
例年、9~10月はサビキ釣りで小アジが盛んに釣れる時期です。一般的にはルアーを使ったアジングには厳しい季節とされていますが、群れさえ回っていればアタリ自体はかえって多いものです。ルアーで釣れるミニマムサイズのアジに、いかにして口を使わせ、フッキングに持ち込むか。繊細な駆け引きを要求される釣りにハマると、気が付けば毎夜、港に通うほどに奥の深い釣りでもあります。
その他、地元に通い詰めたベテラン限定みたいな釣りになりますが、朝夕のまづめ時、ごく短い時間にだけ食いが立つ良型のアジを狙うこともできるから、玄人衆にも見逃せない時期であります。
釣り場選びのコツ
![]() | ![]() |
どのエリアで釣るか? これが開始点ではありますが、釣りの結果を左右するといっても過言ではない重要な部分でもあります。一番手っ取り早いのが、地元釣具店がネット上に出しているアジの釣果速報であり、「サイズ~cm」という表記を見て判断。あるいはアジの写真が出ていれば、その画像からアジングが可能なサイズ&エリアを確認することができます。
目安としてアジのサイズが10cmを超えるあたりからジグヘッドリグで狙えるようになります。そのサイズのアジがサビキで釣れていればチャンスはあると考えてよいでしょう。
自分でポイントを探すのは手間は掛かりますが、それも楽しみの一つです。おおよそ釣れるエリアの選定ができたら、夜の港をあちこち見て回ってみるといいでしょう。常夜灯の下で小魚が盛んにライズしていたらルアーを通してみましょう。アジの群れならきっと反応があるはずです。
ミニマムサイズに挑むタックル

この時期、まだアジは小さいです。ジグヘッドは1.0gを基準に、それより軽いものを0.4gまで揃えておけば大体間違いはないでしょう。しかし、なぜか極小メタルジグのフォーリングにだけ反応がある日もあり、メタルジグや1.0g以上の重さのジグヘッドも持って行くことをおすすめします。
相手のサイズが小さいので、ルアーのシルエットにも極小を要求されることがあり、0.4gのジグヘッドにワームの尻尾だけをちぎって刺さないとアタリが出ないこともあります。そんなときはフロートやキャロシンカーを使う必要が出てきますが、アタリの数ではジグヘッドリグ単品には敵わない傾向があります。
シンカーやフロートを出すほどポイントが遠くはないけれど、風でキャストが難しいようなときは、ラインに直接ジンタンオモリを10cm間隔で3~5個追加して様子を見る手もあります。フォールスピードの微調整もできるので意外にこれでアタリが続くこともあります。

ロッドは普通のアジングロッドでいいでしょう。ロッドティップは軟らかい方が食い込みは良くキャッチ率も上がりますが、あまり軟らかいとキャスト性能が下がる傾向にあるので、その辺はケースバイケースになります。
リールは一般的にアジングで使われる小型スピニングリール。巻いておくラインは細い方が有利となり、0.3号あたりまで細くできれば申し分ありません。1号でもいけることはいけますが、飛距離の点でどうしても劣り、使えるジグヘッドも重めのものに限定されます。
釣り方のキモ

相手は小さい。こちらがどんなに繊細な仕掛けを用意したとしても、アジにとっては目を見張るような大きさとなり、ほんのわずかな変更が明暗を分けることもあります。例えばジグヘッド、1.0gと0.8gではフォールスピードにほとんど違いがないように思えますが、替えるだけで極端にアタリが多くなったり、空振り続きだったものが急に連続ヒットしたりと、微妙な差で釣果に差が出ることも多々あります。
一般的に軽くした方がアタリもフッキング率も向上する傾向にありますが、アジが食ってくるタナに届かなかったり、フォール中のルアーにしか反応しなかったりというときには、逆に重くしていった方が釣れるときもあります。こういったことを考慮すれば、手数の点でヘッドの重さは各種用意しておきたいものです。
ルアーアクションは、基本的に水面近くのスローリトリーブとなりますが、潮流や風がある場合は流しっぱなしのドリフトで、余分な糸フケを巻くだけになることも多いもの。
フォーリング中によくアタリがある日には、糸を出さずにラインテンションを保ったままリグを沈めるカーブフォールでアタリを待つといいでしょう。沈む最中にティップで小刻みなアクションを入れて誘いをかけてみるとアタるときもあり、また、極低速でルアーを引くことによってリグのフォールスピードを遅くすることもできます。
とにかく、アクションに関しては、ほったらかしのドリフトから、リフト&フォールまで、気のせいと思えるほどの微妙な調整を幅広くやってみて、アタリが出てかつ食い込むバランス点に行き着くまでのトライ&エラーとなり、腕の見せ所でもあります。
やはりマッチ・ザ・ベイトが柱

ルアーのカラー変更でアタリの数が変わってくることもあります。多くの場合、メインとなるベイトの色に似せればよく、何かの稚魚を食っていると思われるときはクリアーラメ、近くでサビキをやっている人のマキエに好反応を示している場合はオキアミカラーと、大まかな傾向はありますが、意外に「これじゃないと駄目」と言えるほど決定的な違いが出ることは少ないようです。カラーはお気に入りの物をいくつか持っていれば大体カバーできるでしょう。
またシーバスを狙うときなどは、同じルアーで同じ攻め方を続けるととたんに魚がスレて釣れなくなりますが、アジは大群で移動しているためか、それほどスレることに対して神経質になることはないでしょう。むしろ、突然アタリがでなくなるときは、釣れたアジが暴れる様子を見てシーバスやイカが寄ってきた場合であることが多いようです。もちろん、そんなときは寄ってきた獲物を素直に狙うことにしましょう。