
ルアーの起源とされるスプーン。スプーン状の金属にフックをセットしただけのルアーで、スプーン自体が揺れたり回ったりして魚を誘い食わせています。いや、誘っているのではなく威嚇しているという解釈もあり、なぜ魚がスプーン形状のものに反応して口を使うのか、科学的に解明されているわけではありません。
そのスプーンの効果をいろんなルアーに適応できるようにしたものが「ブレード」です。
光の反射
ブレードは半円状になっており、水流を受けるとヒラヒラと左右に揺れるか、クルクルと回り始めます。
ブレードは光が当たると反射する素材が使われており、さらに回転することでパトカーの回転灯のように周囲に光を差し込みます。これは「光の明滅」となり、明るい・暗いを繰り返すためフラッシュ効果を生み単純な光の放射よりも高いアピール力を生みます。
光が差してこそ明滅効果が生まれるのですが、オフショアで狙う水深は、通常のジギングでは深くても200mくらいまで。
これに対して海の有光層は一般的に200mくらいまでだから、通常のジギングで狙う水深なら、わずかでも光が届いている可能性があるということです。そもそも、そんな暗い世界で生きているのだから、光に対して鋭敏に魚が反応してくれます。
波動と振動
ブレードが回転すると後部に水流を生みながらルアーは進みます。魚が泳いでいるときも尾ビレで海水を押しながら進むため同様のことが起きます。同じ波動かは別として、この水流が獲物が泳いでいるかのように錯覚させる可能性はあります。
さらにブレードが回転した際に振動が起こります。これはルアー全体に伝わるもので、波動と同様に魚が泳ぐ際の振動ともいえるでしょう。この波動と振動でベイトを演出しているとも考えられます。
「光の反射」「波動」「振動」の三つの作用が魚に口を使わせている要因と考えられています。
ブレードの素材と回転

ブレードの素材は、ニッケル、真鍮、アルミがメイン。その中でもニッケル(シルバー)と真鍮(ゴールド)が大半を占めています。両者の比重は近いので、ブレードカラーでの使い分けが主流です。アルミ素材は、素材の強度からか、あまりソルトルアーではみかけないですが、大きめのブレードをセットしたいときに使い勝手が良いです。
ブレードをセットしたルアーを引いたとき、ブレードは左右どちらの回転方向になるのか。左右どちらかに回ることで釣果が左右されるというデータはなく、市販されているブレードの多くはランダムに回転します。しかし一部の商品では、個体ごとに回転が違ってはルアーのバランスが変わってしまうため、同一方向に回るように作られているそうです。
素材 | 比重 |
---|---|
ニッケル | 8.69 |
真鍮 | 8.45 |
アルミニウム | 2.68 |
状況 | シルバー | ゴールド |
---|---|---|
透明度が高い | ◎ | ◯ |
透明度が低い | ◯ | ◎ |
晴れ | ◎ | ◯ |
曇り | ◯ | ◎ |
明るい | ◎ | ◯ |
暗い | ◯ | ◎ |
ブレードの種類
コロラドブレード
3種類の中で一番大きなブレード形状。抵抗が大きいため波動・振動が強いです。抵抗も大きくなるので、浮き上がりやすく、速いアクションには向いていません。ゆっくりめのタダ引きやフォールが得意。

インディアナブレード
中間的な要素を持ったスタンダードブレード。速い・ゆっくりのアクションを繰り返すジギングでは最も使いやすいタイプ。ブレードのサイズ変更による効果の微調整もしやすいです。

ウィローリーフブレード
一番細身の形状ではありますが、動きが細かく速いためフラッシング性能は一番高いです。抵抗が少ないため速引き時でもトラブルが少なく引きやすいです。ブレードの数を増やしてアピール力を調整することも可能。

ブレードを使うタイミング

ブレードをセットしたジグは、それまでとバランスが変わるため、ショートピッチジャークのような派手なアクションをすると、ジグの動きも大きく変わってしまいます。これは良い方にも悪い方にも影響するから、ブレードをセットしたジグは派手なアクションをしないときに使うのがベストだといえます。
無難なアクションは、タダ引きとフォール。リフト&フォールなども得意で、ルアー自体のアクションは控えめにしたいが、アピールは高くしたいときに有効なのがブレードチューンです。
それと、潮流が速い場所や複雑なポイントでは逆にブレードが邪魔をしてしまうから使いにくかったり、水深が深い場所ではフォールが遅くなり着底地点が予想しにくいのであまり向いていないようです。
ジグへの取り付け
最重要項目「バランス」
取り付け方を解説する前に、取り付けた後にジグのバランスがどうなるかを知っておかなければ、せっかくのカスタマイズが無駄になるばかりか、知らずに使っていると釣れない結果に終わる可能性もあります。
まずはジグのスイム姿勢を考えてみましょう。要はタダ引き時の動き方です。
多くのメタルジグは、デッドスローで引くことはあまり考慮されていないので、一定の速度で引かなければアクションしないものが多いです。この場合、ジグに取り付けたブレードは引いた瞬間からアクションするので、デッドスローのタダ引きならほとんどのジグで使えるということです。
というのが通常の考えですが、ここに落とし穴があります。

そもそもルアーは、グルグルと360度回転しながらアクションするものは少なく、ローリングやウォブリングと呼ばれる左右に揺れるアクションが一般的です。
このバランスが取れたルアーに抵抗が大きいブレードをセットするのだから、取り付けには気を配らなければなりません。特にメタルジグは扁平型なので重心が変わると動きに影響しやすいから、ブレードをセットした場合、必ず速く引いたり、遅く引いたり、フォールしたりと目視で確認しておきましょう。
回転すると釣れないというわけではありませんが、通常の魚の動きとはかけ離れるアクションになるのと、ラインがヨレてしまうのでトラブルが発生しやすくなるし、魚も食いにくいです。

バリエーション
取り付け方は、取り付けるジグによって最適なパターンが違うから、「正解」というものはありません。しかし、スタンダード型のジグは同じようなバランスなので、一般的な取り付け方法はリヤアイにセットするシンプルなやり方です。また状況に合わせて使用したい場合は、市販品を利用すると着脱が楽になるのでおすすめです。
ブレード自体がアピール効果の高いものなので「ブレードセットによるジグのアクション変化は少ない方が良い」というのを基本に、ブレードチューンを楽しんでほしいです。


