仕掛けが飛ばないほどの逆風をどう乗り切るか?

そもそも風が強い釣り場で釣りをすることはない

釣行が決まったら予定日の一週間前から週間予報をチェックして天気を調べ、雨と風、および潮汐を確認する。釣り人ならこれは当然です。

したがって、風が強いと分かっている釣り場に行くことはありません。なによりも、強い風が吹けば波が高く、渡船は休業します。しかし、風が直接当たらない、いわゆる風裏だと波は立ちません。西風が吹けば本州の東海岸は風裏になります。

南東風では日本海側が風裏になります。だから渡船は出船します。ところが、波は立たないものの風は吹く。風が当たらない磯に上がったとしても、風が強いと回り込んできます。

「強風に風裏なし」とは昔から釣り人の間で言い伝えられています。

風が強くて苦労すると分かっていれば、よほどのことがない限り釣りにはいきません。ですが、回り込んでくる風がどの程度かは地形と風の強さによるため、現地に行ってみないと分かりません。

しかも、晴天ベタ凪よりは風で水面が小さく波立った方が魚の警戒心が和らぎ、食いは良くなります。ある意味、チャンスであり、見逃すには惜しい条件ともいえます。

風の中の釣りでは重たいウキと細い道糸が基本

正面から強い風が吹いている中で仕掛けを遠投しようとすれば、誰もが重たいウキに交換します。ただ、近年は抵抗を小さくするためウキは小型化&軽量化の傾向にあり、自重が20gを超える重たいものを常に持ち歩く釣り人は少ないのです。せいぜい10g前後までという人がほとんどでしょう。そのため、向かい風で遠投するのは難しい。

そのようなときはウキを二個、さらには三個使うのが定石とされています。自重8gのウキを三個使えば24gになる。これだけ重たければ少々の向かい風でも飛んでくれます。

さて、ウキを三個使うとしてどのようにセットするのか? いくら活性が高いことが予想されるとしても、三個のウキを浮かべると食い込んだときの抵抗が大きすぎます。そこで、下の二個は完全に沈めてしまい、固定します。上のウキ一個だけが遊動するようにしておけばこれだけが水面に浮かび、食い込んだときの浮力抵抗は小さくて済みます。

投入時は三個のウキが一体になるようにしておいた方がいいです。二か所に分かれると向かい風の中で遠投したとき絡みやすくなります。魚がヒットしたときそこから切れる可能性が高く、運が悪いとウキを三個ともロストしてしまいます。

斜め方向に投げられるように足場を移動する

エサ盗りが多く、足元にマキエを集中させて釘付けにし、沖でグレを釣りたい。しかし、ときおり風が回り込んで正面から吹き付けて仕掛けが飛ばないという状況を設定してみました。

なにがなんでも飛ばさないといけない条件でウキを二つ使用したものの、それでもあと一息飛距離が足りない。そんなときの対策として試してもらいたいのが、足場を移動して斜め方向に投入することです。

真正面ではなくて少し角度を少し変えるだけで距離は伸びるものです。足場によって左右には移動できない場合があるし、釣り人が多いと難しいケースもあるだろうから、どんな場合でも使える方法ではないと断っておきます。

この対策で注意しなければならないことが二点あります。一点は仕掛け絡み、穂先絡みです。左の図のAからBに足場を移したとします。右利きの釣り人なら右手で竿を操作するだろうから、サイドスローで投入するときは左に構え、竿を右に振ります。

このとき、ウキは竿の外(左)側から弧を描きながら飛んでいきます。最初、ハリは遠心力が働いてウキの外側を飛びますが、やがて風のためウキの内側に入り、このとき道糸と交差します。交差=仕掛け絡みであり、着水時にはすでに絡んでいる可能性が高い。一方、Cに移動して竿を左から振ると、ハリは最初から最後までウキの左側を飛んでいきます。道糸と交差することはなく仕掛け絡みの可能性は低いのです。

竿を強く振ればツケエが落ちる確率が高くなる

強い風の中で仕掛けを遠くへ飛ばすために強く竿を振ると、そのショックでエサが落ちしやすくなります。ご存じのように生のオキアミはデリケートで、仕掛けは飛んでも肝心のツケエがないという状態に陥りかねません。

ビギナーのうちはこのパターンが多く、先輩からしばしば指摘されてソフトな投入方法を身につきます。ところが、風が強いとそんな投入では仕掛けが飛ばず、ついつい力が入ってしまいます。

それを予防するには次のことに心がける必要があります。

オキアミは背中の硬い皮にハリを通す

軟らかいオキアミの中で最も硬いのが背中の部分です。背掛けにしてここに二回ハリを通せばエサ落ちしづらくなります。腹掛けでは非常に落ちやすい。

また、オキアミをできるだけ小さくすることも役に立ちます。頭と尾を落とし、胴だけを小さく装餌する。尾を残してそこにハリ先を埋めるという方法もあります。

オキアミを加工する

砂糖や味の素、黒砂糖、クリープなどをオキアミにまぶすと身が締まると言われています。現在は加工されて身が締まった市販品も各種あります。ベテランは自分なりの「調味料」をいろいろ研究し、エサ落ち防止とともに少しでも食いが良くなるものを探しているのです。

オキアミにこだわらず、エビのムキミや練りエサを使うのも一つの方法です。

オキアミ2、3匹を糸でしばる

エサ盗り対策を兼ねて2、3匹を糸でしばるという方法があります。かつては専用の糸が販売されていましたが、近年は加工する方が好まれており、利用する釣り人は減っています。もっとも、古いストッキングの繊維を引き出せばいくらでも可能で、これなら経費もかかりません。ただし、ハリにその繊維が残り、取り除くのにハサミで切るのが少し面倒です。

ツケエの着水を確認する

仕掛けが着水すると波紋が生じます。ウキが大きくてツケエは小さく、必ずこの二つの波紋ができます。着水前にブレーキをかけると手前にウキ、その先にエサが着水しますが、手前の一つしかなければエサ落ちしている可能性が高い。その場合はすぐ仕掛けを巻き取って確認しましょう。

遠いと目視するのは難しくなりますが、これをやっておかないと時間のロスに繋がるので注意しましょう。

磯際釣りに変更、または足元から流し込む

エサ盗りが少なく足元から切り立っていれば、磯際釣りに切り替えるという方法があります。これなら遠投する必要はなく、いくら風が吹いても気になりません(仕掛けを手にするときは別にして)。

磯際釣りというと食い渋ったときの対策として、また夜中の尾長釣りのためのものと考えられています。しかし、マキエが効いていない朝一番はどの季節でもグレがヒットする可能性があります。なぜなら、磯際にはグレのすみかがあるからです。

どんな状況でも釣り始めは磯際からスタートするベテランがいます。取り込みを考えると沖で食わせた方が楽なのは確かですが、ヒットする確率が高いとあれば見過ごすのは忍びない。磯際はそれほど魅力あるポイントといっていいでしょう。

強い向かい風は磯際釣りに有利に働きます。表層は風に押されて当て潮となるから、ウキを留めるのに苦労することはありません。逆に、磯に押しつけられるため引っ掛かる可能性があります。

同じく磯際に仕掛けを入れる釣り方のバリエーションとして、そこから仕掛けを送り込む方法もあります。小さい磯の左右から流れてきた潮が合流して沖に出ていくというパターンは非常に釣りやすく、そういう磯に上がれたとき釣り人としてはそれだけでもう釣れたような気になります。

しかし、そのような釣り場はめったにない。そこに上礁できるチャンスは1年に一度あるかないかでしょう。だからといって諦めるのは早い。足元から沖に出る流れは他にもあるはずです。

その一つがサラシになります。近年、ポイントとしてのサラシはあまり人気がないようです。エサ盗りや小グレが多く、中型がヒットすることは少なくなったためですが、仕掛けやマキエを沖に送り出すには非常に役に立ちます。潮位や磯の形状、波の高さによってサラシはどんどん変化するものの、これを利用すれば遠投しなくても仕掛けは沖に出ていきます。

沖に出る潮はもう一つあります。当て潮が出ていくところ、波によって運ばれてきた海水が出ていくところがそれになります。沖から当たってきた潮は必ずどこかで出ていきます。右か左、または下から出ていくか分からないが、出ていかなければ増えていく一方で、どんどん海面が高くなるわけで、そんなことはあり得ません。

近年、チヌの渚釣りが話題になっていますが、サーフの好ポイントとしてよく知られているのが離岸流です。これは次々と押し寄せる波が出ていく流れを意味しており、どこかにこれがなければ海水のバランスが保てません。

磯にも同じような流れが生じる可能性が高く、やはり左右から沖に出ていったり、底近くを沖に向かう潮が発生します。水面を流れる潮ならすぐ分かりますが、これは見つけるのが難しい。水中ウキを底近くまで沈めてどのような動きを見せるかを確認しなければ分からず、少しずつ場所を移動しながら続けなければなりません。

しかし、ひとたび発見できればこれは大きな武器となるのです。

最後の手段はウキを使わないブッコミ釣り

バリバリの磯釣り師には縁の薄い釣り方の一つにブッコミ釣りがあります。堤防ではよく見かける釣り方で、投げ釣りのお手軽版といえば分かりやすいでしょう。上物竿で5号前後のオモリを使い、道糸は2〜3号と少し太くします。オモリ3号ならそれまで使っていた1号竿、道糸2号のままでも構いません。

つまり、ウキを外してオモリを交換するだけで済む。この仕掛けなら風を気にせず遠投ができます。

問題はツケエの位置です。オモリがハリスの上にあればハリス全体が底に這い、ツケエは完全に底に着いています。この状態でエサを食べる魚は限られます。カサゴやアイナメ、メバルといった根魚が中心で、チヌ、マダイ、スズキもヒットする。何が釣れるか分からないのもブッコミ釣りの魅力なのだが、グレに食わせるのは難しいのです。

さまざまな魚が釣れるのならグレにこだわる必要はないのだが、あえてこだわりたい人のためにヒントをいくつか紹介しておきましょう。

まずは落ち込みを食わせる方法です。オモリではなく水中ウキを利用する。自重の重たい水中ウキを使えば向かい風でも飛距離を稼ぐことができます。そして、これだけで仕掛けを投入します。イメージはブッコミ釣りですが、沈め釣りの延長と考えてもいいでしょう。沈む速度は小さな玉ウキで調整すればOK。

仕掛けをオモリで沈め、チモトにシモリ玉をセットする方法もあります。海底に流れがあればツケエはフワフワと漂い、グレのタナが深ければ目に留まる可能性は高い。浮力が強いとツケエは完全に浮き上がり、ハリスが直立してしまうから、チモトのシモリ玉は大き過ぎないことが大切です。

もう一つの方法は枝バリを出すことです。胴突き仕掛けにして先端のオモリを沈めれば枝バリは底を切っている。ツケエは底近くだが宙層にあります。海底にあるよりはグレがアタる可能性は高いです。

磯のブッコミ釣りで注意しなければならないことがあります。堤防では対象魚がある程度限られますが、磯の場合は何が食ってくるか分からない。それもビッグサイズの可能性があります。50㎝オーバーのマダイがヒットすれば一気に走られて竿をノサれ、瞬殺されます。

できれば竿も仕掛けも二回り以上大きくしたいところですが、それまで使用していた道具をそのまま使うという前提で進めるなら、いきなり走られてもいい態勢を維持しておきます。ベールを起こしてフリーで走らせるのが基本で、根に入られたら諦めるしかありません。

魚が沖に向かったら慌てずにゆっくりと対応しましょう。取り込めたらラッキーぐらいに考えて気楽にやり取りすればいいでしょう。

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