シーバスフィッシングで使用するミノーのサイズは、7〜14㎝くらいのものが多く、エリアによっても異なりますが12㎝前後が主流となってきます。これはつまり、釣具店に並んでいるほとんどのミノーはシーバスフィッシングに使えるということです。
しかし、ミノーとひと言でいってもその形状や特性はさまざまで、状況によって使い分けることによって、より幅広い攻略が可能となるのです。
ベイトのサイズを知る

シーバスにはシーズナルパターンというのがあって、季節によって捕食しているエサが違います。
そのときどきのベイトにルアーをマッチさせるためには、まずはサイズを合わせるというのが基本となります。
春過ぎから初夏にかけて、イワシやイナッコ(ボラの幼魚)、アユの幼魚などサイズの小さい小魚がベイトとなっており、それぞれにイワシパターン、イナッコパターン、稚アユパターンとして確立されています。
シーバスがこういった小型のベイトを捕食しているときは、ミノーのサイズも7㎝前後など小型のものを使用します。
幼魚は遊泳力が弱く、また、外敵を恐れあまり岸際から離れません。足元や流れがゆるいところに群れていることが多いです。足元にベイトの群れが泳いでいるようなときは期待度も高くなります。

秋から翌年の春にかけてはコノシロがベイトとなるコノシロパターンが人気です。コノシロは20㎝前後とかなり大型もいる。ミノーも14㎝前後の大型のものを使うのがセオリーです。
また、秋口から初冬にかけてアユの生息する河川の河口部では落ちアユパターンというのがあります。
これは産卵後に力尽きて流されていくアユをシーバスが狙っている状況で、このときも大型のミノーを使うことが釣果に結びつきます。
シーバスゲームをやり込んでいくと年間を通して、この場所ではこのパターンが成立する、というのが分かるようになり、おのずとルアーチョイスもできるようになります。
最初は足元を見て、ベイトとなりそうな小魚がどれくらいのサイズなのか確認してからルアーサイズを選ぶとよいでしょう。
タックル

本来、7㎝と14㎝のミノーではタックルは違うものを使った方がよいでしょう。
7㎝のミノーは10g前後、それに対して14㎝ともなれば30g前後となります。
それぞれに合ったロッドの強さやラインの太さのタックルを使うとキャストでの飛距離が出しやすく、ルアーの操作もしやすいです。
しかし、最初はなかなか複数のタックルを揃えるのは難しいです。また、細いPEラインは扱いづらいです。
最初のロッドはミディアムクラス(ルアー負荷25g前後)、PEライン1号を基準とするとよいでしょう。
数あるミノーの使い分け
フローティングタイプ
水に入れると浮くが、引くとリップが水を噛んで、メーカーの設定したレンジまで潜り、一定のレンジをキープしたままスイムアクションします。
通常のリップ付きのモデルであれば、30〜100㎝前後の潜行レンジに設定されているものが多いです。シーバスフィッシングで最も基本となるルアーで主にナイトゲームで使用します。
ナイトゲームでは比較的上のレンジを探っていくことが基本となるため、フローティングタイプのミノーの出番が多くなります。

ある一定の速度で引くとにより設定された最大レンジまで潜り、遅く引くとあまり潜っていかない。引くスピードによって、ある程度レンジをコントロールすることが可能です。
引くスピードを一定のまま、探るレンジを変えたい場合は、リップの大きさの異なるミノーを使用します。
ルアーのパッケージやホームページに潜行レンジが記載されているものが多いので、それを確認しておくとよいでしょう。中には3m程度潜行する大型のリップが設けられたモデルもあります。
こういったモデルは水深の深い場所で使うのに適しており、また、デイゲームでも釣果を得やすくなります。
同じサイズならフローティングタイプはシンキングタイプよりも重量が軽く、キャストでの飛距離では劣るというデメリットがあります。しかし重量が軽い分、ルアーの動きが良くなり、シンキングタイプよりもキビキビしたアクションが得られる=波動が強くなるという面も持ち合わせています。
シンキングタイプ

見た目やサイズはフローティングタイプと同じです。同じ製品でフローティングタイプとシンキングタイプが設定されているものが多く、内蔵されるオモリの重量によって設定が変わるパターンが多いです。
シンキングタイプの方がフローティングタイプより重量が重いため、キャストで飛距離が出しやすいというメリットがあります。
飛距離が重視されるような外海にキャストするパターンではシンキングタイプをチョイスする場合も多いです。
ナイトゲームでももちろん使えるが、デイゲームでの出番が多くなります。また、水深の深い場所ではシンキングタイプが有利となります。
水に入れると沈んでいくため、カウントダウンさせて使うと、下の方のレンジも探っていけます。
シーバスはレンジにシビアといわれており、少しレンジが違うだけで食ってこないケースも多いです。
水深の深い場所ではレンジを刻んで表層から底層まで幅広いレンジを探っていけるのでシンキングタイプを使うことをおすすめします。
リップレスミノー

通常のリップの代わりに顎が伸びたような形状をしたミノー。一般的には通常のリップ付きのミノーより潜行レンジが20〜50㎝程度と浅いものが多いです。
また、リップがないため、キャスト時の飛行姿勢が安定して、飛距離が伸びやすいというメリットがあります。
そのため、近年はリップレスのような形状をしていて、実際はリップの形状を変えることで、飛距離と十分な潜行レンジを確保しているモデルも多いです。
シーバスフィッシングでは表層の浅いレンジを探りたいときの他に、河口部などのシャローポイント(水深が浅い場所)を攻めるのに使われます。
リップ付きのモデルではすぐにボトムを叩いてしまうような場所や根掛かりしやすいポイントでその効果を発揮します。
リップレスミノーにもフローティングタイプとシンキングタイプが設定されているものがあります。

デイゲームでの狙い方
状況によっては、太陽が完全に昇った日中でもシーバスは釣れます。
しかし、やはり狙い目は朝・夕のまづめ時です。どの魚もそうであるように、シーバスもまづめ時には活性が上がり、積極的に捕食活動を行おうとするため、デイゲームを楽しむ上で、この時間帯は外せません。




朝まづめ

東の空が薄らと明るくなり、周りの状況が確認しやすくなります。安全にキャストができるようになるとデイゲームのスタート。
まだ、ルアーをセットするのには手元を照らすライトが必要なくらいの明るさでは、ベイトが上ずっている可能性が高いです。当然、それを狙うシーバスも表層を意識しているため、まずは表層から探っていきましょう。
使うのはフローティングタイプのミノーで、潜行レンジが20〜50㎝くらいのものがよいでしょう。もう少し深く潜るミノーの場合、ゆっくりリトリーブしましょう。
まずは両サイドの人との間隔を認識した上で、投げられる範囲で扇状にキャストして広く探っていきます。

ここで注意したいのは海の様子です。海面がザワついていたり、潮目ができているようなところは集中的に狙っていきましょう。
狙い方はタダ巻きが基本です。リトリーブスピードはハンドル1回転/秒くらいでよいでしょう。反応が無かったり、周りが明るくなってきたら、少しずつレンジの深いミノーへ替えていきます。
日中

完全に日が昇って周囲が明るくなったら、下の方のレンジを探っていきます。
水深5m程度の場所であれば、フローティングタイプでもリップが大きく潜行レンジの深い(3m程度)ものなら使用できます。それ以上に深い場所ではシンキングタイプを使います。
シンキングタイプを使うときは、カウントダウンして沈め、底の方を狙っていきます。
まずはキャスト後にルアーが着底するまでカウントして、何カウントでボトムに到達するか把握しておきます。
そこから1回転/秒を基準としてリトリーブし、反応がなければ少しずつレンジを上げていったり、リトリーブスピードを速くしたりするとよいでしょう。
ときどき、トウィッチやジャークを入れるのも効果的です。

日中は潮目や流れがヨレている場所、ストラクチャー周辺の影になっている場所があれば集中的に探っていきます。
潮目がある場合は、その向こうにルアーをキャストして、潮目を通過するときにトウィッチなど入れてアピールしましょう。
夕まづめ
太陽が西に傾き、だんだん周りが暗くなってくる。再びチャンスタイム到来です。
夕まづめは朝まづめと逆に徐々に探るレンジを上げていけばよいです。暗くなってきたら、トウィッチなどのアクションは避け、タダ巻きオンリーで攻める方が良い結果が得られやすいです。
ナイトゲームでの狙い方

多くのフィッシュイーターは夜間活発に捕食活動を行います。外敵からも、食べようと狙っている小魚からも自分の姿が見えにくくなる夜の方が捕食しやすいのです。
シーバスも例外ではなく、ナイトゲームの方が釣果は上向きやすいです。
また、ナイトゲームではポイントを絞りやすいというメリットがあります。ナイトゲームでポイントとなりやすいのは常夜灯周辺です。
常夜灯周辺の攻め方

常夜灯などの光が海面を照らしているような場所では、シーバスは影になっている部分に身を潜め、明るい場所を泳いでいる小魚に狙いを定めています。
そのため、常夜灯周辺では、明るいところから、暗いところへとルアーを引いていく、というのが一つのセオリーとなります。
明るい方から暗い方へルアーを引くためには、自分の立ち位置を暗い方にすることが必要となります。そのため、常夜灯の真下よりも、光が途切れる暗い場所にポジションすることを心掛けましょう。
ルアーは明るい方から、すぐに暗い場所へ移動させるのではなく、なるべく明暗の境目の明るい方でスイムさせる距離を長く取り、少しずつ暗い方へ近づけていくのがベターです。
一般的な常夜灯で明かりが円形に広がっているような状況では、まず、暗いところにキャストして、リトリーブで光の当たっているところに引いてから、明暗の境目付近をトレースして、暗い方へと引いていくとよいでしょう。
多くの場合、シーバスは明暗の境目付近で、いきなり暗い方からルアーへと襲い掛かってきます。

また、シーバスは堤防の足元に潜んでいることも多いです。
堤防の影が足元にできているような状況では、光の当たっている場所に堤防と平行にキャストして、明暗の境目をトレースしながら、徐々に暗い方に近づけていきます。
橋脚の狙い方

港湾近くの河口部は、橋が掛かっている場所も多いです。そのような場所では、橋脚にシーバスが着いている可能性が高いです。
このようなシーバスを狙うのに有効なのがドリフトです。
ドリフトで橋脚を狙うためには、必ず橋の上流側に立つ必要がありますが、立てるポジションが限られるため、先行者がいたら無理に入るのはNGです。
橋脚の上流側に立てたら、まずキャストで重要なことは橋に向かって投げないということです。
キャストミスで橋の上にルアーが飛ぶと大変危険なため、橋と平行にキャストしましょう。
そして、ルアーを流して行き、狙うべき橋脚にルアーが接近したところで、リトリーブを開始して、橋の影との明暗部をトレースしていきます。