
タイラバは、シンカー(ヘッド)、フック、ネクタイ、スカートという四つのメインパーツで構成されたシンプルなルアーです。各メーカーは、それぞれのパーツを改良・アレンジして、独自の進化を遂げてきましたが、シンプルゆえにあまり大幅に変えることができないのも事実ではないでしょうか。
実際、ヘッド以外のパーツは初期のものからあまり変化がみられないものが多いです。そんな中、新たなアイテムとして注目を浴び、現在ではすっかり定着してきたのがワームです。
ワームの効果
ワームはソルトルアーでは、アジング・メバリングやロックフィッシュ、シーバスやフラットフィッシュなど、さまざまなターゲットで使われています。ワームを使う主な理由は、ハードルアーと違うナチュラルな波動でターゲットにアピールするということと、ハードルアーでは根掛かりするようなポイントを攻めるということです。
ではタイラバではワームをセットすることによって、どのようなメリットが生まれるのでしょうか。
ワームの主な効果は以下のようなものになります。
波動

タイラバというルアーで波動を発するのは主にヘッドとネクタイで、これがターゲットに対する誘いの要となっています。ネクタイはシリコンやゴムでできており、金属やプラスチックと違った柔らかいナチュラルな波動でターゲットにアピールします。
また素材の性質上、形状を変えることも容易で、それにより異なる波動を生み出すことができます。
しかしネクタイはシート状のものをカットしただけの、いわば2次元の形状に過ぎません。薄いシートから発せられる波動には限界があり、ターゲットに対して波動によるアピールは強いとは言えないでしょう。
それに対してワームは似たような材質でありながらも、そのフォルムは立体的で、いろいろなモチーフを3Dで再現することが可能です。立体的なワームは、自然界に存在するものにより近い波動でターゲットを誘うことができます。ネクタイよりも強い波動を発することもできるのです。また成形の自由度が高いため、思い通りの形を作ることが可能となり、イメージする波動を再現するための設計もやりやすくなります。

匂い・味
ワームによく使われている材質はPVC(Poly Vinyl Cloride)で、これはポリ塩化ビニルと呼ばれているものです。略して塩ビと言われることもあります。
この素材は成型時にさまざまな成分を混ぜ込むことが可能だという特徴があります。それによって硬さなどを調整できるのですが、同時に匂いや味のフレーバーを混入することもできるのです。
液体や粉末のフォーミュラーといった後付けの匂いと違い、成型時にフレーバーを混入したワームは、素材の中から成分が出てくるので効果が長持ちしやすいという特徴があります。
また、成型時に混入しなくても、ワーム自体に気泡を多く持たせることで、スポンジのように液体を吸収しやすい特性に仕上げることも可能です。
匂いでターゲットを誘い、味がすることで、ワームを咥えたときには離しづらいというメリットが生まれます。
ネクタイとの同調
ネクタイとフックを同調させるということも、重要な役割の一つです。多くの場合、マダイは最初にネクタイにアタックしてきます。このときネクタイとフックが同調しておらず、全く別の場所にあるとフッキングに至りにくいのです。

フックにワームをセットすることによって、似たような材質・質量のネクタイとワームはリトリーブによる水流を受けると同調して同じように流れます。ターゲットがアタックしてくるネクタイとフックが一緒になっていることで、フッキング率がアップするというわけです。
近年流行りの掛けアワセをする場合、細軸のフックでは伸びたり、折れたりしやすいです。強いアワセにも耐えうる太軸のフックを装着することが求められますが、重量がある太軸のフックはネクタイと同調しづらくなります。このような場合でもフックにワームをセットすることでネクタイとの同調を容易にしてくれるのです。

バイトマーカー
タイラバでは、ターゲットはまずスカートにアタックしてくることが多いです。
その時点ではアワセを入れてもフッキングしません。
最初からフックにアタックしてくればフッキング率が高くなるはずです。フック単体ではターゲットがフックを目掛けてくることはありませんが、そこに何か付いていれば、いきなりフックに噛み付く可能性が上がります。エサ釣りでフックにエサを付けるのと同じだと考えれば分かりやすいでしょう。
ターゲットがフックにアタックしてくるように目印(バイトマーカー)としての役目も果たしているのです。