
全てのルアーフィッシングにおいていえることですが、快適に釣りを楽しむ、ルアーの操作性を上げる、獲物を確実に獲る、などの面においてタックルバランスというのは非常に重要です。キャストとシャクリを繰り返すショアジギングにおいてはより一層その傾向が強くなってきます。ルアータックルにおいて、大は小を兼ねるということはほとんどありません。
ヘビーなタックルでライトなゲームをしようとしても無理が出てきます。使用するルアーの重さに応じたタックルをチョイスすることが求められるのです。
ルアーとラインのバランス
ラインの強度はターゲットや釣りをする場所によって選ぶことがほとんどです。一般的にPEラインの強度は号数が大きくなれば高くなり、小さくなれば低くなります。号数が大きくなるほどラインの直径は太くなっていくのですが、ラインが太くなると、さまざまな弊害も発生してきます。太くなるのに比例していろいろな抵抗を受けやすくなるからです。
ガイドの抵抗

キャスト時にラインの放出に大きな抵抗となるものがあります。それはガイドです。特にスピニングリールの場合はスプールからラインが放射状に出ていくのが構造上の特徴となります。それをガイドが徐々に集約しながら放出するため、ラインには大きな抵抗が掛かることになります。ガイドの内側のラインが直接触れる部分には、摩擦抵抗を軽減する材質で作られたリングというパーツが組み込まれていますが、それでも抵抗が無くなるわけではありません。
風の抵抗
ガイドから放出されたラインは空へと舞うわけですが、このとき待ち構えているのが風です。キャストでの飛距離が釣果を大きく左右するため、ロングキャストを必要とするショアジギングにおいては風の影響というのは無視できないものです。ラインが太くなれば、それだけ風の影響を受けやすくなってしまいます。特にPEラインはナイロンやフロロカーボンに比べ、張り・コシが少ないため、この傾向は強くなります。横風が強いときなどはキャストしてメタルジグが着水するまでにラインが風の抵抗を受け、大きく横へ膨らんで放出されてしまい、飛距離の大幅減少に繋がってしまいます。
潮の抵抗
メタルジグが沈んで行けば、ラインも水中に入り風の影響は受けづらくはなりますが、今度は潮の抵抗を受けるようになります。潮の流れが穏やかな堤防などで釣りをしていると感じにくいですが、潮が速くなると顕著にその影響を感じるようになってきます。本流が走る磯場などではラインが潮の抵抗を受け、どんどん流されてしまうため、ボトムタッチが分からない、ということも多いです。
太いラインで軽量なメタルジグを使用すると、飛ぶ・沈むという力の作用に対してラインの抵抗となる力量が大きくなり、思うような操作ができなくなります。逆に細いラインで重いルアーを扱うとキャストの際に掛かる力に耐えきれずに切れてしまいます。
軽量なルアーを使う場合は細いラインを、太いラインを使う場合は重量のあるルアーを使用する必要が出てきます。
また、PEラインの場合、同じ号数でも強度は商品によってかなり違いがあります。号数は太さを表し、強度はlb表示となっています。号数に対して、lb値が高いラインが高性能なラインということになりますが、そういったものは値段も高くなってきます。
ラインとロッドのバランス

ルアーロッドには使用可能なラインの号数が表記されています。メーカーによって表記が異なっており、◯号〜◯号と記載されているものと、MAX◯号と記載されているものがあります。この最大値以上の太さのラインを使用するとどうなるのでしょうか? まずはガイドの大きさが足りないため、キャストで飛距離が落ちてしまいます。そしてラインの強度がロッドの強度を上回ると最悪の場合、ロッドが破損する原因となってしまいます。
かと言ってラインが細くなると、今度はラインブレイクしやすくなってしまいます。ロッドは曲がることによって力を吸収していますが、ロッドの硬さに対してラインが細過ぎると、魚が掛かったときにロッドが力を吸収し切れずにラインが切れやすくなってしまうのです。
強い力が掛かった場合、その力は弱いところに集中してしまいます。ラインが強ければロッドに、ロッドが強ければラインにそのしわ寄せが行くようになるのです。
ロッドとリールのバランス

ショアジギングの場合、ラインは150〜200mは巻いておきたいです。使用するラインの号数に応じてリールのサイズというのもほぼ決まってきます。ロッドは使用可能なラインの号数が決まっているので、どのサイズのリールを組み合わせて使うのか想定して設計されています。つまり想定サイズのリールを装着したときに、バランス良く操作できるようデザインされているのです。リールが軽過ぎても重すぎてもタックルバランスが悪くなり、シャクリの動作などに影響してきます。
このように使用するメタルジグの重量やラインの太さ、それらに合わせるロッドやリールというのはバランス良く組み合わせることが重要です。ターゲットや釣り場が変わったときに、何か一つ変更するのであれば、それに合わせてタックル全体のバランスを考えるようにしたいものです。