サーフとは一般的には砂浜のことを指すが、釣りで言う場合は、ここに砂利浜やゴロタ浜も含まれてくる。
磯や堤防に負けず劣らず釣果を得やすい魅力的なステージだ。
サーフはお魚の宝庫

サーフでの釣りといえば、投げ釣りを連想するかもしれないが、ルアーフィッシングのターゲットとしては年間を通して実にさまざまな魚たちが入ってきている。
ヒラメやマゴチといった砂地に生息するフラットフィッシュと呼ばれるものを筆頭に、ブリやサワラといった青物、シーバスやチヌ、さらにはアオリイカなど多彩な魚種を狙える魚の宝庫といって過言ではない。
この狙える魚種の豊富さがサーフの一番の魅力と言えるのではないだろうか。
また他の釣り人が少ないというのも魅力になる。春や秋のハイシーズンでも前記したようにまばらに人がいる程度。
時期がズレると延々と長い海岸線に自分1人しかいない、などという状況も珍しくない。
つまり、人と干渉することが少なく、打ちたい場所を好きなだけ打てる可能性が高いということだ。まぁ、あまりにも人が居なさ過ぎて寂しく感じることもあるが……。
サーフで釣りをする人が少ない要因の一つにウエーダーなどの装備が挙げられる。

しかし、実際にウエーダーを着用しても、サーフでの釣りの場合、波があるのでほとんど水の中までは立ち入らない。
波打ち際にいる程度で、入ってもせいぜい膝下までだろう。海水パンツなどの濡れてもいいウエアと靴があればあまり困ることもない。
冬以外の海水はそんなに冷たく感じられず、むしろ心地いいくらいだ。ただし、ゴロタ浜の場合はスパイクの付いた靴が必要となるので注意してほしい。
一方、ライフジャケットは必須アイテムといえよう。不意の大波にさらわれぬように注意が必要となる。また、移動しながらでも釣りができるよう、荷物は極力減らしたい。
ルアーや小物を収納できる大型ポケットの付いたフロートゲームベストを着用すると非常に便利だ。
タックルの選び方

サーフでは遠投が重要となってくる。そこでロッドは長めのものを選びたい。10ft前後のショアジギング用かシーバス用が使いやすい。
40gくらいのルアーをキャストできるものがよいだろう。このクラスはさまざまなシチュエーションで使いやすいので、1本持っておきたいところだ。
ラインはPE1.2〜1.5号くらいを選びたい。それに合わせるリーダーは28lb(7号)前後、ナイロンで十分だ。リールはダイワでは3000番、シマノなら4000番くらいが使いやすいだろう。
今回のタックルはサーフのメインターゲットとなるヒラメやマゴチといったフラットフィッシュを想定して説明したが、同じタックルで青物やシーバスも狙える。
ある意味、さまざまな魚が狙えるサーフにピッタリな汎用性の高いチョイスだ。
砂浜ではタックルの扱いには配慮が必要だ。不用意に砂の上に直接置くとリールが砂を噛んでしまう。また、ラインやロッドのガイドに傷が入ってしまうこともあるので気を付けなければならない。
サーフの必携ルアー

フラットフィッシュがターゲットの場合、使うルアーはまずミノーが挙げられる。
その中でもなるべく飛距離の出るものが望ましい。本体の重量やパッケージに記してあるメーカー公表値を参考にするとよい。
使い方は簡単。キャストしてタダ巻くだけでいい。時々トゥィッチを入れると効果的だ。キャストは、広いサーフではペンデュラム・キャストで飛距離を稼ごう。
また、遠投が効くメタルジグやバイブレーションも是非用意しておきたいルアーの1つだ。特に向かい風のときなどはその威力を発揮する。
こちらはキャスト後、着底させたらリールを巻いてルアーを泳がせる。10〜15回くらい巻いたら再び着底させる。これを繰り返せばよい。
ヒラメもマゴチも基本は底狙いになるが、あまり底ベッタリを狙う必要はない。フラットフィッシュはほぼ底のほうでエサを待ち構えているが、目は上向きに付いている。
つまり、上を意識している。砂に同調して身を隠しながら、自分の上を通り過ぎる小魚や落ちてくるものを狙っている。
チヌ狙いのように底をズル引きするよりも、ルアーをしっかり泳がせるほうが効果的だ。
サーフで狙うポイント

だだっ広く、何も変化がないよに見えるサーフだが、狙うべきポイントというのは存在する。代表的なものを紹介する。
離岸流

打ち寄せた波が、沖へ払い出していく流れのことを離岸流と呼ぶ。だいたいいつも同じ場所に発生している。
この流れによって、海底はえぐられ、1本の道ができる。こういった地形は魚の通り道となり、それを狙うフィッシュイーター(魚捕食魚)もそこでエサを捕食している。
離岸流の見分け方のポイントだが、他と違う沖への流れは、押し寄せる波に逆らっているため、その場所だけ波が立ちにくくなっている。また岸で崩れた波が泡となってそのまま流されていく。
つまり、波が立ってなく、シュワシュワの泡が流されているような所が離岸流が発生しているポイントだ。
この離岸流はサーフでの一番のポイントで、地形変化の大きい両端を狙うのがキモとなっている。
ブレイク

ルアーフィッシングでよく使われるブレイクという言葉。急に深くなったり、浅くなったり地形に変化が出来ているポイントを指す。
サーフの場合、波が崩れている場所に地形変化があると考えられる。流れが何かにぶつかったときに波は崩れやすい。
いわゆる波打ち際は最もブレイクができやすく、そのため足元までしっかりルアーを引くことが重要となる。
流れ込み

川の水が海に流れ込む場所は外せない狙い目ポイントだ。川の水には豊富な栄養分が含まれており、その栄養分を求めて多くの生物が集まってくる。
フィッシュイーターたちもそれらの生物を捕食するためにそのエリアに集まってくる。
河口付近はもちろん、ほんのちょっと水が流れ込んでいるだけの場所も外せないポイントとなっている。
最後に、どうしてもポイントが発見できないという人には絨緞爆撃戦法をおすすめしたい。やり方は到って簡単。
キャストしてルアーを引き終えたら、そこから5歩とか10歩とか、自分で決めた歩数を歩いて再びキャスト! これを気が済むまで延々と繰り返す。
文字通り、絨緞爆撃のようにエリアを潰していくのだ。その際、サーファーや他の釣り人には注意して欲しい。長い海岸線の端から端まで往復するくらいの意気込みがあれば、何かしら釣れるだろう。