最近はタイラバとSLJを同時に楽しめる遊漁船も多い。それゆえタイラバとメタルジグでどちらが釣れるのか迷うこともあるでしょう。そこで状況別にどちらが有利になるかを解説していきましょう。
朝一、どちらを選ぶ?

港を出航した船がポイントに到着しての第1投目、はたしてあなたはどちらを海中に落としますか?
ルアーフィッシングで最初に使うルアーのことをパイロットルアーと呼びます。海の状況や釣り場、そしてアングラーによってその目的や選ぶルアーは異なってきますが、主な役割は魚の活性を伺うということです。ショアからの場合だと、広いエリアを探れるルアー=飛距離の出るルアーを使うことが多いですが、オフショアではタイラバもメタルジグも探れる範囲はほぼ同じです。では何を基準に選べばよいのでしょうか?
それはアピール力です。
活性を伺うということは魚の活性が高いか低いかを探るということ。そしてパイロットルアーを使う場合、まず活性の高い魚を誘い出すというのが目的となるので比較的アピール力の高いルアーを使用します。魚の活性が高い場合は、より目立つルアーが有利となります。海の中で目に付くものに我先にとアタックしてくるからです。

それではタイラバとメタルジグでどちらがアピール力が強いのか? ということになりますが、メタルジグを積極的にアクションさせる=シャクるのならメタルジグが有利だと言えるでしょう。
水流をかき乱してジャーク&フォールを繰り返し、フラッシング効果の高いメタルジグは、離れたターゲットにもその存在をアピールしやすいもの。朝一のパイロットルアーとして投入するのならメタルジグをシャクって使うに一票です。

ではタダ引きではどうでしょう? この場合、どちらもあまり大差ないといえるでしょう。しかしタイラバはカスタムしやすく、波動の強いカーリーテールのネクタイやシルエットを大きく見せるロングネクタイを使うことでアピール力は高まります。また近年は強い波動を発するヘッドも出現しています。こういった組み合わせによってはメタルジグよりもアピール力を上げることができます。
活性で選ぶ
活性が高い状況を解説しましたが、それでは活性が低い場合はどうでしょうか?
船上で誰にもアタリがない時間が続くようなとき、タイラバとメタルジグを小まめにローテーションしていくのも手ですが、どちらが良いのか迷うことも多いでしょう。

一般的にルアーフィッシングでは、ターゲットの活性が低いときにはよりナチュラルな誘いで狙っていくというのが基本となります。それはルアーのカラーだったり、アクション・波動などというものが含まれます。派手に目立つのではなく、なるべく自然界に生息するものと近い方が良いということです。カラーについてはタイラバであれ、メタルジグであれさまざまなものがラインアップされているので、よりナチュラルなカラーを選べばよいでしょう。しかし、アクション・波動は多くの場合タイラバの方がナチュラルだと言えるでしょう。
メタルジグはタダ引きでもテールを左右に振って泳ぐようなアクションが得られ、それに伴う波動を発生します。モデルによってかなり差があるので、一概には言えませんが、概してタイラバよりアクション・波動は強めになります。さらに金属でできたボディによって発する波動は自然界にあるものとはあきらかに異なるはずです。
タイラバの場合、ヘッドは近年はスイムアクションを意識したものも数多くラインアップされていますが、ただのシンカーとして役割を果たしているものも多いです。そういったヘッドであればアクション控えめだと考えてよいでしょう。タイラバのアクション・波動の決め手となるはネクタイです。

タイラバのネクタイは、シリコンやゴムで作られており、海中で流れを受けてユラユラと揺れることによって柔らかい波動を発します。この柔らかい波動がメタルジグと比べると断然ナチュラルだと言えます。近年は強い波動を発するネクタイも増えていますが、そういったものでも金属が発する波動とは明らかに異なるはずです。しかし、よりナチュラルに誘うのなら波動の弱いストレートタイプを選んだ方がよいでしょう。さらに細めのネクタイに交換する、スカートのボリュームを減らしたり、スカートを全て取り去りネクタイのみで狙うというのも効果的だと考えられます。
ベイトによって選ぶ

タイラバとメタルジグの使い分けの核となるのは、やはりベイトでしょう。ルアーフィッシングにおいてマッチ・ザ・ベイトは基本中の基本です。そのときにターゲットが捕食しているベイトにより近いルアーを使うことが求められます。具体的にはエビ・カニなどの甲殻類やイカ・タコなどの軟体動物を捕食しているときにはタイラバ、小魚を捕食しているときにはメタルジグが有利になります。
しかし実際にターゲットが今、何を捕食しているのか船上から判断することは難しいと言えます。特に甲殻類やイカ・タコの場合は船上からの判断はほぼ無理だといってよいですが、小魚がベイトとなっているときはその姿を船から肉眼で確認できることもあります。海中にキラキラと光を反射する小魚の群れを発見した場合はベイトフィッシュが入ってきた証拠です。また海面に小さな鱗が浮いてキラキラと輝いているときなどは、フィッシュイーターがベイトを追っていると判断してよいでしょう。魚が釣れたときに、食べていたベイトを吐き出すことも多いです。船上で誰かが魚を釣ったら、何を捕食しているかの手掛かりとなる可能性も高いので、確認することをおすすめします。

可能であれば、釣れた魚を捌いて胃袋の中のものを調べれば何を捕食しているのか分かりやすいですが、釣りの最中ではこれはなかなか難しいと言えるでしょう。
一番簡単なのは魚探で確認することです。ベイトの群れが映っているようなときはほぼ小魚だと考えてよいでしょう(イカのときもあるようですが…)。
こういった状況から判断して、ベイトが小魚だと思えるときはメタルジグを投入するというのも一つの手です。もちろん、ベイトが小魚のときであってもタイラバで釣れることは普通にあります。あくまでも一つの判断材料と考えてください。