エギをキャストして激しいシャクリを入れられるだけの強度。1日中操作しても疲れが少ない軽快な操作性。PEラインの使用に対応したトラブルの回避性と、エギングロッドに求められる性能は多岐にわたります。
エギングロッド自体も使用するシチュエーションやユーザーの好みで多くの種類が各メーカーからリリースされており、釣りのスタイルや好みが確立したベテランにとってロッドの選択肢が多いということはありがたいことだといえます。
しかし、初心者にとってはこの選択肢の多さはかえって悩みの種になることも。
そもそもなぜ専用ロッドが必要なのか、流用することはできないのかという疑問が出るのもいたしかたのないことです。
専用ロッドの利点

結論をいえば、エギをキャストできるだけの強度があれば、どんなロッドでもエギングは可能です。
しかし専用ロッドにはエギングに必要な基本性能を高いレベルで備えているため、非常に使いやすいのです。
エントリーロッドでも良いのですが、予算が許すなら初心者ほど上位機種を使ったほうがいいという意見もあり、どちらもあながち間違いではありません。
とはいえ、そんな贅沢をいっていられない人もいます。自分の好みに合った1本に出会うためにもエギングロッドのことを少し知っておきましょう。
レングス(長さ)
日常生活でなじみの薄いft(フィート)、ルアーフィッシングではftとin(インチ)での表示が多用されているため、スムーズに長さを把握するにはこの表示に慣れておきましょう。
1ftの長さは12inで約30㎝。つまり8ftならば約2.4mということになります。
この8ftを基準に遠投重視なら長め、操作性重視なら短めを選ぶのがセオリー。また軽量で1日操作しても疲れないものを選ぶことも大切です。
素材

現在販売されているメーカー品のほとんどがカーボン製で、ロッドの感度や曲げたときの粘り強さという基本性能はこのカーボン素材の選び方で調整されています。
硬度があり曲がりにくい高弾性カーボンは感度やエギの操作性の向上に、曲がりがスムーズで粘り強い低弾性カーボンは食い込みの良さやキャストのしやすさに貢献します。
ブランク
素材という意味の英語ですが、釣りでは主にグリップ部分を除くロッド全体のことを刺すことが多いです。
ロッドの重要な部分で、カーボングラファイトという素材が多く使われています。バットとティップの張りや硬さでロッドの持つ性能や特性が変わってきます。
バット

ブランクの中でリールに近い部分をバットといいます。キャストややり取り、そしてエギングにつきもののシャクリの際に大きな力が掛かる部分なので強度が重視。
ただし、ただ強ければいいというわけではなく、操作性を向上させるには適度なしなやかさを与えることも必要です。強さとのバランスがロッドの性格を決める重要な部分でもあります。
フェルール
ロッドの継ぎ目の部分のことで、継ぎ目の部分から不自然に曲がらないように強度や形状が工夫されています。
ティップ

ロッドの先端部分。穂先ともいいます。
ティップが軟らかいものはイカがエギを抱いたときの違和感を軽減してくれる乗りの良さが魅力。
ティップが曲がりにくい(張りがある)ものは、感度とエギをキビキビ動かすための操作性の良さを演出してくれます。
ロッドグリップ

キャスト、リトリーブ、操作とすべてのシーンでタックルとアングラーの接点になるのがロッドグリップ。
個人の癖や釣りのスタイルによってベストな形状が異なるので、実際にリールをセットして握ってみて使いやすそうなものを選択することは、釣りを快適に行う上でかなり重要な点になります。
素材はコルク又はEVAが主流。天然素材のコルクはフィット感と高級感が魅力です。
EVAは丈夫でメンテナンスの手間が少ないのが特徴です。単体でどちらが優れているということではなく、手にしたときのフィーリングで決めることが重要です。
グリップエンド

ロッドの一番後ろの部分がグリップエンド。キャストの際に、リールシートを持つ手の反対の手でここを持ち、胸に引きつけるようにキャストすればスイングスピードが上がりエギを遠くまで飛ばすことができます。
注目すべきはリールシートからグリップエンドまでの長さで、長ければロングキャストには有利ですが、シャクリを入れたときに体に当たって操作がしにくい場合もあります。
ライフジャケットの装着も想定した上で操作に影響のない長さのものを選ぶのが基本です。
リールシート

ロッドにリールを固定するという重要な役割を担うのがリールシート。
ほぼどんなリールでもセットは可能ですが、細かく突き詰めればリールのフット部分の形状やサイズとの相性があるので、ロッドを選ぶ際にはグリップと同様に使用するリールをセットし、ガタつきや持ったときに違和感のないものを選ぶのが理想です。
マッチングが悪いと手に豆ができたり、使用しているうちに緩むなどトラブルの原因になります。
ガイド

ブランクに掛かる負荷を分配しロッドの曲がりをなめらかにしたり、キャストの際にリールから放出されるラインをスムーズに送り出して飛距離やコントロールをつけやすくするのがガイドの役目。
ブランクの性格によりどの部分にどれだけのガイドが必要なのかが違うため、位置やサイズはロッドごとに異なっています。
PEラインをメインに使用するエギングでは、それに対応した形状と配置がされており、そういった部分からもエギングに専用ロッドを使う意味合いは大きいです。
現在エギングをはじめ、多くのルアーゲームでPEラインの使用が主流になったのは、このガイドの形状やセッティングの進化によるところが大きいです。
トップガイド

ロッドの先端部分にあるガイドのこと。
ラインの放出、巻き取りと常にラインとの摩擦などの負荷が掛かるため、耐久性に優れ摩擦による熱でラインを傷めにくいSiCをリングの素材にしたものがエギングロッドでは標準的。
PEラインを使用する場合ライン絡みなどのトラブルが発生しやすい部分なので絡みにくい構造と、そのままキャストしてしまっても変形しにくい耐久性が求められます。
ガイドフレーム

ガイドリングを覆うフレームのこと。
感度と操作性向上のため軽量なものが好まれ、また急激な操作に耐えられる強度も求められます。軽量なほど高感度になり、アタリが取りやすくなるなどの利点が多いです。
素材としてはステンレスやチタンが主で、高価なものほど軽く、丈夫な素材が使用されています。
セカンドロッドの選び方
2本目を購入する人は、次にどんな性質のロッドを必要とするかは経験があるので判断がしやすいですが、初めて購入する人は判断に迷ってしまうでしょう。
そこでベースとなる長さと硬さを解説しましょう。
基本的なものだと長さが8ft前後。基本的な3.5号前後のエギを遠くまで飛ばせ、かつ操作性を考えるとこのくらいの長さがファーストロッド向けとなります。
次に硬さだが、一般的にファスト・ミディアム・スローと3段階に分けられています。
硬いファストほどハードなシャクリに向いており、アタリの感度が取りやすい。逆に柔らかいスローはゆっくりとしたアクションに向いており、キャストもしやすく疲れにくいです。
これにプラスして自分の行きたい釣り場に合わせて2本目を選んでいきます。
ポイントが沖に出ていて遠投したいのであればロングタイプの遠投モデル。
アクティブに移動して探したいときは取り回しの良さを求めてショートロッドと、自分が求めるロッドが何なのか見極めます。
極論をいえば全番手を揃えるという手も、ないわけではありませんがお財布に余裕がある人だけにしましょう。