインでは太さ、PEラインは重さがその基準となっています。それに対してlbは引っ張る力に対する強度を示しています。同じ号数であってもlbの数値は違います。より強度の高いラインを選べば、同じ強度を確保することを目的とした場合、もっと細いものを使えるということになります。

細いラインのメリット

ラインを細くするとさまざまなメリットが発生します。ラインの放出量が多い、オフショアフィッシングで考えた場合、一番大きなものは潮の抵抗を受けにくくなる、つまり潮切れが良くなるということです。

海の中では常に潮流の影響を受けています。ルアー自体はもちろん、ラインも相当に潮に流されます。

潮がそんなに流れていない状況でも、風が吹いていると船が風に押されて流されます。船が動くと水の抵抗がそのままラインに掛かってきます。

こんな細いラインですが、何十mも放出されている状態では、想像以上の抵抗を受けているのです。

ラインが潮流の影響を受けるとまず問題となるのはボトムタッチです。ルアーが着底しても、潮流を受けることによってラインが流されていくため、いつまでたってもスプールから放出されていきます。ボトムタッチの見極めが難しくなるのです。

着底のタイミングが分からずに、ルアーが海底に転がった状態が長くなると、根掛かりの原因となるだけではなく、ターゲットに見切られる要因となってしまいます。ルアーがボトムに着いたらすぐに巻き上げることが、ルアーを生き物のように見せるためには重要なことなのです。

ルアーフィッシングではラインを伝わってくる情報を頼りに釣りを展開しています。それゆえ感度というのは非常に重要なファクターとなります。

ボトムタッチが分かりにくい場合、ルアーを重いものに交換するのが一般的な解決手段です。しかし重いルアーを使用することでデメリットも発生します。

ルアーの重量が増せば、フォールスピードが速くなります。それゆえボトムタッチが分かりやすくなるのですが、フォールでのアピール力が弱くなりがちです。ゆっくり、じっくりと落ちている姿を見せることがフォールでのアピールには重要なのです。

巻き上げ時もやはりルアーは軽い方が有利です。ルアーが軽量の方が、ラインを通して手元に伝わるちょっとした変化が分かりやすいです。潮流の変化や、魚がルアーにじゃれついてくるようなわずかな前アタリなど、小さな力の作用であってもルアーが動きやすいため、その変化を察知しやすくなります。

ルアーはボトムタッチが分かる範囲でなるべく軽いものを使用することが釣果に結びつきやすくなるのです。

細くて強いPEライン

ラインが細くなるとそれだけ流れの影響を受けにくくなります。同じ重量のルアーを使っていても、ラインを細くすればボトムタッチも分かりやすくなります。しかし、ラインが細くなればそれだけ強度も弱くなってしまいます。釣りをする上で、ターゲットやタックルに見合ったラインをチョイスするということは非常に重要なことです。

タックルバランスをうまく調整すれば、細いラインで大物とのやりとりが可能となります。

例えばタイラバではメインラインはPE1号を使用するのがスタンダードです。しかしこのスタンダードも、今や少し時代遅れのものとなりつつあります。現在では、それなりに経験を積んだアングラーは0.8号や0.6号あたりを標準としており、中には0.3号を使うという強者もいます。

釣りにおいてのタックルの進化は日進月歩で、ラインもその例外ではありません。

少し前まで、PEライン1号の強度は12‌lb程度でしたが、近年の高性能PEラインでは20‌lb以上が当たり前のようになってきています。同じ1号であれば、過去のラインよりも強度がかなり上がっているのです。逆に同じ強度でよいのであれば、号数を小さくできます。ちなみに現在は0.6号で12‌lb以上というのが普通になっています。

また、ロッドやリールの性能アップも細いラインを使用することに一役買っています。

しなやかに曲がって、魚の力を吸収しながらも、パワーのあるロッド。スムーズな滑り出しを実現した滑らかなドラグ性能のリール。こういった高性能なタックルを使えば、逆に少し弱いラインを使ってもブレイクを防いでくれるため、より細いラインをチョイスできるというわけです。

編み込みの違い

PEラインは原糸を編み込むことによって1本のラインへと成形するマルチフィラメントと呼ばれるラインです。ちなみにナイロンやフロロカーボンは1本のラインを直接成形するモノフィラメントとよばれるラインになります。

PEラインは編み込みの本数によって4本撚り、8本撚り、12本撚りなどの商品があります。4(8や12)ブレイドなどと記載されていることも多いです。

一般的にはこの編み込みの本数が多い(ブレイドの数字が大きい)ほど性能が高いラインとされており、比例して値段も高くなっていきます。

編み込み本数が多いほど表面が滑らかになるため、ラインとしての性能が高くなります。太い糸を少ない本数編むよりも、細い糸を多く編んだ方が、断面を見た場合に凹凸が少なくなり、滑らかになるのです。

また、この編み込みの技術によって、ラインの強度に大きな差が出ると言われています。本数の多いものをしっかりと編み込む方が当然手間が掛かるため、値段も上がってしまうというわけです。

ネットで販売されている海外製の安価なPEラインは、この編み込みの技術が劣っているものが多く、そういったものは品質の高いものと比べて径が太くなる上に強度的にも弱いというものも多いようです。

では表面が滑らかになると、どのようなメリットがあるのでしょうか。一つはラインの滑りが良くなるということです。ロッドのガイドとの摩擦が小さくなり、ラインがスムーズに放出されるようになります。キャストをする場合は飛距離も伸びやすくなります。

そしてもう一つの大きなメリットが潮流の影響を受けにくくなるということです。表面が凸凹しているよりも、滑らかの方が抵抗が少なく水流をスムーズに受け流してくれます。つまりライン自体を細くするのと同じような効果が得られるということになるのです。

加工処理で差をつける

ラインは常にロッドのガイドと接触していて、常時摩擦のストレスにさらされています。細い原糸を編み込んだだけでは、表面がケバ立ちやすいです。編み込んだラインは小さな凹凸ができますが、コーティングでそれ埋めることによって滑らかな表面を実現することができます。そこでラインメーカーは各社独自の表面処理を施しています。PEラインでは編み込み技術と同様、性能や品質に大きなウエイトを占める部分です。

熱に強く、摩擦係数の低いシリコン樹脂系やポリエチレン樹脂をコーティングしているものが多数派のようですが、フロロ粒子を表面に分散しているものもあります。また単一の素材でなく複数の処理を組み合わせてより高い効果を狙っているものもあります。

しかし表面加工はあくまでも表面をコーティングしているものです。繰り返し使用してロッドのガイドに擦れていく中で少しずつ剥がれていきます。新品のときにはなんとなく張りやコシのようなものが感じられるラインも、長く使用するとだんだんと張り・コシがなくなるのはそのためです。

新品のような使用感をどれだけ長く保てるかというのも表面処理技術の違いが現れやすい部分だと言えます。

PEラインはナイロンやフロロカーボンラインと比べると軟らかく、張り・コシが圧倒的に少ないです。これはスプールの巻きグセがつきにくく、ラインがスムーズに放出されやすいというメリットとなると同時に、ガイド絡みなどのトラブルの原因となるデメリットの部分もあります。そして特に細いラインほど、その傾向が強くなります。

PEラインをナイロンラインなどのモノフィラメントラインに近い使用感にするために、あえて張り・コシを与えたり、比重を大きくする加工を施したものもあります。

具体的には芯材となるものを入れたり、コーティングを中心部まで浸透させたものなどです。

編まないPE?

編み込みの本数や技術が性能を大きく左右するPEラインですが、編み込みをしていないものもあります。原糸を束ねて成形したもので、今までのPEラインになかった新しい技術によって生まれたものです。

原糸を編み込まず束ねることで得られるメリットは大きいです。まず断面が真円に近くなり、表面が滑らかになるということです。

編み込みの本数を増やすなどして解消しようとしていた問題が、一気に解決するのです。これにより水切りが大幅に良くなり、潮流などの影響を受けにくくなるのです。

もう一つの大きなメリットは感度が良くなるということ。

もともと、ナイロンやフロロカーボンラインと比べて感度が良いというのがPEラインの特徴で、伸び率の低さがその高感度に繋がっていることは前述しました。しかし原糸を編み込んだものは、どうしても編み込みのたわみが生じやすいのです。そこでわずかですが伸びというのが発生してしまいますが、束ねているとそれがありません。通常のPEラインよりもさらに伸び率が低くなり、それにより感度がアップするというわけです。

伸び率が低いことで得られるメリットはそれだけではありません。力がダイレクトに伝わりやすいため、フッキング率がアップします。100m近いラインを放出するオフショアの釣りにおいては、わずかな伸び率の違いがラインの先にあるフックに掛かる力に大きな差となって現れることもあります。

釣りに革新をもたらしたPEラインは急速に浸透して、今やルアーフィッシングには欠かせないものとなっています。そしてその進化は今も止むことはありません。多くのラインメーカーと、そこに関わる企業の努力により次々と新しい技術を投入した商品がリリースされています。一言でPEラインといっても、ひと昔前のものと現在のものとでは、性能や使い勝手に大きな差が生まれているのです。

より強く、より滑らかなラインを選べば、今まで使っていたものよりも号数の小さなもので釣りが可能となります。これは釣りのしやすさや釣果に直結する部分です。

細く強いラインを使って、あなたの釣りに革新をもたらしてみてはどうでしょうか。

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