自分の思う通りにルアーを投げて泳がせ、巻き取るパワーで魚を寄せる、今や釣りに欠かせないタックルのリール。みなさんはリールのスペック表を見て、その意味を正確に理解できていますか? 今回はリールのスペックでも、巻き抵抗に大きくかかわってくるギア比とハンドルの長さに注目してみましょう。
ギア比の意味

ギア比を一言でいえばハンドル回転とローターの回転の割合です。例えば5:1のリールならリールが一回転するとローターが5周回ります。
釣り人がリールを回すと、その力は内蔵されているドライブギアからピニオンギアへと伝わり、ローターを回転させます。製品によっては独自技術などにより若干機構が違うケースもありますが、おおよその流れは同じです。そして、ドライブギアとピニオンギアの歯の数を変えることで、ギア比を調整するわけです。
イメージしづらい人は自転車のギアと同じ理屈と思っていただいて大丈夫。自転車もギアを上げればスピードがアップし、下げればパワーが上がって坂道でもこげるようになりますよね? それと同じです。
ハイギア・ノーマルギア

スピニングリールで主となるギア比は「ノーマルギア」と「ハイギア」です。機種によっては低速な代わりに巻き取りやすい「パワーギア」や、さらにギア比を上げた「エクストラハイギア」などがあります。
ハイギア、ノーマルギアの見分け方は番手をみれば分かります。
例えば番手に「2500HGS」と書かれているとします。このとき注目するのは「HG」の文字、これがハイギアという意味になります。ちなみにこれはシマノの場合で、ダイワの表記は「H」となります。このようにメーカーによって表記が変わるのでご注意を。
ノーマルギアの場合は「2500S」のようにギアの表記が省略されます。「パワーギア」は「PG」エクストラハイギアは「XG」で表されます。
下記の表は、シマノのある汎用リールのスペック表から番手とギア比のみを抜き出したものです。パワーギア、ノーマルギア、ハイギア、エクストラハイギアの順番でギア比が上がっているのがわかりますね。
品番 | ギア比 |
---|---|
1000SSSPG | 4.6 |
C2000S | 5.1 |
C2000SSS | 5.1 |
C2000SHG | 6.1 |
C2500SHG | 6 |
C2500SXG | 6.4 |
2500S | 5.3 |
2500SHG | 6 |
メーカーによって「どこまでがハイギア」という基準は微妙に変わるのですが、おおよその目安は下記のとおりです。
- パワーギア:5未満
- ノーマルギア:5〜4.7
- ハイギア:5.8〜6.1
- エクストラハイギア:6.2以上
釣種に合わせたギア比を選ぶには
ギア比について理解できたところで、問題は「ギア比をどう釣りに活かすのか」ということ。
今までの話だけ聞くと、「なんとなく巻き取りスピードが速いハイギアの方がよさそう」と思われそうですが、巻き取り量が多いという事は、同じ感覚でリトリーブしていても、ルアーのスピードが大きく変わるということです。
ルアーを速く動かす必要がある釣りでは、ハイギアが大きく活躍します。逆にスローな誘いが必要な釣りには向きません。つまり釣種や誘う方法によって、ハイギアとノーマルギア(ローギア)、どっちが有利かは大きく違うわけです。

また基本的にギア比が上がることに比例して、巻き始めの抵抗が大きくなります。技術の進化と次ぎで説明する項目である程度は打ち消せますが、違いは発生しますので把握しておきましょう。
巻き抵抗を考えるならハンドルの長さも大事
ハンドルに掛かる巻き抵抗は「ギア比」以外にも「ハンドルの長さ」が深く関わってきます。ハンドルの長さがどうして巻き抵抗に関係があるのかといえば、みなさんも学生時代で教わった「テコの原理」が原因です。
ハンドルの付け根(支点)とハンドルノブ(力点)の距離が長ければ、リールの回転軸(作用点)に力を加えやすくなります。
ハイギアの場合、弱点だった巻き重りをハンドルを長くすることで打ち消すことができます。メーカーもそれはわかっているので、ギア比が上がるほどハンドルが長くなる傾向があります。

ではハンドルは長い方がよいのかといえば、そこはやはり釣りの種類によって変わってきます。「短いハンドルが巻き取る力が弱い」ということは、同時にルアーの抵抗を感じやすいという利点があります。ルアーが軽量なものはハンドルが短いほうが良いでしょう。手首だけで一定のスピードを保ったまま巻けるのも利点です。
さらにハンドルが短い分軽量化も図れ、結果的にタックルの感度を上げることもできます。これはルアーのライトゲームなどで活躍するでしょう。
それぞれのリールの特徴を生かし、より快適なフィッシングライフを楽しみましょう。