スズキ目タチウオ科タチウオ属の鋭い歯を持つ海水魚で、大きなサイズはドラゴン(竜)に例えられる。鏡面のように美しい銀色と平たく長い姿から「太刀魚」と名付けられた。
その釣り方は多岐にわたり、船・陸の両方から狙え、食味が良いことも広く知られている。
釣り期は地域によって異なるが、7月ごろから始まり、1月ぐらいまで続くエリアが多い。
タチウオのルアーゲームで特に欠かせないのが、専用ジグヘッドとワームを使ったワインド釣法である。一定のリズムでシャクりながら狙い、独特な動きでタチウオを魅了する釣り方。
ワインド釣法以外にもミノー、スピンテール、バイブレーション、メタルジグで狙う方法もある。
タックル

ロッドはタチウオ向けが各社から発売されている。流用するなら7〜10ftほどでMLクラスのシーバスロッド、もしくは4号のエギに対応したエギングロッドで対応可能。
スピニングリールは2500〜3000番を選ぼう。
タチウオは海面付近のベイトに対し、下から急上昇して捕食することが多い。そのため、ヒット時にテンションが抜けやすく、バレる確率が高くなる。
バラシを防ぐためには一気に巻き上げることが肝心で、ハイギアのリールを選んでおくとよいだろう。

ラインはPE0.8〜1.2号が200mは欲しいところ。リーダーは5〜7号のフロロカーボンラインをセット。
タックルを組む上で気をつけないといけないことはタチウオの鋭い歯である。ミスバイトでラインを咥えられようものなら、細糸など一発で切られる。
タチウオを追う釣り師にはワイヤーリーダーを使う人も多い。ただリーダーの重さのせいでルアーの動きが悪くなったり、食い込まなくなることを危惧するなら、太目のフロロカーボンリーダーを使おう。
ただし、ラインの傷チェックは釣ってる最中にもこまめに行うこと。万が一大物が掛かったときに傷があると、あっけなく切られてしまうことがある。
悔しい思いをしないために管理を徹底しよう。
時間帯・ポイント

釣れやすいのは夕まづめと朝まづめ、そして夜間。エサ釣り、ルアー釣りともに夜釣りが主体となるので、ケミカルライトはどちらの釣りでも多用する。
タチウオは光を発するものへの反応が良いためワームにケミカルライトを挿入する穴が設けられている製品も多く、メタルジグにもケミカルライトをセットできるタチウオ専用タイプがある。
狙うべき場所は、回遊のルートとなりやすい潮通しが良いポイント。これは、堤防の形状と潮の流れを意識してベイトがたまりやすい場所を見極めることが非常に大切である。
タチウオは岸際や湾奥にベイトを追い詰めて捕食することがあるので、こういった場所は必ずチェックしよう。
ナイトゲームで最も有望なポイントは常夜灯の周辺。この理由はベイトが集まりやすいからである。
特に海面が照らされている場所では明暗の境目となる部分でのバイトが多くなるので、常夜灯の光が照らしているゾーンの向こう側までキャストして、明るい方へと引いていくと、釣果を得やすいだろう。
ワインド釣法のアクション

基本的にワインド釣法は主にリアクションバイトを狙った釣りとなる。左右にダートさせ、タチウオに激しくアピールすることで、反射的に食わせることができる。
釣り方は簡単で、専用のジグヘッドをキャストしたら、カウントダウン後にロッドを2回ほど軽く煽り、ラインスラックを取る。この繰り返しだ。
ロッドを煽るスピードでダート幅を調整できるので、タチウオの反応を見ながらリズミカルに誘いを入れよう。
まづめ時のような群れの活性が高いときは、ナチュラルにアピールしたいのでダートする幅を小さくして、フッキング率を上げる方がよいだろう。
逆に活性が低く、明らかにエサを追いかけていないときは大きくダートさせて捕食スイッチをONにさせよう。
ただし、大きな動きはミスバイトを誘発するので、カーブフォールで食わせの間を入れてあげるのを忘れずに。

釣り人のプレッシャーによりタチウオがスレているケースではなかなか口を使わないが、通常は行わないタダ巻きやフリーフォールは試してみる価値がある。
レンジを探るときは、根掛かりに気を付ける。
よくあるジグヘッドは上向きにフックが付いているが、ワインド釣法用のフックはトレブルフックが下に取り付けられているので着底させると根掛かりのリスクが高い。
そうならないためにも表層からレンジを刻んでいくことがコツだ。
タチウオは神出鬼没といわれており、表層付近に姿を現したり、中層に沈んだりするだけでなく、いつの間にかその場所からいなくなっていることもある。
一定のレンジに固執せずに広く探ることが重要となる。
ジギングのアクション

ジギングで釣る場合はタダ巻きでも釣れないことはないが、ワンピッチ・ワンジャークを基本として、さまざまなアクションを試しながら反応の良いアクションを見つけていく。
ただし、大げさなアクションは禁物。理由は、ワインド釣法の場合と同じで、ルアーの動きが速いとミスバイトが多くなるからだ。
あくまで控え目で、なおかつフォールを重視したアクションでの組み立てがよい。
釣り上げた後は鋭い歯に注意

釣り上げたあと、フックを外すときは要注意で鋭い歯に触れるとケガをすることもある。
危険を回避するためにも、フィッシュグリップやプライヤーでしっかりと首を固定してフックを外そう。
絞め方は脳絞めでOK。やり方は目の上からハサミを入れて延髄部分を断ち切れば完了。血抜きをする場合は、エラを切って海水に10分ほど浸けておく。
ショアの釣りを中心に進めてきたが、オフショアでもタチウオは人気。
沖ではドラゴン級に出会える確率も上がるので、堤防からの釣りに慣れてきたら、竜討伐へと船出するのもよいだろう。