コンパクトロッドとは、仕舞い寸法が小さく、持ち運びが便利な仕様となっているロッドのこと。
モバイルロッド、モバイルパック、マルチピース、パックロッドなどと、メーカーによってさまざまな名称で呼ばれています。
近年、ショア・オフショア問わず、コンパクトロッドの需要が増しているようで、メーカーのラインアップも増えてきました。
コンパクトロッドのメリット

コンパクトロッドの一番のメリットはやはり持ち運びやすさです。
サイズが小さくなることによって車のラゲッジスペースに楽に入れられるようになるし、電車や自転車などでの移動も簡単になります。
近年は、いわゆる「長もの」の運搬の制約が厳しくなり、ワンピースのロッドを運んでくれない運送会社もありますし、運べても高い料金設定となっています。
コンパクトロッドであれば、そのような心配がなくなる上、飛行機での移動に関しても有料扱いになる心配がないというメリットがあります。

ルアーフィッシングで通常使われるロッドは、1ピースかグリップジョイントの2ピースが主流です。
だいたい1.8〜2m程度あるので、仕舞寸法はワンピースならそのまま、2ピースでも1.5〜1.6m程度あります。
車で移動する場合はほとんど問題ないですが、電車で移動する人や遠征で飛行機を使う場合などはその長さに頭を悩ますことも出てくるでしょう。
ちなみに仕舞寸法を優先したセンター分割の2ピースの場合は、1.1〜1.3m程度となっています。
それがコンパクトロッドだと、大半はリュックサックで十分持ち運び可能なサイズになります(リュックサイズの大きさやロッドの仕舞寸法によっては入りきれないものもあります)。
振り出しと並継ぎ

コンパクトロッドと呼ばれるものには振り出し式と並継ぎがあります。
振り出しとは、磯竿のように中から径の細いものを出して伸ばしていくタイプのもので、並継ぎは多くのルアーロッドに採用されている別パーツを繋いでいくタイプのことをいいます。
ショア用のモデルは継ぎ数が多く、よりコンパクト化したものも多いですが、オフショア用は今のところ3本程度が多いようです。
しかし3分割すれば8ft台のキャスティングロッドでも仕舞寸法は90㎝以下に収まっています。

このサイズなら電車で持ち運ぶ場合もかなり楽になるはずです。また車なら軽自動車でもラゲッジスペースに横にしても楽に収めることができます。
車の中に入れっ放しにしておいても、あまり邪魔にならないのは、部屋での収納場所に困っている人にとってもメリットとなるのではないでしょうか。
多継ぎならではのメリット
継ぎ数が多くなることに抵抗がある人も多いでしょう。一番気になるのは、その使い心地ではないでしょうか。
むしろ多継ぎのロッドに対して抱く不安というのはこの1点のみと言えるかもしれません。
ロッドがスムーズに弧を描くためには、やはり継ぎ目のない1ピースが有利です。ジョイント部分は美しいベントカーブの妨げとなってしまうのではと思ってしまいます。
しかし実際に使ってもらえば、そのような心配は無用だということが分かるでしょう。
ジョイント部の構造や材質の進化により、マルチピースであっても1ピースと遜色ないきれいなカーブを描きます。違和感は皆無といってもよいでしょう。

またマルチピースならではのアドバンテージもあります。
通常、ロッドを作るときは、基本のカーボンパイプやソリッドカーボンシャフトにカーボンシートを巻き付けて、ロッドの味付けをします。
これによって硬さやどこが曲がりやすくするかなど、特性をコントロールするのです。
例えば1ピースのロッドの場合、1本のブランクの中で場所によってカーボンシートの巻き付け量や角度などを調整して全体の調子を作っていきます。
しかし例えば3ピースであれば、ティップ、ベリー、バットとそれぞれのパーツを個々に調整できるため、味付けの自由度が高くなります。
よりフレキシブルにそれぞれの場所の曲がりをコントロールできるようになるため、思い通りの調子を実現しやすくなります。
また万が一、ロッドを破損した場合も、マルチピースなら修理代が安く済みます。通常、ロッドで最も破損しやすいのはティップ部です。
1ピースならブランクを交換するか、ティップ部の補修という形になります。補修をした場合は元通りというわけにはいかないこともあります。

マルチピースであれば、ティップ部のパーツを交換すれば元通りです。これは多継ぎならではのメリットといえます。
移動はいつも車で、ロッドの持ち運びに関しては全く問題ない、という人はわざわざ継ぎ数の多いロッドを選ぶ必要性は低いでしょう。
しかし、移動や持ち運びで何らかの不満がある人は、ぜひ一度マルチピースロッドを使ってみてみましょう。
その使い勝手の良さ、完成度の高さにロッド選びの基準が変わることでしょう。
おすすめリュック
リュックを選ぶなら20〜30Lが一般的で、他の荷物も入れたいなら40Lクラスがおすすめ。ランガンスタイルで軽量を望むのと、旅行兼用で使うのか、用途に合わせて選ぶ必要があります。
またロッドを中に入れるか、外に出すかで悩みどころ。自分のパックロッドのサイズを調べてから揃えましょう。