産卵期前後の初夏から初冬にかけてはマゴチが沖から接岸してくるシーズン。
特に産卵後、体力を回復するために食欲を増す。ちょうどお盆あたりの8月中旬からは、ショアからのキャスティングゲームでの格好のターゲットとなる。
生態と捕食行動

古くからなじみの深い魚である割りに、学術的にはその生態は詳しく解明されていない。
季節による長距離の移動は行われないとのことだが、秋には水深50mほどの深場に移動し冬から春にかけて砂泥底に身を沈めてエサを取らない冬眠状態になるといわれている。
捕食行動については、頭の上まで砂をかぶって目だけを出して、獲物のエビや小魚、環虫類などが近付くと猛然と襲い掛かり大口を開けて飲み込む。
狙える時間帯

ベイトの動きが活発になる朝夕まづめ時、特に夕方、日没後の明るさが残っている時間帯に活性が上がることが多い。
照りゴチと呼ばれるように真夏の日中でもバイトチャンスがあるので、水温、潮流などの条件が良くベイトフィッシュが溜まりやすい所は時間帯にこだわらずにチェックしよう。
夜間は、多くのフィッシュイーター同様、港湾や河口の橋脚の常夜灯周りが狙い目となる。
ルアーフィッシングでのポイント選び
ベイトとなる小動物が豊富なサーフや河口、港湾部でマゴチが獲物を捕らえるために隠れられる砂泥状の底質がある場所がよい。
さらにベイトの通り道になるようなカケアガリなど地形の変化がある場所を狙う。ベイトが溜まりやすい潮目など流れの変化にも注目しておこう。
一級ポイントを見つけるために、まずは地形の変化に着目しカケアガリになっているところを探そう。
地形の変化は、潮流の変化にも連動しており、ベイトフィッシュの存在などと合わせてマゴチが好む環境条件がそろっている場合が多いからだ。
港湾

多くのストラクチャーが存在し、ベイトも豊富なエリアだ。人工建造物が多いので海底の様子を予測しやすいのもメリット。
潮が港内に流れ込んでぶつかる場所なども好ポイントになるので、港内の潮の動きを考えて狙ってみよう。
船道
港湾部の入口など船の通り道はすり鉢状にえぐられているため、通り道に沿ってカケアガリを形成している。ここには植物が発生しやすくベイトも集まって来やすい。
頻繁に船の往来がある場所は難しいが、さまざまな魚が集まってくる場所だ。
堤防の先端部
潮通しの良い、堤防の先端部はベイトの回遊も多く、流れのヨレにベイトが溜まる場所でもある。また流れの影響で海底が掘られたり、砂が堆積したりと地形の変化も多い。
テトラ際
テトラが積み上げられているということは、潮流がよく当たる場所と考えられる。海底のテトラ際などは、ベイトの回遊コースとなり、マゴチが好んで捕食するエビ類も豊富。
さらにマゴチの隠れる場所にもなっている。
排水溝周り
栄養豊富な流れ込みは、プランクトンを食べに集まってくる小型生物が豊富にいる場所で、フィッシュイーターたちが集まる場所でもある。
このような場所の海底には地形の変化がみられ、その凹凸はマゴチにとって身を隠しやすい場所にもなる。
河口

川と海の両方からベイトが集まってくるだけでなく、本流や流入河川などの流れが複雑に絡むので、大小の地形変化が混在している。
底質は砂泥が多く、エビやカニなどマゴチが好んで食べるエサが豊富に生息している。
マゴチはかなりの淡水域まで上がってくるが小型が多く、大型は汽水域までを狙う。
ミオ筋
本流が流れている所の底は、深くえぐられておりその両端はカケアガリとなっている。流れの強い場所は上流から弱ったベイトが流されてくるためマゴチが待ち構えている可能性が高い。
流れが緩む場所
流されたベイトが溜まったり、回遊するベイトの休憩場所となるため、これを狙ってマゴチが集まってくる。障害物や地形の変化が絡んでいる複雑な流れの場所があれば重点的に攻めてみよう。
橋脚や水門
マンメイドストラクチャーは探しやすいポイントだ。その周辺には地形や流れの変化があり、夜間は照明、日中はシェードといった明暗の変化も狙い目になる。
サーフ

目立った変化のない場所に見えるが、波の影響で海底の起伏も複雑に変化している。砂の流出を防ぐ砂防(堤防・テトラ)や、岩礁帯が近くにある場所も有望だ。
こういう場所は潮の流れがキーポイントで、潮がぶつかる場所や流れが溜まる場所など、他と違った流れの変化がある場所を見つけて狙おう。
離岸流
目に見える障害物がなければ、離岸流を探すことだ。周囲に目立ったポイントがないような場所ならここが1級ポイントになるはずだ。
注意すれば探すのは簡単で、サラシが沖に伸びているような場所、足下の砂の粒が他よりも粗い場所、波が立ちにくい場所が目安になる。
離岸流の下は底の砂がさらわれて深くなり、左右両端がカケアガリになって沖に伸びている。
離岸流の真ん中を狙うのではなく、両端のカケアガリを攻めるようにする。マゴチの他ヒラメやシーバス、青物なども有望なポイントだ。
沖のテトラ
サーフの沖にテトラが積み上げられているような場所は、離岸流の発生しやすい場所と考えられる。テトラ帯があることで、流れの変化はさらに複雑になり、海底の変化も複雑になっている。
遠投が必要になる場所が多いので、バイブレーションやメタルジグでロングキャストして狙う。
流れ込み
サーフには、小川とも呼べないような小さな流れ込みがあることも多い。このような流れ込みも重要な変化であり、ベイトフィッシュたちにとってもエサが豊富な摂餌エリアになっている。
このような小さな流れ込みは雨後にできた一時的なものと、絶えず出ている湧き水がある。波打ち際で切れてしまっているように見える流れ込みでも、湧き水として沖まで出ている場所は要チェックだ。
ブレイク

波打ち際から沖に向かい突然深くなる場所がブレイクだ。ブレイクは波打ち際に沿って砂浜全体にある最も大きな地形変化といってもよいだろう。
イワシやアジなどサーフで頻繁に見ることができる回遊魚のほとんどはこのブレイクを回遊コースとしており、青物などが沖からベイトを追い込んでいるシーンを見かけることも多い。
ブレイクは岸から1つだけではなく、沖に向かって階段状になって何段かあるのが普通だ。
段数、高さ、位置などは状況によって変わるので岸からどれくらいの位置に大きなブレイクがあるのかを知ることが必要だ。
ルアーをキャストして底を取れば分かるが、打ち寄せる波が崩れる場所がブレイクの頂点となっていることが多いのも覚えておくといいだろう。
ルアーセレクト
効率よく狙うためには、マゴチがいるボトムから1mまでの範囲を狙えるルアーを選ぼう。
水深の浅い場所ならミノー系でもいけるが深い場所ならワーム、さらにサーフでブレイクが遠いときは、バイブレーションやメタルジグなどをセレクトする。
ミノー

アジやイワシなどの小魚がベイトのときに使う。
タイプによって遊泳層が限定されるので水深、狙うレンジによる使い分けが必要。
シンキングタイプではフォールを、フローティングタイプでは浮き上がりをアクションの中に組み込んだ誘いをかけていこう。
サイズはベイトに合わせるのが基本だが、小型のもので飛距離が足りない場合は、ポイントに届けることを優先して、空気抵抗が少ないリップレスミノーやサイズの大きいものを選ぶ。
飛距離を稼ぐための重心移動システムを採用したものを選ぶのもいいだろう。
カラーセレクトは光量の多いときは、イワシカラーなどベイトを意識したものを、曇りやまづめ時ならアピール系のカラーをメインにしながら、状況に応じて両方をローテーションさせていく。
やる気のある魚を効率よく狙えるルアーなので数投ごとに移動しながら広い範囲を探るようにしよう。
ワーム

マゴチが好んで捕食するエビやシャコがいるところで使ってみたいのがクロー系。キスなどボトム近くにいる魚が多い場所ならシャッド系のものを選ぶ。
ボトムにコンタクトさせながら使うのでリーダーは長く、太目を選ぶのがよい。
アクションの基本はズル引き。その際にロッドを立てたり、リーリング速度を速めたりして海底スレスレをスイミングさせるのも効果がある。
エビが跳ね上がるようなアクションをまねたボトムバンプやリフト&フォールを交ぜ、動きにメリハリをつけるのも有効だ。
根掛かりの多い場所では、フックがむき出しになったジグヘッドの使用を避け、オフセットフックと組み合わせたテキサスリグやキャロライナリグを使うとよい。
ワームのサイズやカラーは、ベイトに合わせるのが基本。反応がよくないときは早めにカラーローテーションさせるのがよい。
メタルジグ&バイブレーション

飛距離を稼いで広範囲を探るタイプのルアー。
ワームのようにリフト&フォールさせたりミノーのようにスイミング&フォールでリアクションバイトを誘ったりとアクションの種類は多いが、じっくり見せていくような誘い方は苦手。
メリハリのある速めのアクションでリアクションバイトを狙うのに向いている。

リアクションバイトは、活性が高いときだけでなく、低活性のマゴチの捕食スイッチを入れるのにも有効。
アタリがあっても乗らなかったときは、そのポイントを覚えておいて、ワームを使ってじっくり攻めるといったパイロットルアーとしての使用もできる。
カケアガリの位置や、潮の流れ方、底質など初めてのポイントで広範囲のエリア情報を短時間で集めるには最適なルアーだ。