全長1m、体重10㎏以上にも達するマダラは、北国の海だけに生息する魚というイメージを持たれがちで、西日本エリアでも狙えることはあまり知られていない。
大型のマダラがスロージギングの対象魚となっているのは島根・鳥取の県境から北方約50㎞に位置する島根県隠岐の島周辺。
この地から精力的にタラジギングの魅力を発信し続けている遊漁船・ブルシャークⅣの結家良和船長は、日々新しいポイントの開拓に余念がない。
ウォーミングアップ


この時期としては肌寒い夜明けを迎えた5月某日、ブルシャークⅣに乗り込んだメンバーは、フィールドデバイス社の代表・尾崎匡さん、アームズ・テスターの奥村眞佐夫さんと和田直樹さん、同・モニターの江畑公裕さんと木村陽輔さん・富江さん夫妻の6名。
境港から隠岐諸島までの所要時間は3時間少々で、予定していた午前5時に港を出た。
「冬場のタラには高級食材として知られる白子が入っていますが、身の方はパサパサ。身が美味しいのは夏場で、フライやグラタンで食べると絶品です。コブ締めにして水気を取れば刺身も美味しいですね」と釣行後の楽しみを話していると、1時間ほど走ったところでスローダウン。

まずはウォーミングアップを兼ねたお土産の確保ということで、チカメキントキが狙える水深80mのポイントに立ち寄った。
潮の流れは緩いものの、魚探には底から20mまでの反応が映し出されていて、期待が持てる状況だ。
サイドスラスターを駆使してバーチカルに釣らせるブルシャークⅣでは両舷から竿出しできるが、奥村さんはキャスティングデッキの右舷側に立った。


「ジグはEZ-ダガーの130g。アシストフックはフロント・リアともに3/0にしています」というのが奥村さんのセッティングで、手にしたライトタックルでジグを軽快にシャクる。
フロントフックはストレートポイント、リアフックはカーブポイントのフックとすることで根掛かりを回避するのが奥村さんのこだわり。
ARMS/EZ-ダガー

揺らぎを生み出すフロントのフラットデザインと、過剰な横跳びを抑えるリアのキールデザインが安定した姿勢に貢献。
ジャークでスッと横へ跳び、慣性が働く間は水平姿勢をキープする。狙いのタナまで一気に届く底取りの早さもマダラ狙いでは有利。130g、175g、230g、300g、400gのラインアップ。
良型マダラ続出


水深200mほどとなるマダラのポイントへやって来たのは午前9時8分。
この状況にマッチするジグはEZ-ダガーの300gで、シルエットがハッキリと見える黒色系や赤色系が有効。グロー系の派手めなカラーも実績が高い。
「準備して」という船長のアナウンスを聞いた奥村さんは素早くキャスティングデッキへと移動した。
緊張の第1投。


「最初の1投は特に期待度が高くて早く落とした者勝ちなので、ジグの重さを400gにしてズドンと底まで沈めます。フックは前後とも4/0です」
マダラ狙いの作法は、投入したジグが着底したら素早くリールのハンドルを10回転ほどさせて糸フケを取り、改めて底取りしてからスタートすること。
誘い方はロッドの反発を利用したスロージギング。誰かにヒットすればマダラの活性が上がるので、そのチャンスを逃さないようにしたい。


江畑さんが本命と思われるアタリを捉えたのは開始から9分後。
マダラは重量があるだけにハリ外れしやすく、一定のテンションを掛けながら浮かせてくるのがファイトのコツで、たまに走って抵抗を見せるが、そのときにオマツリすることも少なくない。
アベレージサイズのタラが船長のギャフによってランディングされると、尾崎さん、和田さんにマダラがヒット。富江さん、陽輔さんがそれに続き、わずか1時間で5尾のマダラが船上を賑わせた。
和田さんの2尾目は9㎏のナイスサイズ。

「糸フケを取ってリールのハンドル1回転。そこからのフォールでアタってきました。フロントフックに掛かっていたので、おそらく上から襲い掛かったのでしょう」というヒットパターンから、ネチネチと底を狙うイメージが正解のようだ。
ついに出た大型


その後、ダブルヒットやトリプルヒットのシーンが演じられ、全員の釣果を合計すると2ケタに達した。
しかし、ただ一人蚊帳の外だったのがタラジギングのエキスパートである奥村さんで、繊細かつ流麗なロッドワークで誘っているにもかかわらず、まったくバイトを得られない時間が続く。
マダラ狙いの終了時間が迫ってきた午前11時16分、釣り座をミヨシから胴の間に移した奥村さんが最初のバイトを捉えたが、惜しくもフッキングには至らず。しかしその次の瞬間、ロッドが大きく絞り込まれたのだった。
「最終的にハーフピッチ2回で食わせましたが、その前にアタってきていたから、それで活性が上がっていたと思います」
数回の追いアワセを叩き込んでからは、慎重なやり取りで浮かせにかかる。

やがて海面を割ったのはまさに狙っていたサイズで、船上で検量した結果は11㎏だった。
「ここにきてようやく、ジグが動くと釣れないのではないかと気づきました。多分船の上下動がジグの動きを大きくすることがマイナス要因で、だからトモの方が有利な状況となっているのでしょう」
次の1投、それを裏付けるような釣果を叩き出した奥村さんが、ようやく納得の表情を浮かべた。
「スーッと持ち上げたジグをステイして、そこからスーッとテンションフォールさせるパターンでアタってきました。まるでイカメタルのような誘い方です」

奥村さんが手にした2尾目のマダラは9.5㎏。予定していたタヌキメバル狙いへと移行する直前の10分間は、完全に奥村さんの独り舞台だった。

問い合わせ/ブルシャークⅣ ℡090-8990-4398