海のスプリンターと呼ばれる遊泳力の強さ、そのパワフルな引きで多くの釣り人を魅了するビッグターゲットの代表格がヒラマサ。
スズキ目アジ科に分類され、全世界の亜熱帯・温帯海域に生息しており、日本では北海道南部以南の沿岸部や沖合で釣ることができる。
見た目はブリに似ているが、ブリよりも大きく成長し、30㎏以上の個体も珍しくはない。脂が少なめで、身が締まっており、歯ごたえのある食感が特徴で、市場ではブリよりも高価で取り引きされている。
回遊魚のため、潮通しの良い場所というのが狙う上での絶対条件となってくる。
また岩礁帯を好むため、陸っぱりでは磯場、それも沖磯が釣果を得やすいが、条件を満たせば波止から釣れることもよくある。
厳寒期以外は通年狙えるが、釣りやすいのは秋だ。小型が中心となりやすいが、陸っぱりでは一番狙いやすい時期となる。春は数は少ないが大型が出るチャンスとあって、一発大物狙いで挑む釣り人も多い。夏場は産卵後の荒食い期となるため、体型の割に引きが強く、夏マサとして船釣りでは人気が高い。
エサ釣りでの狙い方

陸っぱりでは、フカセとカゴ釣りで狙うのが一般的だ。陸っぱりの場合は3〜5㎏程度の個体がアベレージとなり、ときには10㎏オーバーが釣れることもある。
タックルはどちらの場合も磯竿の3〜5号、道糸はナイロンの7〜10号あたりが標準となってくる。
船釣りは地域によって違いがあるが、カゴ釣りか泳がせ釣りで狙うのが一般的で、九州エリアではサビキに付いた魚をそのまま沈めて狙う「落とし込み」釣りが人気が高い。
泳がせ釣りの場合は、出船後まずはエサとなる魚を確保することから始めるが、落とし込みでは、ポイントでまずエサがサビキに掛かるのを待ち、エサとなる魚がサビキに掛かったら、そのまま狙いのタナまで沈めてターゲットを誘う。
落とし込み専用のサビキ仕掛けも多く販売されているので、手軽に大型魚を狙えるとあって人気が上昇している。

ルアー釣りでの釣り方
ショア・オフショア共にメタルジグを使ったジギングとプラグを使ったキャスティング(プラッギング)で狙っていく。
ショアジギング・キャスティングでヒラマサを狙う

ショアからの釣りはエサ釣り同様、条件が揃えば波止からも狙えるがメインとなるのは磯、それも沖磯だ。
沖磯でのヒラマサ狙いは一部のベテランアングラーがするものというイメージが強かったが、近年はロックショアという造語が浸透するほど、沖磯へと渡るルアーアングラーが増えている。
アベレージとなるのはエサ釣りとそれほど変わりないが、ルアーへアタックしてくる個体の方が大型のものが多い傾向にある。

ショアでのジギングとキャスティングは好みが分かれるところだが、より大型が出る可能性が高く、魚がルアーにヒットする瞬間が視覚的にも興奮度の高いキャスティングを好むアングラーが多いようだ。
水深があり、潮流も速い沖磯ではジギングはショアからであっても80〜120g程度のメタルジグを使用する。また、プラグも60〜100g程度のものが中心となる。
そういったルアーをキャストでき、ヒラマサのパワフルな引きを受け止められる強靭なタックルが必要となる。
磯場でのヒラマサは掛けることよりも、獲ることが難しくなってくる。
ハリ掛かりすると根に向かって突っ込んで行く習性があり、オフショアに比べ水深が浅く、根の多い磯ではかなり強引なやり取りが必要となってくる。
オフショアジギング・キャスティングでヒラマサを上げる

オフショアでは季節やエリアにもよるが5〜7㎏クラスがアベレージとなり、多くのアングラーは10㎏超えを一つの目安としている。
ジギングの場合、自己記録更新の大型を目標とするなら、それなりのタックルで挑む必要があるが、10㎏程度を狙うのであれば、それほどヘビーなタックルは必要ない。PEライン2・5号に合わせたライトなロッドでも十分に獲れる。
また、オフショアのジギングでは釣果は思いの外堅い。魚が出る確率も獲れる確率もかなり高くなっている。

オフショアでもキャスティングが人気が高い。キャスティングでは皆、10㎏オーバーの大型を視野に入れて挑んでいる。
タックルはPEライン6〜8号をセットした、かなりヘビーなものとなり、万が一20〜30㎏超えが出ても獲るつもりで挑む。
オフショアの場合も、キャスティングの場合はかなりの浅場でターゲットを狙っていく。
そのため、魚が掛かったときの条件はショアとそれほど変わらないが、掛けた場所より浅い方へ取り込むショアよりも、深い方へ取り込むオフショアの方が獲れる確率はグッと高くなる。
それでも想定外の大型が掛かったときは、一筋縄ではいかない。そして、そのビッグファイトこそヒラマサ狙いの魅力だといえるだろう。
