ケミホタルに代表される化学発光体は、暗い時間帯や太陽光の届かない深い海で重宝するアイテムである。
さまざまなシチュエーションで使われていて用途の幅も広い。使うと使わないのでは釣果に差が出る化学発光体について考察する。
光の反射で物を認識

人間は物体に当たって反射した光の波長によって、その物自体を認識している。
例えば、ある物体がある場所に固定されていたとして、人間が感知できるのは明るい時間帯のみだ。真っ暗になると見えなくなるが、見えないからといってその物がなくなったわけではない。
つまり、目から得る情報を脳で分析し、認識するためにはある程度の光量が必要なのだ。
日没後、太陽光が届かなくなると、活動に制限されてきた人類は人工的な光を使うことで暗い夜も活動できるようになった。
色の波長と色覚

一定の波長の範囲内に限られるが、人間は色を識別できる。
ただし、色の三原色である赤・青・緑を感じ取る色覚を基準にすると、紫より短い波長と赤より長い波長は人間の視覚では認識できない。
では魚にはそのような色覚があるのだろうか。
厳密な色の判別はできないにしても沿岸域の魚には、光の波長の違いから色を見分ける色彩感覚があるとされ赤・緑・青、人間には感知できない紫外線の4種類の色を認識できる。
さらに物体の形態や構造を識別する形態視覚、動いている物体に対して運動速度や方向を見定める運動視覚、さらに明るさを見極め光源の位置を知ることができる明暗視覚なども備わっているようだ。
つまり、魚の感知能力は想像以上に高いことが伺える。
光に集まる夜行性のベイト

常夜灯や集魚ライトの光に集まるプランクトン。それらを食べるアジやサバ、さらにその魚を捕食するイカやタチウオ。これらの魚は光に寄ってくるベイトを食べにくる。
一方、甲殻類を捕食するマダイやチヌは夜行性のカニやエビが活動を始める暗い時間帯でも活発にエサを追う。
魚には側線という水の波動を感知する部分があり、光が届かない深いところでもエサの動きを捉えることができる。
魚は光量によって物体を認識しているだけでなく、光の有無に左右されるベイトの動きとともに活動している。
夜間も日中同様、いやそれ以上に活発な捕食活動をしている魚の生態を知ると自然界の営みが垣間見える。
化学発光体の使い方

夜は大きな魚や日中にはお目にかかれない珍しい魚が釣れることがある。そんな夜釣りの必須アイテムである化学発光体は2、3カ所パチンと軽く折り曲げると光り始める。
使い方は、発光させたものをウキのトップに差したり、釣り竿の穂先に巻き付けたりする。リチウム電池は水に濡れると使えなくなるが、化学発光体はプラスチック製なのでそのリスクはない。
また用途にマッチしたサイズが揃っているので、自分の道具に合致するものを装着すればそのまま使える。使用可能時間も半日程度は持つものがほとんどだ。
その他、ハリスに付けてエサがあることを魚にアピールしたり、ルアーにセットして目立たせたりする使い方もあるが発光体を選ぶときはその色に注目したい。

魚別に集魚効果の有効なカラーがある。海の中では海水が赤や黄色の光を吸収するため、水深が深くなるほど色の彩度が落ちてしまい赤や黄色は目立たなくなる。
逆に海水に吸収されにくく遠くまで届くのは青系の色。広範囲を回遊するシーバスにはエサのシルエットを明確にさせるブルーが有効だ。
チヌやクロを狙うときは、オキアミが放つ色に近いアクアブルーがよい。
また、プランクトンが多い湾内では黄緑色が見慣れた色なのでマダイやタチウオに対して集魚力が高いのはグリーンとなる。
このように狙うターゲットやシチュエーションに合わせたカラーの化学発光体を使うことで効果的に夜釣りや深ダナのターゲットを狙うことができる。これらを念頭に置いて使い分けてみよう。
