シーバス(スズキ)は、デイゲームに比べるとナイトゲームの方が断然釣れる確率が高い。
ウエーディングをしない完全な陸っぱりからの、夜の河口シーバスゲームの攻略法を紹介しよう。ぜひ基本をマスターしてほしい。
ナイトシーバスの心得

基本的にはデイもナイトも装備はさほど変わらない。ライト類を追加するくらいだ。
夜間は釣れた魚が見えにくいので、素手で直接触らなくて済むように、フィッシュグリップや5本指グローブを装備しておくとよいだろう。
河口域ではぬかるみや滑る場所が多くある。知らない場所に行く際は必ず明るい時間帯に到着し、おおまかに下見をしておくこと。暗いと見つけにくい場所も多いから、明るいうちに探しておくのが鉄則だ。
当たり前だが、遊漁券が必要な河川では事前に購入しておこう。
河口で活躍するルアー

河口で有効なルアーは意外と多い。慣れないうちは飛距離を出すことができるルアーを中心に選ぶとよいだろう。
大きく分けると橋脚や障害物周りではシャローミノー、広範囲を探れるバイブレーション、オールラウンドでシンキングペンシルといったところだ。
ナイトゲームでは大型のシーバスの期待が高まる。100㎜クラスのフローティングミノーも用意しておきたい。
このタイプはデッドスロー(ルアーがアクションする最低限の速さ)が総じて有効。流れに任せたままドリフトしているとガバっとした反応が出ることもある。
全てのルアーを持ち歩きたいところだが、厳選しておいた方が断然効率が良い。多いと迷い、終いには全て投げようとする。多くても10種類くらいにしておこう。
ナイトシーバスの狙い目

建物からの光やぽつんとある常夜灯など、一見影響がないように感じても、真っ暗な世界から見る魚にとっては大きな変化となる。
こういう場所は、ボチャンと大きな音をたてず、ルアーをソフトに着水させるように気を付けよう。明るい場所へ着水させ、明暗の境にうまくルアーを近づけ、その際を狙おう。
満潮時など川底の様子が分からない場合は、海面に描かれる流れの道を頼りに攻めるとよい。この道は他と違う流れのある場所に現れるもので、どんな釣りでもポイントの目安となる。
ナイトゲームで鉄板となる胸脚周り。道路に常夜灯がある橋では明暗が奇麗に演出されるため、釣れる確率がグンとアップする。ホロ系を使ってアピールしよう。
テトラ帯は生物が多く集まる場所。ベイトも捕食&隠れるエリアとして利用する。シーバスはそれを知っているから同様に集まってくる。テトラから飛び出してきたベイトを演出して狙ってみよう。
河口で活躍するタックル選び

現代では多くのシーバスアングラーがブログなどで釣り方を紹介しているから、WEBや動画だけで学んでいる人も多いことだろう。
そこで一番勘違いしやすいのがタックルだ。ルアーは全国共通と思ってよいが、ロッドだけは地域性で大きく変わることがある。
一般的に紹介されている標準とされるロッドは「シーバスロッドMLの8.6ft前後」というところだ。
しかし、オールラウンドに使いたいなら、9ft以上は欲しい。ロッドが長くなるほどコントロール性能は落ちるが、遠投力が必要になる地域が多くあるからだ。
関東エリアを主体とする人にとっては、遠投よりもテクニカルなキャストを求められるポイントが多くあるため、ロッドは短めになる傾向があるようだ。
今まで地域性などを考えずにいた人は、今後は紹介している内容がどこの地域に沿ったものかなどを把握して自分に合わせてみよう。

ベイトパターン
イナッコパターン(イナパターン)
稚アユパターンと並び、河口で実績のあるシーバスパターン。ボラの幼魚をイナと呼び、夏のベイトになる。イナのサイズは10㎝くらいまでだ。
河口域に多く生息するボラは、真水域まで遡上することもある。幼魚も同様であるが、川が大きく増水して濁流となったときは、流れと一緒に海へ吐き出されることも多い。
そうなると戻ってくるまで時間がかかるので、狙うなら吐き出されている最中である。

通常の攻略法は、まずはイナの群れを見付けること。イナの群れが何かに警戒するように急に動いたり、群れが広がったりしている場合は、近くにシーバスが付いている可能性が高い。
さらに、浅場に多く逃げるようにイナが溜まっている場所も、近くの深みにシーバスが待ち構えている確率が高い。
狙い方は単純で、ルアーを投げて使用しているルアー本来のアクションが起こる速さでラインを巻き取ること。
10㎝前後のルアーのアクションは、イワシやイナッコパターンに合わせていることが多いから、素直に動かすのが一番なのだ。次にジャークや速引きを織り交ぜて注意をひいてみる。
ただし、アクションを大きくするほどシーバスはスレてしまうので釣れないときまでとっておこう。
イワシ・コノシロ・サッパパターン

海でも陸でも食料として親しまれているイワシ。シーバスのメインベイトである。イワシの接岸は春から初冬までと長く続くから、イワシパターン=シーバス狙いの定番とされている。
このため、イワシを模したルアーが多く売られている。しかし河口から大きく遡上することはなく、どちらかといえばコノシロの方が多く見かける。
イワシパターンは王道ではあるが、隣接する漁港や堤防での実績の方が高い。
シーバスが活発に行動するシーズンと重なるため、数が多い小〜中型のシーバスも頻繁にアタックしてくる。ルアーの後ろに数尾のシーバスが付いてくる姿を何度も目にすることだろう。
しかしこれがなかなか釣れないのだ。おまけに、何度もルアーを通すとスレてしまって釣れなくなることも多い。
だから1投ごと心を込めてキャスト&リトリーブし、食わなければランガンするくらいの気持ちが必要になってくる。

コノシロは秋ごろに接岸して春〜初夏にかけて産卵する。冬季に接岸する親のコノシロを捕食する大型シーバスが「コノシロパターン」として狙われてきたが、近年ではその姿をあまり見られなくなった。
代わりに、初夏ごろに見られるコノシロの稚魚(4㎝ほど)を捕食するパターンで狙われている。基本はイワシパターンと似ているので同様に狙って問題ないだろう。