漁港の堤防や河口など身近な場所で狙うことができ、四季を通して釣り人を魅了する超人気ターゲットのシーバス。1mオーバーも夢じゃない。
こんなところで狙える

シーバスは沖縄を除きほぼ全国の沿岸域に生息し、シーズンによって河川から港湾部、サーフ、磯と幅広く分布する。
離島の穴場ポイントで大物が釣れるのはよくある話だが、それと同じような感覚で市街地の小規模な河川でも超大物を狙えるのがシーバスの魅力の一つである。
シーバスの行動は、ベイトの動きによる影響が大きい。沿岸域にカタクチイワシが接岸すればそれを追い、稚アユの遡上が始まる季節や多毛類の産卵(バチ抜け)シーズンには河口域へと集まってくる。
シーズンごとのベイトの動き、そしてシーバスの食性を注視してポイントと攻め方を決めるのが釣果への近道だが、ビギナーにはなかなか難しいものである。
その点、河口ならポイントを定めやすく、ビギナーでも釣りやすい。またベイトが豊富にいるため、シーバスのストック量も多い。釣り場に迷ったら河口を選択しよう。
色々なシーバス

日本で釣れるシーバスは大きく分けると3種類である。本種のシーバス(マルスズキ)以外にヒラスズキと外来種のタイリクスズキが存在する。
ヒラスズキは岩礁帯を好んで生息するため、堤防で釣れることは少ない。狙って釣るなら沖磯か地磯へ出かける必要があり、どちらかと言えば上級者向けのターゲットである。
タイリクスズキの生息域は本種とよく似ているが、より淡水性が高く、汽水域から河川がメインフィールドとなる。
タックル

ロッド
釣具店のルアーロッドコーナーには数多くのシーバス用ロッドが並べられている。その中から最適なものを1本探そうとすると難しい。
まずはオールマイティーに使えるものが望ましいためよく行く釣り場を店員に伝えて選んでもらおう。
最初に揃えるなら、8〜10ftでミディアムアクションのシーバスロッド。張りがあり、バットにパワーがある方がバラシが少ないのでおすすめだ。
リール
メインラインが150〜200m巻けるスピニングリール。シマノとダイワでは品番に差異があるがシマノなら3000番、ダイワなら2500番が標準サイズ。その他のメーカーでも同程度の番数を選べば問題ない。
メインラインにPEラインを巻く場合、無駄が出ない浅溝タイプのスプールもある。
ライン
ビギナーにはトラブルが少ないナイロンラインが使いやすい。魚の乗りがいいことに加え、それなりに伸度があるからバレにくいという利点がある。3〜5号を150〜200m巻いておく。
PEラインは扱いづらい面もあるが、その点を差し引いてもシーバス狙いでは圧倒的に優位。強度、飛距離、感度などがレベルアップするのだ。
ナイロンラインに慣れてきたら次はPEラインに挑戦してみよう。
PEラインは0.8〜1.5号が標準。細い方が飛距離を伸ばせるが、あまり細すぎると強度の面で不安が出るので最初は太めから、やり取りに余裕が出てきたら細いものも使ってみよう。
リーダーライン

メインラインにPEラインを使用する場合はラインの先端にリーダーラインを結ぶ。フロロカーボンラインまたはナイロンラインの4〜6号が標準。長さは60〜150㎝取る。
フロロカーボンの方が根ズレに強いため障害物の多いポイントでは有利だが、巻きグセがつきやすいのが難点。ビギナーはナイロンを選択した方が無難だ。
ルアーセレクト

シーバス用のルアーは魚の形を模したミノータイプ(フローティング・シンキング)が定番。それにシンキングペンシルやバイブレーション、メタルジグなどを季節やパターンによって使い分ける。
市販されている無数のルアーからこれぞというルアーを見付けるのは難しい。使ってみて釣れたルアーが一番なのだが、すべて使ってみるわけにもいかないので、選び方の基準を覚えておこう。
まずはルアーが泳ぐレンジである。シーバスがボトムにいるのに表層を泳ぐルアーを使っていては釣れる確率は低い。
逆に、シーバスが捕食しているベイトと似ても似つかないようなルアーでもレンジさえ合っていれば、釣れる可能性はある。
したがって、同じレンジのルアーを多数揃えるよりも泳ぐレンジの違うルアーを数種類ずつ揃える方がグンと釣れる確率はアップするのだ。
同じメーカーのルアーで揃えればレンジが明確に区別されているのでおすすめだ。

レンジの次に基準となるのがベイトとのマッチングである。つまり、釣り場にいるシーバスのベイトにルアーの形状やサイズ、カラーを合わせることである。
とはいえ、ベイトの種類は流動的で、情報を得て釣り場へ向かったとしても到着しているころにはベイトの種類が変わっているかもしれない。
そこで、サイズやカラーを数種類揃えておくことで対応できるようにするのである。
サイズは10㎝を基準に、それより大きいものと小さいものがあればひとまず対応できる。
カラーは大きく分けてナチュラル系とアピール系に分けられるので、揃え方の目安としては、ナチュラル系の次はアピール系などと、なるべく同系色を避けて揃えるとよい。
スナップ
リーダーを直接ルアーに結ぶのではなく、スナップに結ぶようにするとルアーの交換が楽になる。さまざまな形状のスナップが販売されているが、10㎝前後のルアーなら1〜2番が標準。
小さくても強度のしっかりしたものを選ぶ。スイベルがついているものはルアーのフックに絡まることがあるのでスナップ単体タイプを選ぼう。
フィールド別の狙い方
岸壁・堤防

アジやイワシなどのベイトが多くシーバスのストック量は多い。1m超級の大物がたまに出るほか個体数の多い40〜60㎝級がコンスタントに狙えるのが港湾部の特徴だ。堤防の影や障害物周りが狙いめのポイントとなる。
季節や時間帯によってレンジが変わるため、ヒットレンジを絞り込む必要がある。基本は上層から下層へと探っていく。
ポイントを定めたら、まずシンキングミノーをキャスト。カウントダウンしてシャローレンジからミドル、ディープとルアーを引くコースを変えていく。
最初は何もアクションをいれず、ただ巻いてくるだけ。
それでアタリがなければ、ルアーを一旦止めてそのまま落とし、しばらくしてからまたリールを巻くアクション(リフト&フォール)や急に素早くルアーを引くアクション(ジャーク)を織り交ぜて探ってみる。
水深が3m以上あるポイントではより深場を探れるディープダイバーミノーやバイブレーション、メタルジグなどを使用した方が効率がよい。
河口域

ベイトが集まりやすい河口域はベイトの回遊ルートや溜まりやすいポイント、流れ込み、他の河川との合流部、水門などを丁寧に探っていくのがセオリーである。
河口では特にマッチザベイトに気を配ろう。例えば春はアユの稚魚が遡上するため、ルアーは5〜9㎝のミノーがよく、秋になり川を下る大きな落ちアユに合わせるには12㎝以上が必要になる。

シーバスは基本的に潮上を向いて泳いでいるため、潮上から潮下に向けてキャストし引いてくる。
河口では潮の干満による流れ以外に川自体の流れも加わるので分かりにくいが、しっかり観察して攻めよう。
流れがある場合、自分が思うルアーのコースと実際のコースがかけ離れていることがよくある。
そうなると狙ったつもりのポイントがまったくチェックできていないことになるので、流れがある場合のルアーの動きを実際に泳がせて見ておこう。

ナイトゲームの場合は光と影を意識する。橋の下で見られる明暗部や橋脚周り、護岸の外灯の光が当たるところなどがポイントになる。
知らないと損するテクニック 岸壁ジギング

メタルジグを岸壁から真下に落とすだけでシーバスを狙える方法がある。遠くへ飛ばす必要がないので、キャストが苦手なら是非覚えておきたいテクニックだ。
水深が10m以上ある岸壁ならどこでもポイントになる。日中、明るいところを嫌うシーバスは影となる岸壁などに着く。それをリアクションで仕留めていくのが基本。
ベイトがより集まりやすいケーソンのスリットや継ぎ目、堤防の先端部なども狙いめだ。
光の乱反射が重要なカギとなるので基本的にデイゲームで、フラッシング効果の高いメタルジグが有利である。

狙い方は、まず真下に落とししっかり着底させる。ラインがフケたらすぐにリールを巻いて、ロッドを小刻みにシャクりながら上まで引いてくる。
海面までシャクったらリールのベイルを起こしてフリーフォール。何もアクションを加えずあくまで自然に落とす。このときにアタってくることが多いのでラインの動きに注目しよう。
アタリが出たらすかさずアワセを入れ、ラインが岸壁に触れて切れるのを防ぐために岸壁から引き離す。あとは取り込むだけである。
ランカーサイズが掛かった場合はランディングが難しいので沖で十分泳がせて弱らせた方がよい。
アタリがなければラン&ガンを繰り返していくのがよい。同じ場所で粘るより移動して広い範囲を攻めていく方が確実に釣果を残せる。
その場合、横に2〜3m移動するのでは意味がないので一度に10m以上移動して広範囲を攻めてみよう。