堤防で楽しむショアジギング

ショアジギングのターゲットとなるのはエリアによって異なりますが、アジ、サバ、カマスなどの小型の魚からカサゴやキジハタなどのロックフィッシュ、タチウオやシーバス、マダイ、さらにはサワラやブリといった中〜大型青物などと幅広いのです。

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最も身近なフィールド

かつて人々は、生きる糧を確保するために海沿いの住民は漁業を、内陸の住民は農業を、そして山間部の住民は狩猟を生業とするようになりました。

日本は海に囲まれた島国であり、長い海岸線が一つの特徴となっています。そのため、古くから漁業が盛んであり、長い海岸線のあらゆる場所に漁業を営む人々の拠点が作られるようになりました。

日本にはいたるところに堤防があり、釣りをする場所としてとても身近な存在です。

また船は交通の手段としても重要な役割を果たしており、人だけでなく物品の輸送にも多く使われてきました。交通・物流の要となる場所には多くの人が集まるようになり、そのような場所は商業都市として発展していくようになります。東京湾、大阪湾、博多湾などがそれにあたります。

こうして発展してきた港湾部は、近年は輸出や輸入の拠点となっており、より大型の船が発着できるように港も拡張・大型化していきました。

このような歴史と時代の流れの背景があり、日本には都心・郊外にかかわらず、あらゆる場所に港があり、そして堤防があります。

港にはタンカーや貨物船などが入港する商・工業港と、漁師の拠点となる漁港があります。

海岸に設置されている堤防は防波堤とも呼ばれ、波による被害を防ぐためのものです。陸から細長く突き出た部分のことを指しており、漁港に多く設置されています。商・工業港などには設けられていないこともありますが、釣りの用語としては港湾部の人工的に造られた場所であれば、どちらも堤防と呼んでいます。

ショアジギングといわず、すべての海釣りで最も手軽に楽しむことができるフィールド、それが堤防です。

堤防のメリット

堤防は人工的に造られた構造物であり、足場となる場所がフラットになっています。そのため、釣りがしやすく、比較的安全性が高いというのが最大のメリットです。

足場は良く、安全性が比較的高いというのが堤防の最大のメリットです。

しかし、これは他のフィールドと比べての話で、海という大自然を前に人間はあまりにも無力です。決して油断はせず、ライフジャケットなどの安全装備は必ず身につけるようにしなければなりません。

もう一つのメリットはアクセスが良好だということでしょう。前述したように、日本にはさまざまな場所に港があります。そのため、沿岸部であれば車を少し走らせれば港を見つけることができます。

また、商・工業港はその性質上、荷物の積み降ろしがしやすいように広いスペースが設けられています。そのため岸壁に車を横付けして釣りを楽しむことも可能な場所も少なくはありません。

アクセスが簡単であれば、好きなときに行って、好きなときに帰ることができます。途中でコンビニなどに寄るのも自由自在です。この手軽さこそ堤防が人気のフィールドになる最大の要因です。

日本中のあらゆる場所にあり、比較的安全性が高く、いつでも手軽に釣りを楽しむことができるのが堤防です。それゆえ昼夜かかわらず多くの釣り人でにぎわっています。

堤防で狙えるターゲット

手軽に釣りを楽しめる堤防ですが、狙える魚は実に多彩です。海の食物連鎖の底辺となるプランクトンは潮に乗って流されています。その流れが淀むような場所はプランクトンが溜まりやすく、それを求めて小型の生物が集まり、そういった小型の生物を捕食する小型の魚、さらには小型の魚を捕食する大型の魚たちが集まるようになります。

こんな良型の魚も堤防で普通に釣れます。

プランクトンを乗せた潮流は大海原を回流し、潮が何かにぶつかると流れの淀みができるため、堤防周辺は潮の淀みができやすいのです。また、多くの魚はストラクチャーと呼ばれる何かしらの構造物に身を潜めることが多く、堤防はそれ自体が大きなストラクチャーです。つまり魚が集まる要素が満載されているのです。

こんな場所を狙う

ターゲットによって異なりますが、ショアジギングの基本は幅広く探っていくことです。メタルジグは数あるルアーの中でもキャストして最も飛距離が出しやすいので、遠投して広いエリアを効率良く探っていくことがセオリーとなります。

まずは、横のアングラーの間隔を確認した上で、投げられる範囲で扇型にキャストしていきましょう。

また、届く範囲に潮目ができている場合は、潮目の境界を集中的に探るとよいでしょう。潮目は速さの違う流れがぶつかってできたもので、遅い流れの中にいる遊泳力の弱い小魚は、速い流れの壁を抜けることができずに潮目の境目に溜まりやすいのです。ショアジギングのターゲットとなるフィッシュイーターはこういった小魚たちを狙っているのです。

釣れる季節

ショアジギングは季節折々のターゲットを狙って、一年を通して楽しむことができます。しかし、ベストシーズンとなるのは秋です。

多くの魚は寒い冬を耐え、水温が上昇し出す季節に産卵を迎えます。そして生まれた幼魚が、ある程度成長してルアーにも果敢にアタックしてくるようになるのが秋なのです。まだ成長しきっていない個体は警戒心が薄く、さまざまなものに興味を示すため、ルアーでも釣れやすくなるのです。

季節が移ると厳寒期は魚の活発が鈍くなり、多少釣れにくくなりますが、そこから春を迎え、また水温が上がってくると、厳しい大自然の中を生き抜いて成長した大型の個体を狙えるようになってきます。

堤防で使うタックル

多くの場合、堤防からメタルジグをキャストして届くくらいの範囲は水深10m前後でしょう。堤防の周辺はそれほど潮流が速くないところが多いです。これくらいの水深であれば、メタルジグは比較的軽いものでもボトムタッチを感知できます。そのため、堤防で使用するメタルジグは30〜40gというのがスタンダードになっています。

この程度の重量のメタルジグであれば、ショアジギングロッドなら、一番ライトなもので十分です。ラインはPE1〜1.5号、リーダーは20〜28‌lbでナイロンでもフロロカーボンでもよいでしょう。それに合わせるリールは3000〜4000番となります。

もちろん、大型の青物が回遊してきているなどという情報があれば、もう少し強いタックルの方がよいのですが、堤防で楽しむなら、なるべくライトなタックルの方が無駄な体力を使わなくて済みます。

長さもあまり長いものは必要ありません。ロッドの長さが多少違ったところで、キャストの飛距離には影響しません。短い方が扱いが楽で、長時間シャクっていても疲れにくいです。30g以下の軽量なメタルジグを使うのであれば、シーバスタックルやエギングタックルでも代用は可能です。

堤防での装備

堤防でのショアジギングスタイル。荷物をコンパクトにまとめることがポイントです。

手軽にそして比較的安全に釣りを楽しめる堤防ですが、人間では太刀打ちできない大自然を相手にするのだから、安全装備はきちんと身に付けておきましょう。

まず、ライフジャケットは必須です。毎年、転落事故による死傷者が出ていますが、ライフジャケットを装着していると、生存率が大幅に高くなります。簡単に装着できて動きやすい膨張式の腰巻きタイプが使いやすいでしょう。

靴は滑りにくいソールのスニーカーがよいでしょう。ランニングシューズなどを選べば、底が厚く疲れにくいものが多いです。

ウエストバッグやタックルケースをうまく使って、機能的に道具を持ち運びましょう。

その他にも帽子や偏光グラスなども着用することが望ましいです。

堤防の注意点

堤防で釣り人のモラルが問われる事項は駐車とゴミ問題が圧倒的に多いです。車は周囲の民家や港での作業の邪魔にならない場所に停めなければなりません。また、自分が出したゴミは必ず持ち帰りましょう。この基本的なことが守られていないため、釣り禁止となる場所もあります。

また、港に置いてある漁具に触らない、作業中であれば邪魔にならないように近づかないなども留意すべき点です。堤防は釣り人のためのものではなく、そこで働く人たちのための設備なので、厳守しなければなりません。

釣りで人気の堤防は多くの釣り人が集まります。そのため、釣り人同士のトラブルも多いです。無用なトラブルを避けるために、釣り場では挨拶をするようにしましょう。また、人の隣に入るときは最低でもロッド2本分は間隔を空けて「ここに入っていいですか?」と声を掛けるようにしましょう。釣りの種類が異なれば必要な間隔というのも変わってくることが多いです。もし、断られた場合は無理に入ろうとせずに、違う場所を探すようにしましょう。

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