魚と釣り人を結んでくれる重要な釣り具でもある釣り糸(ライン)。釣りを快適にこなせるかの重要な役割を担っています。
釣りで使うラインは種類が豊富で、素材が違うものもあります。まずはラインの選び方を知りましょう。
ラインの種類

ラインは主に、ナイロン、フロロカーボン、PE、エステルといった素材でできています。それらの素材を各釣種に合わせた組み合わせで選ぶことが基本となります。
例えば、フカセ釣りの場合、リールに巻く糸にはナイロンラインがよく使われ、仕掛けによっては、PEラインやフロロカーボンが使われます。
ソルトルアーの場合は、ほとんどの釣りでリールに巻く糸にはPEラインが使われています。初めての釣りの場合、リーダーを結ぶ必要のないナイロンやフロロカーボンが使われることもあります。
ただし、アジングの場合は比重が大きく、感度も良いエステルラインが主流の一角を担っています。エステルラインは他にもアユ、トラウト、ワカサギなどで使われます。
バス釣りの場合はナイロン、フロロカーボンをルアーによって使い分けます。PEラインも使われるようになってきました。
ライン選びは実にいろいろな意見があるため釣り人によっても好みが分かれます。
メインとなるリールに巻く糸は、最初は各釣りの仕掛け図に書かれているラインをそのまま選ぶか、トラブルの少ないナイロンラインを選べば間違いないでしょう。

ラインを選ぶ基準
ナイロン | フロロカーボン | PE | エステル | |
---|---|---|---|---|
伸度 | よく伸びる | 伸びる | ほぼ伸びない | 伸びない |
感度 | 普通 | 良い | とても良い | とても良い |
比重(一般的なもの) | 1.14(水に近い) | 1.78(よく沈む) | 0.97(漂う) | 1.35(ゆっくり沈む) |
結束強度 | 強い | 普通 | 弱い | 強い |
引張強度 | 強い | 普通 | とても強い | 普通 |
劣化速度 | 普通(吸水性あり) | 遅い(吸水性なし) | 遅い(吸水性なし) | 遅い(吸水性なし) |
耐摩耗性 | 普通 | 強い | 弱い | 強い |
リーダー の必要性 | なし | なし | 必要 | 必要 |
まずは上の表を確認してください。これらはラインの性能表になります。それぞれの意味を解説していきます。
伸度
ラインに荷重を掛けた場合、どのくらい伸びて切れたかを表します。
感度
ラインを張った状態での感度を表しています。これは、主に伸度が小さいほど良い傾向があるとされています。
ちなみにナイロンラインはこの表でいえば感度が低いとされていますが、あくまでラインを張った状態での感度を指しています。状況によってはナイロンラインが良いとされることもあります。

比重
水を1とした場合、ラインがどれだけの重さがあるか示す数値です。比重はルアーや仕掛けによって有利にも不利にも働くので、ライン及びリーダー選びにおいて非常に重要な要素です。
ちなみに真水より海水は比重が1.03〜1.04と若干重くなっています。これは塩分を初めとしたいくつかの要素が海水に含まれているためです。
ライン選びの場合はあまり関係ない要素ではありますが、海水は淡水のほうが重いという知識はもっておきましょう。
結束強度
ラインを結んだときの解けやすさを表します。結束強度が低いラインはリーダーを使いましょう。
引張強度
文字通り引っ張ったときに切れやすいかどうかを指します。一般的にいうライン強度はこれを示すことが多いです。直線強度ともいいます。
16lbと引張強度を記載している場合、「16lbまで耐えられる」ではなく「16lbの不可をかけると切れる」という意味です。
実際のファイトではロッドのしなりやドラグなどの関係でそれ以上の重さに耐えられることもありますが、大物が掛かり負荷が強くなったときは注意しましょう。

劣化速度
同じように使用した場合、劣化の早さを示します。
耐摩耗性
ラインを硬い場所で擦ったときの強度を指します。
リーダー(ハリス)の必要性

リーダー(ハリス)の必要性を示します。
表ではナイロンとフロロについてはリーダーは必要ないとされていますが、使用する場合もあります。
例えばフカセ釣りでは必ずと言ってよいほど、リールに巻く糸の先端にはハリスを取り付けます。
特徴をよく知って使い分けよう
ナイロンライン

ナイロンラインは応用範囲が広く、あらゆる釣りで使いやすいラインです。しなやかで程良い強度、巻き癖も付きにくく、ライントラブルが少ないので初心者にも扱いやすいです。
多少伸びるという特性もあるためショックリーダー(ハリス)として使われることもあります。
吸水性や紫外線による劣化が激しく、それをフォローするための製法やコーティング技術などが施されています。
昔は価格が安いという利点がありましたが、現在はさほど差はありません。
フロロカーボンライン

素材が硬く、ラインに傷がつきにくい耐摩耗性が特徴で、岩や障害物の根ズレに強いラインです。
ナイロンに比べて伸び率が低いため感度が高いとされています。比重が他のラインに比べて大きいため、アジングやバス釣りに愛用されています。
また、耐摩耗性が非常に高く、根ズレに強いためリーダー(ハリス)としてさまざまな釣りに使われています。
PEライン

伸度が低いため感度が高いうえに、細くても強度が高いことで、大半のルアーフィッシングや大物釣りで主力とされています。
同じ号数のナイロンラインに比べて2.5〜3倍の強度があるといわれており、その分ラインを細くできることも優秀な点です。
弱点として、摩耗に弱い、結束強度が弱い、比重が小さく風に吹かれやすいなどの欠点もあります。リーダーや操作技術によって欠点を補う必要があります。
エステルライン

PE以上に伸度が低く高感度で、かつ高比重が求められる釣りに使用されます。
耐摩耗性もナイロンラインよりは高いです。ただし引張強度が低いため、リーダーが必須となります。
このことから、利用に適したターゲットがある程度限られており、万能というわけではありませんが、一部の釣りでは絶大な人気があります。
各ラインの特徴を紹介しましたが、実際にはコーティング材などさまざまな工夫が各メーカーで施されているため、すべてがこの表通りに当てはまるわけではありません。
あくまで一般論として覚えてください。
号数とポンド

ラインは号数とlb(ポンド)によって太さを選びます。ただし本来、号数は太さを表すのに対し、lbは強度を指しています。
ナイロン、フロロ、エステルラインについては1号は0.165㎜となっいます。(平成22年、日本釣用品工業会で基準が定められており、製品の1点を3方向から計測した平均値となっています)
ちなみに1号を10倍の太さにすると10号になるわけではありません。詳しく理由を解説するとちょっと長い話になるので、ここでは一旦そういうものと覚えてください。
lb(ポンド)は強度を表しています。日本では基本的に号数とlbで規格を作成していますが、海外ではlbが基準となっています。
簡易的なものにはなりますがlbを号数に変えたい場合は以下の数式が使えます。
「ポンド÷4=号数」
PEラインの号数

PEラインの場合は他のラインと少し事情が違います。
PEラインは原糸を束ねた縒り糸であり、使用する原糸の素材や編む密度によって強度が変わるためです。
さらに、縒り糸という特性上、押せば潰れてしまうため、直径を図るのが困難です。そのため、PEラインの号数は重さが基準となっています。
PEラインの規格は1号=200d(デニール)であり、これは9000mのラインの重量を計測したもので、つまり1号のラインを9000mの長さに切って重量を図ると約200gになるということです。
一応、号数からおおよその強度を割り出す方法もあるのですが、「号数×15〜20≒ポンド」となり、かなり曖昧な数字になります。