
ジグサビキとは、その名の通りジギングとサビキを足したもの。ジギングではリーダーの先端にジグを接続しますが、その間にサビキバリをセットして狙うものを指します。どちらかというとエサ釣りのジャンルとして使われるサビキですが、エサを使わないサビキ釣りもあることから、オモリの代わりにジグをセットして狙うという要素からきています。
しかし、一般的なエサを使わないサビキ釣りは、サビキ(疑似餌)に食わせることのみが目的となりますが、メタルジグを使用するジグサビキでは少し意味合いが変わってきます。
エサ釣りのサビキの役割
サビキとは、ハリをエサとして模すため、ハリに魚皮やスキンを取り付けたものです。さらに効果を増すため、アミなどのエサを撒きながら魚を集めて狙うのが一般的なサビキ釣りです。だから堤防で狙うアジ釣りなどでは、サビキ仕掛けにアミカゴをセットして、マキエを撒きながら狙います。つまり、疑似バリに魚を食い付かせるのが最大の目的となります。
エサを使うサビキ釣りの要点は……
- マキエで集魚する
- 擬餌バリをカモフラージュする
- エサで警戒心を和らげ、食い気を促進させる
などの効果で釣果を出します。

ではエサを撒かなければどうなるかですが、集魚効果がないだけであって、魚がサビキバリに食わないわけではありません。実際に群れの中の魚を狙うときは、エサを使わずにオモリとサビキ仕掛けだけで釣ることもあります。代表的なのがカマスなどです。
ジグサビキの役割
サビキ仕掛けの下にジグをセットするのが通常で、ジグは仕掛けを投げるためのオモリとしての役目が大きいです。
ここで海中に入ったジグサビキをイメージしてください。エサを模した連続したハリの下に、魚を模したジグがある感じです。この意味は……。
- エサを追う小魚
- 全体を見るとベイトの群れ
という風に考えられています。
つまり、全体で集魚効果を演出しているのです。だからジグサビキでは小型魚から良型の青物まで対象となり、なんでも狙える堤防の最強仕掛けといわれるのです。
それならずっとジグサビキで狙えばいいじゃないかということになりますが、弱点は以下の通りです。
- 複数本のハリは取り扱いに手間取る
- キャスティングの際、垂らしが長くなるので投げにくい
- 海中で絡まることがあるから、大きなアクションは向かない
- 藻やブレイクなどがあると、サビキが引っ掛かりやすい
- サビキに良型の魚が掛かると、ラインが切れたり口切れなどのバラシが多い
このように、思った以上にデメリットは多くあるから、状況に合わせた使い方が必要となります。
対象魚
特に有名なのがカマス狙い。カマス用ジグサビキセットとして市販されるほど人気があります。次に小型のブリ(30〜60㎝)やサワラ、アジ、サバ、ヒラメ、マゴチなどです。サビキ釣りといえばアジ釣りがイメージされるほどなのですが、ジグサビキでは15㎝を超えるサイズを狙うときに効果があります。
意外と知られていないのが根魚の釣果が良いこと。ボトムやブレイク、岩場などを中心に攻めるとよく食ってきます。

特に有効なとき
やみくもに使うよりは、ここぞというときに使った方が効率は良いです。トラブルが起きやすい仕掛けなので、通常はジグだけで広範囲を手返し良く狙っていきたいです。
まず、ベイトが少ないときにやると良い結果に繋がりやすいです。海中を賑やかにする効果もあるようです。次に群れがどこにいるか分からないときなど。狙う範囲に対象魚はいるが、回遊しているようでいつくるか分からないというようなときです。アピール力があるので、いち早く見つけてもらえます。
そして、対象魚が一面に群れているとき。対象が大き過ぎると逆によくないですが、カマスやアジ狙いだと手返し良く狙えるため、数が稼ぎやすいです。また、サワラなどラインを切る魚の場合は、切られても複数本のハリがカバーしてくれるので重宝します。
食うのはどのハリ?
サビキのハリが3本、ジグのフックが一つの合計四つのハリでジグサビキは狙うわけですが、魚はどれに食うのか、です。
これは最初に話したジグサビキの見え方、「エサを追う魚」「ベイトの群れ」に大きく関わっているのか、小型の魚ほどサビキに掛かることが多く、大きい魚ほどジグに食ってくることが多いです。ただし、サビキを小魚と勘違いして食ってくるときは、ジグのフックにスレ掛かりすることもよくあります。
また使用するサビキの種類によっても食う場所が大きく変わってきます。
サビキの選び方

アジ、サバなど


これらの魚種は、元々サビキ釣りの対象魚としても有名です。だからエサ釣り用のサビキ仕掛けで問題ありません。
選ぶ際の注意点は、ハリのサイズとサビキバリの種類。サビキ釣りにも当日のアタリカラーなどがあります。例えば、ピンクスキンがよく釣れてグリーンスキンはさっぱりだったり、魚皮しか食わない日だったりと当日の状況により大きく変わることがよくあります。原因は明確には分からないため、数種類のサビキバリを用意しましょう。
カマス・根魚


アジ、サバ用でも構わないですが、カマスの歯は鋭いため太いラインを使用しているものが望ましいです。また、フックのフラッシング効果がカマスには有効となるため、平打ちフックがおすすめです。装飾はアジ、サバ用と違いもっとアピールの高いものを使います。「カマスサビキ」として市販されているものならなんでもよいのですが、船用やオモリを下部に付けて使用するものは長い竿を想定しているので、仕掛け自体が長くハリの本数も多いです。これをジギングロッドで扱うと長過ぎて釣りにくくなるので、3本くらい切って使うと経済的です。もちろん、ジギングサビキカマス用としても売られている。ジグがセットになっているものはカマス対応のものが多いです。
根魚狙いもカマス用で問題ありません。根掛かりしても切れにくいラインの太さやキラキラとアピールする平打ちフックは根魚にも効果を発揮します。しかし、ボトム付近を狙っているとたまにマダイなどがヒットして仕掛けを切っていくこともあるので注意しましょう。
ヒラメ、マゴチ


フラットフィッシュに特化したものもありますが、カマス用でも代用できます。ヒラメやマゴチはジグメインに食ってきますが、食い方が下手なのか口以外に掛かることも多いです。だから、アシストフックとしてサビキバリが活躍することもあります。
ブリ、サワラ、カンパチ



サビキはダミー、ジグに食わせるというのが一般的な使い方。もちろん、サビキに食ってくることもありますが、ジグを食ってフックに掛かり、さらにサビキバリもどこかに掛かるとバラす心配がありません。
サビキを選ぶ条件は、やはりアピール優先。ホログラムシートやウイリーをフックに装飾したものが人気です。
サビキバリのサイズは掛かってもいいようなものでありますが、若干小さめを採用したものが多いです。とはいうものの、エサ釣り用のハリはルアーフックに比べると小さいのが普通です。青物用ジグサビキも市販品があるから、まずはそれから選ぶと良いでしょう。
その他の魚種


ソウダなどの青物は全般的に狙うことが可能で、あまり食べるために持ち帰る人は少ないですが、スズメダイやボラ、サッパ、コノシロ、ダツも掛かることがあります。さらにキスなどが掛かることもありますが、たまに狙うと面白い程度の釣果です。
船用サビキ
船用のサビキがあり、エサ釣りのジャンルで売られています。これを流用することも可能です。
問題は船からバーチカルに釣ることを目的として作られているので、ハリの本数が多いです。使う場合はこれを3本バリくらいに切って使用します。
ものによっては、ハリスや幹糸がマダイや青物対応となっているため、太号数のラインを採用している商品が多いから、強度面では安心して使用できます。
話題のサンマもジグサビキ、サビキ、メタルジグで狙うことができます。通常のサビキ仕掛けを購入する場合は、サンマのサイズにもよりますが、迷ったら5号のハリを選ぶとよいでしょう。素材はスキン、サバ皮の両方を持っていくことをおすすめします。
ジグサビキ用
ジグを使うのを前提にしたサビキ。オールラウンド、他魚種に対応したハリを採用したものが多いです。ハリの装飾はフラッシャーやウーリー、魚皮などさまざまあるので、数種類用意しておくとさらによいでしょう。
ジグセット
お得なジグセットもおすすめ。セット品のジグフックは、リヤがトレブルフックのものが多いです。これはカマスなど追尾型の魚を狙うのを想定してです。根掛かりが多い場所ではあまり向かないですが、このまま使用しても大丈夫です。
カマスサビキ用
カマスの歯は鋭いから適度にラインが太く設定されているため、少々大きな魚が掛かっても対応できます。カマスの引きは強くファンも多いです。
ヒラメ・マゴチ用
フラットフィッシュ狙いに特化したサビキもあります。操作しやすいようにサビキが短く設定してあります。フックもそれに特化したものを採用。魚種によりサビキへの反応が若干違うので、専用品は使う決め手になります。
船用サビキ用
船用に限らず仕掛けの長いサビキが売られています。ジグサビキとしてそのままの長さで使うとキャストしにくいので、3本ほどに切って使用するとよいでしょう。また、船用は太いラインを使用しているので、強度面でも安心できます。特に青物に対応しているものはラインだけではなくハリもしっかりしているからバレにくいです。
ジグの選び方
ジグのアクションはあまり必要としないので、センターバランスのノーマルタイプが使いやすいです。重要なのはフォール姿勢で、スパイラルフォールやイレギュラーなフォールをするものは、絡みの原因になるので適していません。それとできるだけトラブルや根掛かりを防ぎたいので、ジグのフックはフロントのアシストフックのみがよいでしょう。リヤにトレブルをセットしているとテーリングになりやすいです。
投入時に絡んだりする場合は、リヤバランスのジグがおすすめ。ジグから飛ぶようになり、海中でのフォールも安定してジグのお尻から沈んでくれます。
重量については、軽いほどゆっくりと操作できるので向いていると考えてよいでしょう。潮流の速さで選ぶとよいです。
操作法

サビキの長さ分、ティップからの垂らしが長くなるのでキャスト時は地面の障害物などに引っ掛からないか注意が必要です。キャスト時のリリースポイントも垂らしが長い分通常よりは遅くなる傾向にあり、タイミングに気を付けましょう。
着水後は仕掛けの絡みを防ぐためテンションフォールさせ、着底させます。着底後根掛かりを防ぐためにすぐに操作を開始します。
基本は大きくロッドを煽るようにシャクり、ロッドを下げながら余分なラインを巻き取りテンションフォールさせ着底まで見守る。これの繰り返しです。
激しいアクションをすると絡むということもありますが、ジグ+サビキのアピール力があるため、これで十分に魚を誘うことができます。
狙っている魚種にもよりますが、中層以下狙いが多くなります。サビキの長さ分アピールできる範囲が広いため、1回シャクるだけでもジグだけで狙う場合よりも3倍以上広範囲を狙える計算になります。
アワセ方と取り込み
ググッときたらアワせるのは通常と同じですが、サビキに掛かることもあるので注意。強くフッキングを行うと口切れやハリス切れに繋がることもあります。またサビキに掛かった場合は3支点(ロッド→魚→ジグ)になります。テンションを抜くとサビキが絡んだりフックアウトするから、やり取り中はテンションを緩めないように素早く魚を寄せましょう。
取り込みは振り上げが理想で、上げられないようなサイズの魚が掛かったときや、掛かりが浅い場合はタモが必須となります。タモ網はナイロン製かラバー製を使ってサビキバリが刺さり込まないようにしましょう。
