ヒラスズキ狙いの80%以上が磯のサラシからの釣果となるだろう。ヒラスズキに追われたベイトはサラシの中に追われ、泡に視界を遮られた状態でウネリと波の中、複雑な流れに翻弄される。
サラシの下で捕食の機会を待つヒラスズキにとって、白いサラシの中でベイトの黒いシルエットは際だって目立つものになる。
サラシの中だけで見られるヒラスズキの大胆なバイトは、警戒心を緩めるだけの魅力があることを示す。
磯の構造を知りサラシを読む

ヒラスズキが捕食に選ぶサラシには共通点がある。サラシに厚みがあり白い泡が常に残り完全に消えないこと。沖や深場につづく割れ目や溝が走り、身を隠せるオーバーハングがあるかなどだ。
そのためフィールドでは全力で磯の構造を知る手がかりを探す。潮の動きやサラシの伸び方、ルアーが瀬に触れる場所、満潮や干潮でのサラシの違いなどが把握できれば狙うべきポイントとトレースラインが見えてくるはずだ。
プレゼンテーションとリトリーブ
サラシの中で複雑な流れに翻弄される小魚でも捕食できるようにヒラスズキは波や流れを読む。そのためルアーのリトリーブも波にもまれる小魚の動きを演出する必要がある。
サラシの中での基本的なリトリーブはルアーがアクションする最低のスピードで巻き、サラシの切れ目では高速リトリーブし足下でロッドティプから1mほど巻き残して左右に一回ずつ丁寧にルアーを泳がせる。
重要なのはルアーがポイント上を通過するとき、高い波頭やサラシができるタイミングに合わせてキャストしなければミスバイトや完全に追い切れない状況を作ってしまうということだ。
細身のミノーと風向き

基本的に細身のフローティングミノーを中心に、リップレスミノーやペンシルベイト、ジグミノーなどをセレクトするが、強い風の中で、サラシの向こうまで正確にプレゼンテーションできるルアーを選ぶことが重要。
しかしフィールドを熟知していけば、追い風の日や場所がわかるので軽量のルアーも選択できるようになる。サラシの中ではアピール力があり、スローリトリーブでも安定したアクションするルアーがよい。
カラーの選択はナチュラル系からハデ系を数本用意し順にローテーションしていく。運悪くアタックだけでフックアップしなかったときは、ルアーを見破られたと考え、逆のカラーと交換すれば次のアタックにつながる。
陸側から探りアプローチは慎重に

目の前に広がるサラシ、その先端部がいかに魅力的でもいきなり向かうようなことはしない。足下にいるヒラスズキに気付かず不用意に近寄れば、警戒心が強いヒラスズキは瀬の陰に身を潜めてしまう。
限られたフィールドでいくつリトリーブコースを想定できるかでキャッチ率は大きく変わってくる。
活性が高ければ1投目でヒットすることもあるので手前から順に打っていけばポイントを有効に攻めることができ、数少ないヒラスズキと出会えるチャンスを増やすことができるからだ。
想定できる危険は全て回避する

ヒラスズキ攻略に不可欠な安全策がライフジャケット。サラシが出る条件でライフジャケットを着用せず落水した場合、自力で磯に上がることは非常に難しい。
波やウネリには一定のリズムがあり大きな波が打ち寄せる直前は、足下の海面が一気に引くので特に注意する。波は周期的にウネリと重なることがある。
その場合、想像以上の大きさになるので慎重に立ち位置を選ぶ。危険と隣り合わせのゲームだけに釣行を中止する決断も非常に重要だ。
波の呼吸を掴むことも釣果につながるため、安全=釣果UPの図式は徹底してほしい。