ここでいうリレー船とは、乗船者がそれぞれに違った釣りを行うミックスではなく、午前中の潮が動いている時間帯はタイラバ、潮が止まっている時間帯はイカメタル、潮が動き出したらシャローエリアでSLJなど、きっちりとした釣り分けをするシステムのことです。
要は、潮待ちなど釣れる確率が低い時間帯に我慢の釣りをするのではなく、効率良く釣れる魚を狙うという、釣り人にとってはありがたいシステムです。
しかし、タックルを吟味中の初心者にとっては、複数のタックルを一度に揃えなければならないので、少しハードルが高くなっているようです。
もちろん釣り方に合わせて専用のタックルを複数揃えてくる人もいますが、その船の常連ほどタックルを併用している人が多いです。
そんな流用できる内容も含めて、竿頭になるための話を進めていきましょう。このオールマイティなタックルセレクトこそ、リレー船でヒーローになるための鉄則なのです。
リレー船を楽しむ

リレー船の最大の楽しみは、複数の釣り方が楽しめ、対象魚が増えるということ。さらにボウズ逃れにもなりやすい。これがリレー船のメリットです。
しかし、ルアー選択やタックルのセッティングがどれも当日に合わなかったら、楽しい一日が台無しになってしまうでしょう。
以前はタイラバ専門船だったところも、最近ではリレーを採用する船が多くなっています。
早朝の乗船場で「俺はタイラバと思って来たのに、違う釣りなら帰る」といったこともあるようですから、以前利用していた場合でも、遊漁船を予約する際にはどんな釣りをするのか確認しましょう。
リレー船でも、時期や潮の具合によって、どの釣りがメインになるか変わってくることもあります。
「午前中はタイラバ、午後からSLJをします。潮が止まったらイカメタルもできるので持ってきてください」などと船長が予約時伝えても、時間配分は、当日の状況で変わるということです。
ここがリレー船のデメリットでもあります。だから、どれかだけ気合を入れるのではなく、どれもそこそこに準備が必要となります。
気合の入れ方

そこで、どれをメインの釣りに持ってくるかですが、まずは船長に質問するのが先です。現在の海の状況で釣りものは決まってくるから、どれかをメインに考えているはずです。
だからまずは船長に聞いて、準備を進めましょう。そして次に狙いたい魚を定めるとよいでしょう。
例えばマダイをメインに狙いたいなら、SLJでも、マダイ狙いに特化したジグを選択し、アクションやレンジをマダイに絞るとよいでしょう。
マダイがメイン魚種となっているときのイカメタルは、潮待ちのことが多いから、船長や隣の釣り人に断って、タイラバを続行しても大丈夫でしょう。
このように、自分が狙いたい魚を絞って釣行すると、失敗は少なくなります。
タックルの選択

全て専用のタックルを揃えるのが一番ですが、現実はなかなかそうはいきません。
例え持っていても、荷物が多くなるし、ましてやその釣りをするかどうか分からないときは、持っていくこと自体が億劫になります。
そんなときはタックルの流用がおすすめです。釣りにくくはなるが、逆にメインの釣りを絞りやすくなるので、気分的には楽です。
ロッド流用のポイント
流用時の注意点は、
①オモリ負荷
②バットの強度
③ティップの感度
④適した食い込み
です。どれかが欠けると使えないというわけではないですが、それぞれ注意点があります。
オモリ負荷とバットの強度

オモリ負荷とは、そのロッドで安全に使用できる最大重量のこと。しかし、陸っぱりのショアジギングロッドと、オフショアのSLJロッドでは全く違う意味を持っています。
実際に見比べたことがある人なら分かると思いますが、ショアのロッドは全般的にゴツく、オフショアのロッドは繊細に感じるはずです。その理由は、ルアーをキャストするか否かで大きく分けられます。
どちらもルアー重量MAX100g負荷のロッドを使う場合、オフショアロッドではその重量のオモリを地面に置いて楽に持ち上げること自体が難しく、フルキャストすると破損の可能さえあります。
つまり、オフショアでは、キャスティング仕様のロッド以外は、キャストするという設計にはなっていないということです。
これをタイラバ、イカメタル、SLJで比べると下記のようになります。

タイラバ(ベイトロッド)
MAX120gくらいまでが主流。大きくシャクることもないので、タイラバの重量+マダイの引き抵抗が計算されたもの。ティップが軟らかいため、軽いキャストも苦手。
タイラバ(スピニングロッド)
積極的に掛けにいくタイプが多く、強いシャクリでもパワー負けしないバットパワーがある。軽いアンダーキャスト程度なら可能。
イカメタル
MAX80gくらいまでが主流。シャクリを多様するが、スッテが細長く抵抗が小さいため、それほどロッドに負荷は掛からない。
ティップがらかくバットがシャクリに対応してしっかりとしているが、少し細身のものが多い。ベイト・スピニングタイプの両方があるが、最近ではベイトが人気。
SLJ
MAX100g前後が主流。意外と重量のあるジグも扱えるスペックのロッドもあります。
しかしイカメタル同様、ジグは抵抗が小さいため重いものが扱える割には、ロッド自体の見た目は細いものが多いです。
ハイピッチジャークといった速めのアクションをあまり多用しないので、通常のジギングロッドよりもパワーは抑え気味。また対象となる魚のサイズも中型クラスまでがターゲットだからです。

各ロッドの特徴を説明しましたが、要はルアーをどう操るかでそのロッドのパワーが設定されているのです。
例えば、MAX100gのタイラバロッドで100gのメタルジグをワンピッチで操作すると、破損する可能性が高くなるということ。
分かりやすところで比較すると、陸っぱり用のシーバスロッドでルアーのMAX重量が28g程度のものでも、タイラバなら80gでも十分に使用可能です。
だから、タイラバロッドでイカメタルを楽しむことはできますが、あまりに強くシャクらない方がよいとか、ベイト仕様のイカメタルロッドでSLJを行うと、釣りにくくなるなど「使えるが注意する必要がある」ということです。
基本的にはどれもオフショアロッドなので、MAX重量を超えていなければ、この三つの釣りでは流用可能ですが、アクション時には注意しておきましょう。
問題はティップの強さ

流用可能なことが分かったところで、一番重要な「感度」について説明しておきましょう。
「使える」と「使いやすい」は大きく違うということは、皆さんご存知でしょう。タイラバ・イカメタル・SLJのどのロッドを流用しても、さほど使いにくさは感じないでしょう。
ただし、釣果に大きく差が出てきます。その理由はティップの感度です。
硬い・軟らかいで意見が分かれますが、専用ロッドはその釣りに一番適したロッドアクションで作られているため、タイラバにイカメタル用ロッドを流用すると、やはり感度が違ってきます。
このため、アタリに気づかなかったり、逆に感度が良すぎて早アワセになることもあります。
タイミングは使用するルアーの重量や引き抵抗によって変わるから一概にこうすれば良いという目安はないので、自分で調整していくしかありません。

ただし共通して言えるのは、使用しているルアーの重量と引き重りに対して、食い込みやすいティップであるかということです。
一気にひったくっていくような魚の場合ならあまり気にしなくてよいですが、タイラバで狙っているときのマダイのように、ちまちま食ってくるときは、食いを弾かないティップの方が断然食い込みは良くなり、バラシも少なくなります。
逆にガバっと食ってくるようなときは、それなりにロッドの弾性が強くないと初期対応に遅れて根に潜られたり、うまくフッキングできなかったりします。
どっちが流用しやすいベイト? スピニング?

流用を考えてロッドを購入する場合、ベイトにするかスピニングにするか迷うところでしょう。
おすすめから先にいうと、ベイトの方が流用範囲は断然広いです。というのもリールとラインの号数が関係してくるからです。
タイラバとイカメタルはベイトの方が使いやすいから、ベイトを持っている人が多いでしょう。だったら、ベイトで揃えた方が後々使い勝手が良いです。
SLJに関しては、スピニングが気を使わずにフォールさせやすいですが、最近はベイトを使う人も増えているようなので、ディープエリアを狙わない限り、ベイトでも特に問題はないでしょう。
ラインの号数

メインラインの号数にも気を配り、ストレスなく釣りをしたいところ。どれも共通して使いやすいようにと考えるならば、PEライン0.8号がおすすめですが、マダイの80㎝クラスや青物が狙えるのであれば、1号は欲しいところです。
またPEラインの号数は狙う深さによって大きく使い心地が変わってきますから、当日メインに狙うレンジにも気を配りましょう。
狙うレンジが80m以上の場合、タイラバなら80〜150gを使うことになる。そうなると、使い心地はPEライン0.8号ですが、確実に魚を獲りたいなら1号以上が無難です。
同じエリアでイカメタルを行う場合は、鉛スッテの100g前後がメインで、150gくらいまで使用しますが、イカはさほど強く引かないので、細いラインの方が使いやすく、0.3〜0.8号が使用範囲となります。SLJもイカメタルと同じ号数でよいでしょう。
以上のことを念頭に、どの釣りをメインにするかでPEラインの号数を決めましょう。