
百合野 崇
ゆりの たかし
金龍鉤スペシャルスタッフ、シマノフィールドテスター、マルキユーフィールドスタッフ。2018年シマノジャパンカップクロダイ大会優勝。チヌ釣りに賭ける情熱は師匠である大知 昭さんに「世界の百合野」と呼ばせるほど。
PEラインのメリット
物理的な問題で、PEラインの方が細い分、潮や風、摩擦の抵抗が低いので、特に悪条件であればあるほどその差が如実に出てきます。抵抗が低いと、他からの影響が少なく変化が小さいので、仕掛けの状態(仕掛けがなじんだ、ツケエが取られたなど)を把握しやすいのです。
また小さなアタリ一つでも、ナイロンラインとは差が出ます。抵抗に加え、伸びが少ない分、小さなアタリでも、手元や穂先、道糸の変化が何かしら出ますし、慣れてくれば練りエサがハリに付いているかどうかも穂先から感じとることができます。

そして私にとって最大のメリットは、1.78という高比重にあります。PEラインは編み込み形状のため表面張力で表層に浮きやすくなります。そのため道糸を表層に置くようにすればフロートナイロンラインのように操作ができ、逆に完全に表面張力を切ってしまえばサスペンド~シンキングナイロンラインのようになります。
この二つのパターンは同じ仕掛けでも、仕掛けの入れ方に変化をもたらします。フロートナイロンラインのように使えば、表面張力の抵抗を利用して仕掛けのなじみやツケエをゆっくり落とすことができ、逆に表面張力を切ってサスペンドにすれば自然にツケエを入れ込むことができます。ラインの操作だけでアプローチすらも変えられます。これが最大の武器だと思います。

PEラインのデメリット
個人的には、お話ししたとおりメリットが多いのですが、やはりデメリットも存在します。ナイロンラインのメンテナンスは、ほとんど水抜きだけで良いと思いますが、PEラインの場合、水抜きに加え、耐久性保護のためメンテナンススプレーをかけてコーティングしなければなりません。また単価もナイロンラインよりは高額傾向だと思います。
ただし、PEラインの場合、傷が入っておらずメンテナンスをきちんとしていればナイロンラインよりも耐久性はありますので、使用回数を伸ばせば価格の差が気にならなくなります。ひとつ注意が必要なのは、ウキが擦れる部分です。この部分だけはどうしても摩擦が大きく耐久性が落ちますので、釣行の度に3~4mくらいはカットして使用することをおすすめします。
勝つために使う
私がシマノジャパンカップで優勝したときは、表彰台に上がった3名は間違いなくPEラインを使用していましたし、ジャパンカップグレを二連覇中のシマノ磯フィールドテスターの友松さんもPEラインは勝つために(=釣るために)使用しています。

これからもっと使われる方が増えてくると思いますし、更に進化していきますので、ぜひ皆様、ご使用になられてみてください。
まずは遠投したときの距離にビックリされると思います。
