ショアジギングを楽しむ上でサーフは磯や堤防に勝るとも劣らない魅力的なステージ。そのサーフの一番の魅力は狙える魚種が豊富だということ。
メインターゲットとして人気が高いヒラメやマゴチといったフラットフィッシュはもちろん、青物やシーバスなども多く回遊してくる。
また、オオニベやシイラなどの大型魚も人気の高いターゲットとなっている。どれもショアジギングで狙える魚たちだ。
もう一つの魅力は、他の釣り人が少ないということ。堤防は多くの釣り人で賑わっているのに、その横にあるサーフには誰も人がいないということは珍しくない。
ときには何㎞もある海岸線を独り占めということもある。他の人の存在を気にすることなく、自由にのんびと釣りが楽しめるのだ。
当然、釣り人同士のトラブルというのも少なくなる。マナーの悪い釣り人に嫌な思いをした経験がある人は、ぜひ一度サーフの釣りにチャレンジしてもらいたい。
サーフの種類

一般的にサーフといえば、砂浜を思い浮かべる人が多いだろう。しかし、釣りにおいてサーフに分類される場所は3種類ある。
その一つはもちろん砂浜。海水浴場のような細かいつぶの砂が一面を覆っているようなところだ。
足場が比較的安定しており、根掛かりの原因となるものもほとんどなく、釣りがしやすいというのが特徴として挙げられる。

もう一つは砂利浜。玉砂利と呼ばれる、丸みを帯びた小石で形成された浜のことで、砂浜と比べると、流れが速い傾向にあることが多い。
砂浜よりは多少歩きにくくはなるが、それでも足場が悪いというほどではない。

最後はゴロタ浜。比較的大きな石が集まってできた浜で、サーフというイメージとはほど遠いが、これもサーフの一つとして分類されている。
足場は非常に悪く、歩くのも困難だ。また、非常に滑りやすくなっているため、普通のスニーカーでは危険で、靴底がフェルトやスパイク仕様となった、いわゆる磯靴の着用が必要となる。
こう書くと、砂利浜やゴロタ浜はマイナスイメージが強くなってしまうが、小さな生物の隠れ場所となるものが多いため、それをエサとしている魚の種類や数も多くなってくる。
また、海水浴客やサーファーがほとんどいないため、水温の高いシーズンでも、釣りができるというメリットもある。
装備

基本となるのはウエーダー+ゲームベスト。これがサーフの正統派スタイルだ。
ウエーダーのソールは砂浜のみをフィールドとするなら、ラジアル(ゴム底)で問題ないが、砂利浜やゴロタ浜も視野に入れるなら、フェルトやスパイクとなっているものを選ぼう。
丈は腰以上の高さがあるものが好ましいが、ウエーダーを着用するからといって、沖まで立ち入るわけではないので、胸まで高さがあるチェストハイタイプは必要はない。
逆に延々と膝くらいの水深が続くような遠浅のサーフでは、あまり釣果が見込めない。そのような場所はフィールドとして選ばない方が無難だ。
ウエーダーの購入がネックになってサーフを選ばない人もいるかもしれない。しかし12〜4月といった水温が低い時期以外はスパッツ+ショートパンツといった軽装でも問題ない。
ウエーダーを着用しないのであれば、腰巻や肩掛けといった膨張式のライフジャケットを着用できるので、相対的に身軽な装備で釣りを楽しむことができる。
サーフでのショアジギングはラン&ガンスタイルが基本となるため、荷物は極力コンパクトにしたい。
釣りをするときに下に置く必要のあるボックス類などは携帯しないというのが基本だ。
ロッド1本のみを手に持ち、それ以外のものは身に付けられるようにしておく。
ゲームベストを着用すれば、必要なものを全て収納することが可能だが、ウエストや肩掛けバックなどでも問題ない。
狙うポイント

広大なサーフでは、一見どこを狙ってよいのか分かりづらい。ショアジギングの基本は広く探ることなので、とりあえず広範囲にキャストするというのも一つの手だ。
特に回遊性の高い青物を狙うときは、回遊さえしてくれば、この方法で高い確率で魚に巡り会える。
しかし、ヒラメやマゴチなどは、海底でじっとして獲物を待ち構えていることも多く、魚がいる場所にルアーを通していかなければヒットに持ち込むことは難しい。
ヒラメやマゴチをターゲットとする場合は、そのような魚が着きやすい地形変化のある場所を狙い撃ちする必要がある。
一見、変化に乏しいサーフだが、海底にはさまざまな地形変化が存在する。
まずは目で見て分かりやすい、地上を見てみよう。
ヒラメやマゴチは汽水域を好む習性がある。淡水の流れ込みがある場所は必ず探っておきたい。川などの大きなものはもちろん、ちょっとした流れ込みも無視してはいけない。

次に地上の砂が盛り上がっているような場所も狙い目だ。この砂の盛り上がりは波の影響でできたもので、その形状が海底まで続いていると考えられる。
カケアガリとなっている状況なので、魚が着きやすいポイントとなる。
その他には、何気なく棒などが立てられている場所もルアーを通しておきたい。他のアングラーが釣れた場所の目印として残している可能性もあるからだ。
次に海面に目を移そう。ここにも海底の地形変化に繋がるいろいろなヒントが現れている。
波が崩れる場所というのは底がえぐられている。波打ち際は大きく底がえぐられていることが多いので、足元も決しておろそかにしてはならない。
1カ所だけ波が立つ、または立たないというような場所も他と違う変化があると考えてよい。
また、海面の色が違うところは、地質が違っていたり、海藻が生えている証拠だ。

サーフの一番の好ポイントとなるのは離岸流が発生している場所だ。海水浴やサーフィンでは危険な流れとされる離岸流は釣りにおいては絶好のポイントとなる。
離岸流は流れがぶつかって沖に払い出していくことによって発生する。強い流れとなるため、海底はえぐられ溝ができる。
この溝がフィッシュイーターにとって身を隠す場所となるだけでなく、流れの中にベイトが混じるため、格好の捕食ポイントとなるのだ。
パッと見で判断するのには、経験が必要となるが、離岸流はだいたい同じ場所に発生している。
見分ける特徴としては、地上の砂が盛り上がっている、泡などが多く、沖へ流れている、そこだけ波が立っていない、などが挙げられる。
どうしても狙うポイントを見つけられない場合は、とにかく撃っては歩いてを繰り返して、広い範囲を探っていくのがよいだろう。
タックル

基本は堤防で使うものと同じライトなもので問題ない。ラインはブリなどの青物がターゲットとなる場合は、PE2号程度をチョイスし、それ以外は1.2〜1.5号でよい。それに合わせるリーダーは5〜7号。
ナイロンでもフロロカーボンでも問題ない。ゴロタ浜の場合は7〜10号と少し太めを選ぶ方が無難だ。
メタルジグは何を選んでも問題ないが、ワンピッチ・ワンジャークで広く探る水深があるのでなければ、リアバランスのショートタイプがよいだろう。
リアバランスのメタルジグは、キャストで飛距離を伸ばしやすいというだけでなく、リトリーブでゆっくりと弧を描くようなアクションをする。タダ巻きで誘うような場面で使いやすい。
狙い方の基本

比較的水深がサーフならワンピッチ・ワンジャークで探るよりもタダ巻きの方が向いているといえるだろう。
青物狙いの場合はあまりレンジを気にする必要はない。キャストしてルアーが着水したらすぐに巻き始めるとよい。特にゴロタ浜では、ルアーをボトムタッチさせると高い確率で根掛かりしてしまう。
タダ巻きのスピードは速めが良い。メタルジグが海面を割るくらい速くても問題ない。ときどきピタッと止めて食わせの間を作るストップ&ゴーも効果的だ。
止めるときはしっかりと止めて、巻くときは素早くとメリハリを付けて行うのがよい。

一方、砂浜でヒラメ・マゴチを狙う場合は一度ボトムタッチさせた方がよい。なるべく下のレンジにルアーを通したいからだ。
スピードは速くても魚が追えないということはないが、あまり速いとメタルジグが浮き上がってしまう。
ルアーのレンジが上がりすぎない程度のスピードを心がけ、ときどきボトムを擦るくらいでも問題ない。
ヒラメは砂利浜やゴロタ浜、もっと言えば磯でも狙えるが、マゴチは底が砂泥質の場所でなければ出会いにくい。
つまりサーフでいうと砂浜のみとなるが、もう一つ狙い目となるのが河口部だ。川が隣接しているようなポイントは、しっかりと川の中もルアーを通していきたい。