ひと昔前までオフショアのルアーゲームというとヒラマサ、マグロ、GTなどの大型ターゲットをメインで狙う上級者向けのもの、という印象が強かった。
しかしタイラバ人気の急騰あたりから誰でも気軽に楽しめるものというイメージが定着してきた。そんなお手軽なオフショアゲームとして今、最も熱いのがSLJ(スーパーライトジギング)だ。
ライトタックルで狙え!

スーパーライトジギングとは、タイラバと同等のライトなタックルで楽しむジギングのことで、シーズンごとに多彩なターゲットを狙っていけるのが特徴の一つとなっている。
また、初心者でも簡単に魚が釣れるといのも人気の理由だ。
エリアによって異なるが、スーパーライトジギングでは水深30〜60m程度のシャローエリアがフィールドとなることが多い。
しかし、だからと言って、決して小物をターゲットとしている訳ではない。大型のマダイや青物がヒットすることも珍しくないのだ。
また、初心者でも簡単に釣れるからと言って決して安易なゲームではない。より多くの引き出しを持っている上級者であれば、テクニカルなゲーム展開で釣果に差を付けることも可能だ。
初心者から上級者まで、技量に見合った楽しみ方があり、そしてさまざまなターゲットが狙える、これがスーパーライトジギングの魅力だと言えるだろう。
多彩なターゲット




いろいろなターゲットが狙えるのもスーパーライトジギングの魅力だ。
特に人気が高いのがイサキで、6〜8月ごろは、各地でイサキ狙いの出船が盛り上がる。スーパーライトジギングを代表するターゲットと言えるだろう。
他にもマダイやアマダイなどのタイ類、ブリ、ヒラマサといった青物、ロックフィッシュ全般、ヒラメなどのフラットフィッシュ、エリアによってはカツオなど、釣って楽しい、食べて美味しいターゲットが目白押しだ。
場所によって得意とする魚種が異なってくる場合も多いので、自分の活動するエリアで何が釣れているのか調べてみるとよいだろう。
また、狙ってみたいターゲットがあれば他のエリアへ遠征してみるのも楽しみが広がるというものだ。
タダ引きで簡単に釣れる

スーパーライトであれ、何であれジギングの基本となるのはやはりワンッピッチ・ワンジャークだ。まずはこのアクションをしっかりと身に付けたい。
しかし、青物をメインターゲットとしていないのであれば、ハイピッチでジャカジャカとシャクる必要はない。
あくまでもワンピッチ・ワンジャークは動作の基本と考え、それを基に振り幅やスピードを変えて自分なりにアレンジしていきたい。
そしてあなどってはいけないのがタダ引きだ。ワンピッチ・ワンジャークと同等かそれ以上に高い効果を発揮する。
ビギナーであれば、一日中タダ引きで通した方が釣果を得られる可能性は高い。

タイラバのように等速でずっと引いてもよいが、スピードに変化を付けたり、ときどきピタっと止めて突然ハイスピードで引くのもリアクションバイトを得られる可能性が高い。
また、オフショアでは止めているだけでも、船の揺れによって、メタルジグは動くので十分誘いになる。試してみるとよいだろう。
ボトムを中心に探ったり、同じレンジで誘いを続けるのに有効なのがスローピッチ・ジャークだ。根魚やボトムに付きやすいマダイやイサキを狙うときは特に効果的なメソッドだと言える。
タックル

スーパーライトジギングで使用するのはライトなジギングロッドだ。しかし、これはポイントとなる水深によって多少異なってくる。使用するメタルジグの重量が変わってくるからだ。
ロッドを選ぶ上で、基本となる考え方は以下の通りとなる。
使用するラインに合ったもの。
使用するメタルジグをしっかりアクションさせられるもの。
そしてこれらの条件を満たしていれば、なるべくライトなものを使った方が、快適に一日中釣りを楽しめる。
ラインはロッドの規定値よりも弱いものを使用すれば、ラインブレイクの原因に、強いものを使用すればロッドを破損する要因になってしまう。
また、ロッドの許容値を大幅に超えた重量のメタルジグを使うと、思うようにアクションさせることができない。
スーパーライトジギング専用ロッドはPE0.6〜1号程度が規定値となっており、30〜80g程度のメタルジグを軽快にアクションさせられるものが多い。

メインターゲットによっても選ぶ基準が変わってくる。
ヒラマサなどパワーのある魚がヒットするエリアではラインは1.5号程度が要求され、それに合わせロッドも多少強いものを用意する必要がある。
しかし、これからスーパーライトジギングに挑戦してみたいと思うアングラーがタックルを揃えるのは大変だ。
テクニカルにアクションを使い分けるのではなく、タダ引きで誘うなら、手持ちのタイラバタックルをそのまま流用できる。
タイラバ用のスピニングタックルであれば、メタルジグを積極的にアクションさせることも可能だ。
メタルジグ

メタルジグは重量さえ、合っていれば何を使っても問題ない。ただし、幅の広いリーフタイプは潮の影響を受けやすいため、他よりも重いものを選ぶ必要がある。慣れない内は避けた方が無難だろう。
ターゲットや季節によっても異なるが、カタクチイワシなどの小型のベイトフィッシュを捕食しているパターンが多く、なるべくシルエットがコンパクトなものを選んだ方が釣果が上向く。
やはりマッチ・ザ・ベイトがルアーフィッシングの基本となるのだ。
ある程度重量のあるメタルジグを使いたい状況下で、シルエットをコンパクトにしたいときに有効なのがタングステン製モデルだ。
同程度の重量であれば、大幅にサイズを小さくでき、同じくらいのサイズであればかなり重いものを使用できる。
小型のメタルジグを使用する頻度が高いスーパーライトジギングにおいて、より高い釣果を得るためにタングステン製ジグはマストアイテムとなりつつある。
フックシステム

ジャークパターンによっても変わってくるが、スローなアクションで誘うケースが多いスーパーライトジギングではフックは前後アシストというパターンがスタンダードだ。
特に、フォールで食わせることを意識した場合はテールフックは必ず装着したい。
シングルとダブルでパターンはいくつか考えられるが、フッキング率を上げるためにフロント、テール共にダブルアシストとするのが基本だ。
SLJで狙える主なターゲット
イサキ
基本は根に着く魚なので、海底が岩礁となっている場所がポイントとなる。根掛かりに注意して釣りを展開していきたい。
しかし、ベイトを追って表層でボイルすることもあるので、ある程度レンジの幅を広げて探っていく必要がある。
口の柔らかいイサキは甲殻類や貝類などの硬いものはほとんど捕食していないと考えられる。根に着くからと言ってボトムを叩くように誘う必要はなく、ボトム〜ミドルレンジを効率的に探っていきたい。
誘い方の基本はタダ引きでよいが、フォールを大きく取ったスローピッチも有効だ。また、引くのを止めて海中でユラユラとステイさせるのも効果的だ。
口の柔らかいイサキは抜き上げ厳禁。必ずタモですくうようにしよう。
マダイ

水圧の変化に非常に弱い魚だ。そのため、速いスピードでレンジ移動をするような誘い方はNGとなる。
船長の指示のあったレンジを丁寧に探っていく必要がある。指示がない場合はボトム中心に探っていきたい。
バーチカルな釣りの場合は特に注意が必要だ。速く巻き上げると大幅なレンジ移動をしてしまう。巻いては落としてを頻繁に繰り返す必要がある。
ドテラ流しでラインが出ているときは速く引いても狙ったレンジを外れにくい。横方向への移動であれば人の手で少々速く引いた程度ではマダイが追えないことはない。速引きも有効なメソッドとなる。
誘い方は振り幅を極力小さくしたワンピッチ・ワンジャークやタダ引きがよいだろう。ボトム中心に探っていく場合はスローピッチで常にボトムタッチを繰り返しながらアピールしていくとよい。
青物

遊泳力の高い青物はベイトを追っていればどのレンジでも食ってくる。ワンピッチ・ワンジャークで広いレンジを探っていくのが得策だ。
フォールよりもジャークに好反応が得られるので、キビキビとしたキレのあるジャークで誘いを掛けよう。振り幅やスピードは大小・速遅を織り交ぜながらそのときのヒットパターンを探っていくとよいだろう。
また、速い動きに好反応を見せることも多いので、タダ引きの場合は速巻きが有効となる。
ベイトを追っているときは広いレンジを探っていく必要があるが、やはりボトムでヒットすることも多い。ボトムタッチは確実に行うことを心掛けたい。
ボトムタッチから巻き上げの瞬間は特に神経を集中させたい。ボトムにタッチした瞬間に高速巻き上げをすると、リアクションバイトしてくるケースも多い。