ヒラスズキはルアーフィッシングの中でも難易度が高く、多少波立つ悪条件の中でロッドを振り続けるため、アタリを捉えてついに陸へと上げたときの達成感は格別です。そんな荒磯の王者を討ち取る方法に迫ってみたいと思います。
分布と生態

生息域は太平洋では関東から南側、日本海側からは北陸以南それから九州全域とされています。主にシーバスの愛称で知られるマルスズキとはメインフィールドが違い、河口や河川、堤防には個体数が少なく、主に外洋側の岩礁帯など磯近くにいることが多いようです。
釣り時期と必要な装備
釣りやすいハイシーズンは、スバリ産卵後の回復期である春。あくまで目安ですが、水温が15度を超えてきたあたりで次第に活発化します。そのため3~6月が狙い目となるのですが、日差しが暑くなってきた時期や逆に寒くなる12月後半~1月ごろに産卵が絡み釣りづらくなります。なお、その手前である11月から寒波直前までは割と釣りやすい時季になるのでぜひ狙いたいところです。

一般的に海が荒れていた方が釣れるといわれるヒラスズキ。しかし危険と隣り合わせになることから無理は禁物。シケた磯は思わぬ危険が潜んでいますので、最新の注意が必要です。そのためヒラスズキを初めて狙う人は、必ず経験者と一緒に行きましょう。もちろんライフジャケットは必携、滑らない磯靴やウエーダーを用意して安全対策は完璧にしておきましょう。
揃えたいタックル類
ロッドはだいたい10~11ftのシーバスロッドの中では長めの設定をチョイス。磯は足場が高い場所が多く、大波が来たときは数mの飛沫が降り注ぐので、少し下がって安全な距離を取りたいためでもあります。なお、ヒラスズキ用のモデルが数多くエントリーされていますので、自分の身の丈や予算に応じて選ぶことをおすすめします。
PE1.5〜2号を200mほど巻くので3500~4000番のスピニングタイプが最適。リーダーは根ズレも考慮して30〜40lbを3~4m結びましょう。ルアーはミノー、シンキングペンシル、バイブレーションの12~14㎝くらいからセレクトします。

狙うポイントは
辺り一面に広がるサラシがある場合、消えそうになっている先端が狙い目になります。そのあたりにベイトが流れてきやすいため、ヒラスズキにとっては格好のエサ場となるわけです。サラシがあり、足元から深い場所があるなら目の前に潜んでいる可能性もありますので、躊躇せず狙ってみましょう。
目に見えるシモリや沈み瀬などのストラクチャー近くも、ヒラスズキが小魚であるエサを求めて佇んでいることも多いので迷わずルアーを通してみましょう。
アクションはタダ巻きオンリーで可
基本的なルアーアクションはタダ巻きでOK。速度変化を織り交ぜながら誘い、ストラクチャーの手前でドリフトさせるのもよいでしょう。ヒラスズキがいて捕食のスイッチさえ入っていれば、だいたいこれだけで食ってきます。

なおタダ巻きでも注意点があります。
図の例①を見てみましょう。理想のコースとしては緑色の矢印ですが、何も考えずに投げて巻いていくと、潮や風によるラインの膨らみでどんどん流され、理想のコースから外れていきます。
例②のように流されることを前提としてコースを組み立てましょう。途中でリトリーブを止めて、ヒラスズキに届ける戦略も使えます。
シーバスゲームをしたことがあれば常識レベルの内容ではありますが、磯と川では当然流れの速さが違いますので改めて気をつけたいところです。
ファイトは慎重かつ大胆に行おう
ようやくヒットさせた瞬間、アングラーに立ちはだかる最後の扉が暴力的な引き。足場が低い場合はロッドを立てて応戦しますが、高い場合は寝かせ気味にしてやり取りします。ジャンプしたらそのショックでバレないようにロッドを下げてラインを巻き、テンションを保ちましょう。
気を付けないといけないのは何もヒット中の魚だけではありません。堤防と違い、磯ではいたるところに岩などの突起物があり、それにラインが引っ掛かると高確率で切れてしまいます。
特に、沖に顔を出している岩場に回り込まれたら非常に厄介です。そんなときは、しばらく自由に泳がせておくほかないでしょう。大物はそれまで生き抜いた知恵と経験があるので、心してかかりましょう。このスリリングなやり取りも磯からのヒラスズキ狙いの醍醐味でもあります。
