潮が複雑な状態でもマキエと同調させる方法とは?

潮は釣り人が考えている以上に複雑

ポイント図の中では、しばしば潮の流れは単純化されます。広い範囲で流れているのに一本の線で描かれ、しかもその一本しか描かれていないことも。さらにその流れは一時的なものでしかなく、実際にはどんどん変化しています。

では、実際にはどのような流れ方をしているのか。まずは現実を正しくとらえることから始めてみましょう。

上の図は極端な例ですが、沈み瀬と足元に張り出した根が障害物となって流れを変化させている状態を表しています。ストレートに流れてきた潮は障害物にぶつかると右、または左、上に方向を変えます。すると、まっすぐ流れてきた潮とぶつかり、またそこで変化する。

障害物を通り過ぎるとその流れは障害物の後方で巻き込みます(流れが速い場合は)。すると、そこで巻き込んだ潮とストレートな潮とが影響し合い、通り抜ける方向はさまざまに変化するのです。

そして、そこに流れ込んでくる潮も時間とともに方向と強さは変化する。そう考えれば潮はいかに複雑かが理解できると思います。潮は決して一本の線ではないのです。

複雑な潮は釣らず単純な流れを釣る

複雑な流れではマキエと同調させるのは難しい。それは当然で、マキエも仕掛けもどこを流れるかが分からない。それならば単純に複雑でないところを釣ればいい。そう考えるのは珍しくありません。大きなサラシの中は釣るのが難しいからそれが消えるところを狙う。小アジが大量に湧いたときはそれがいない磯に瀬替わりする。解決策としてはいずれも確実で、手堅くもあります。

同様に、上の図では沈み瀬との間を通り抜けて落ち着いたところにポイントを設定すれば、それほど苦労することはありません。沈み瀬が小さく頭が低い位置にあればその沖も十分射程範囲に入ります。

ただし、沈み瀬に着いたグレがそこから出てくるとしたら、活性次第でどこまで出てくるかが問題になります。活性が低いとマキエしても沈み瀬から出てきません。すると沈み瀬に近づけざるを得ず、そうなると複雑な潮を釣ることになります。つまりある程度は複雑な潮を釣る技術を身につけておかないと対応するのは難しいというわけです。

マキエが溜まるところを攻める

仕掛けを投入してマキエを入れる、または先にマキエを撒いてそれにツケエを合わせるのは、潮が複雑だと非常に難しい。それならばマキエを溜まるところを探して、そこにツケエを送り込めばそれほど苦労せずに同調できます。

この方法で課題となるのはマキエが溜まるところの発見、およびそこにツケエをどのようにして送り込むかの二点になります。

マキエが溜まりやすいのは次の三カ所が中心です。

ワイ

潮が反転してそこで緩む。潮に乗って流れてきたマキエはそこでゆっくり沈んでいきます。反転するのはある程度潮が速い場合に限られて、緩いと反転せずに流れていきます。範囲が広いと分かりやすいです。

潮のカベ

本流が走るとそれに引かれる潮が発生し、その引かれ潮が本流と合流するところに潮のカベができます。引かれ潮にマキエを乗せるとこのカベで止まり、ゆっくりと沈む。現在、このポイントは人気が高く、ほとんどのグレ釣り師はここを釣ります。

潜る潮

二つの潮が合流すると潮目ができ、そこに潜る潮ができやすくなります。潮のカベは明らかに二つの潮の強弱に圧倒的な差がある場合に生まれるもので、二つの潮の強さが近づくとこの潜る潮が発生しやすくなります。潜る方の潮に流されてきたマキエは潮目に達したところで沈んでいき、活性の高い魚はこの部分で口を開けて待っているのです。

ただし、上の図はいずれも典型的なケースを表しており、複雑な潮ができる状況でこれを見極めるのはなかなか難しい。

軽い仕掛けを潮に乗せて自然に流す

このような状況では潮の動きを詳細に把握しなくてはいけません。が、人間の目でそれをとらえるのは不可能です。マキエの動きでは限界があります。沈んでしまったり、遠くまで流れたりすると肉眼では追い切れません。

そこでウキに頼ることになります。ぎりぎりの浮力を持たせたウキを流してどのように流れるかを確認します。このとき、30㎝も投入点が違えば流れるコースは変わる可能性があります。さらには、ハリスの状態も流れ方に影響を与えます。正確な流れを知るには何度も仕掛けを流す必要があるでしょう。

また、ポイントが判明しても、そこにツケエを送り込むのは簡単ではないことを知っておきましょう。何度もやり直さなければポイントには入りません。ガン玉を使うとマキエと同じ流れに乗りづらく、あまりおすすめはできませんが、狙ったところに送り込むにはやむを得ないかもしれません。それにしても最小限に留めておきたいところです。

広い範囲にマキエを効かせて「どこか」で合わせる

複雑な潮の中で同調させる三番目の方法は、マキエを広い範囲に撒いてどこかで合わせるというものです。合わせるというよりも、合ってくれと願うといった方が正解かもしれません。

何度も書いたように、複雑な流れの中ではマキエがどこへ流れているのか皆目見当がつかないものです。唯一、マキエが溜まるところへは流れていって、その場所は絞れるものの、そこに仕掛けを送り込むのは簡単ではありません。

もっとたやすい方法はないのでしょうか?

ないこともないのです。それが、広い範囲にマキエを効かせるという方法です。「点」で合わせるのではなくて、「面」で合わせると解釈すればわかりやすいでしょうか。当然、マキエの密度は薄くなり、マキエヒシャク1杯のマキエを広く撒けば面積当たりの量は限られます。

仮にヒシャク1杯に入るオキアミの数を30尾とすれば、それを1平方mに撒くのと5平方mに撒いたのを比べるといいでしょう。1平方m当たりのオキアミの数は30尾に比べてその五分の一の6尾になる。集魚材を加えると粒子が増えるから海水は濁って見える。濁りは薄いでしょうが、活性の高いグレはあまり気にしません。

全遊動のもう一つのメリット

好釣り場にはたくさんの釣り人が押しかける。それは仕方のないことであり、肩を接するほど並んで竿を出す光景も珍しくありません。それだけ多くの釣り人が好き勝手にマキエを入れ、それぞれの思惑にしたがって仕掛けを流す。

ところが、釣り人一人一人その思惑は異なっています。ある人は足元にエサ盗りを集め、沖で本命を食わせようとしている。またある人はマキエを先打ちし、それに合わせようとしているかもしれない。もちろん、仕掛け投入後にマキエを被せている人も少なくないでしょう。

そういう状況ではマキエが広い範囲を漂っている状態です。はっきりいって、同調させるために打つマキエはあまり効果がありません。同様に、エサ盗り対策としてのマキエの効果も見込めないのだが、ここではとりあえず無視して先に進めます。

こういう状況で効果のある釣り方がある。それが全遊動&全層釣法です。この二つの釣法はタナを探りつつ流れていくというもので、そのタナを探り、なおかつ食い込んだときの抵抗が非常に小さいという特徴があります。

特に、水面からマキエと同調させつつ沈んでタナを探るというメリットは注目されており、グレやチヌのタナがはっきりしないときの救世主として人気があります。

至るところにマキエが投入されて広い範囲を漂っているとき、グレのタナもあやふやな状態にあります。マキエを追ってグレは上下左右に散っているから、タナを決めてツケエを水平移動させる半遊動ではヒットさせにくいのです。

マキエは適当に、広く分散させる

この、マキエが広く分散している状態を人為的に形成する。それが複雑な潮を攻略するための方法……といえばなにやら高等テクニックのように聞こえますが、なんのことはない、適当にバラ撒けばいいだけの話です。オキアミを刻み、軽いタイプの集魚材を混ぜて適当にバラ打ちする。マキエが先か仕掛けが先かなどはどうでもいい。とにかく、そこら中にマキエをバラ撒くのです。

仕掛けが軽ければマキエが溜まるところに落ち着くかもしれません。複雑ではなく単純な流れの部分に流れていくかもしれない。ヒットポイントの設定など気にする必要はありません。もちろん、同調に気を使うこともないのです。

ただ、全遊動で攻めるには、ある程度の水深が欠かせなくなります。また、沈み瀬が多くて流れが速いという条件を全遊動は苦手としています。波や風にも弱い。全遊動にはそのような弱点があるため、いつでも使える釣法ではないことを断っておきます。

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