
「リーダーの長さはどれくらいにすればいいですか?」と、ある日聞かれてふと気付く。あれ? なんでだっけ? そういえばいつからだろう、この長さ。確か理由があったはず……。特にトラブルもなく通してきた長さだから、当然のようにセットしていた。……そんな経験ありませんか?
リーダーを引き出すときにカウントさえしている。むしろ体で覚えてしまっている。
「なんでその長さなんですか?」 そう聞かれた時のために、リーダーラインの長さについて考察していきましょう。
またあくまでも長さは使用する釣り人個人に委ねる内容なので、長い方が良い・短い方が良いという議論はここでは致しません。
伸び率から考えた長さ

リーダーにはフロロカーボン、ナイロンとありますが、実はフロロカーボンとナイロンの伸び率はそれほど変わりません。
ナイロンラインは「初期伸度」が大きく、小さな力でも伸びますが、同じ力で引っ張れば、フロロカーボンは伸びが少ないです。
しかし、結果的に伸びるのは同じということ。つまり、使い続けるとどちらも伸びて細くなり、強度が下がるのです。このため、細いラインを使う釣りでは長いカーボンラインを使い、より強度が保てるようにしています。

リーダーラインは長いほど全体で衝撃を吸収するため、伸びて細くなり強度が落ちて切れるという確率は減ります。
「では、メインラインもフロロカーボンで釣ればいいではないか」と疑問に思われる人もいますが、ライトゲームはともかく、やはりPEラインの感度と強度、軽量さには敵いません。逆にPEラインだけだと擦れに弱い。PEライン+リーダーラインが理想なのです。
ヨレから考えた長さ

フロロカーボンラインは硬めで巻きグセが付きやすいです。
だから、海中でルアーがくるくると回ると、リーダーラインにもヨレが生じ、ときには絡まることもあります。
そのヨレを解消するためにも、ルアーとリーダーラインの接続にはスイベルをセットする人も多いです。
リーダーラインが長いほどヨレは多くなり解消するのも時間がかかります。だから、リーダーラインは短いほどトラブルは少ないということが言えます。
魚から考えた長さ

PEラインは擦れに弱いです。
だからフロロカーボン製のリーダーラインをセットしています。その擦れとは根ズレだけではなく、魚との擦れも意味しています。
青物を釣り上げたときに魚体を見ると、ラインの跡が付いていることがあるほど、魚にラインが触れていることが分かります。このときに、ヒレやエラなどでラインが切れにくいように魚の全長よりも長いリーダーラインをセットします。
「魚が触れただけでラインが切れるの?」という初心者の方は下の写真を見てください。これはサワラがリーダーに接触してできた傷です。魚種にもよりますが、リーダーですらここまでボロボロになるケースがあるのです。

消耗から考えた長さ
ルアーを変更する際にカットする分、根掛かりによるキズや損失など、リーダーラインを切り捨てることは多いです。
その度に短くなるから最初から短いとすぐに交換しなくてはならなくなります。結び直す際でも、少なくとも20㎝ほどは必要になるから、最低でも釣り始めは1m以上は結んでおきたいですね。
魚の視力から考えた長さ

ラインが魚に見えているかどうかあまり気にしない人もいますが、気にする場合を前提として考えてみましょう。
魚の視力は0.1〜0.4ほどしかありません。これは2mほど近付かないとはっきりと認識できないレベルです。しかし、ヒラマサなどはかなり遠くからでもルアーを追ってくることがあるから、視力だけではなくいろいろな機能でエサを察知していることが分かります。
カーボンラインは海中では見えにくくなりますが、PEラインははっきりと見える。視認距離が2mと考えると、その場合3mほどは取っておきたいですね。
やり取りから考えた長さ

オフショアの場合、魚への擦れの他に、魚が浮いてきたときに船の下へ回ろうとすることがあります。
このとき、PEラインが船底に当たって切れることがあります。だからその長さ分のリーダーラインが必要となります。 船の大きさにもよりますが、10mくらいあれば大丈夫でしょう。
一般的には、リーダーラインの長さは5mを基準にしている人が多いようです。
キャスティング時の長さ

軽く投げるくらいならさほど関係ないですが、トップゲームなどの場合はPEラインとリーダーの結節部分が気になるところです。
キャスティングの度にガイドに引っ掛かったりバチッと当たる音がするとあまりいい気分はしません。気になるならキャスト時にガイド内に結節部が入らないような長さが望ましいです。その場合は1mくらいですね。
しかし、オフショアキャスティングゲームの場合は、対象魚がヒラマサやマグロなど大型魚のことが多いから、リーダーラインを長めに取っている人が多いようです。