カヤックフィッシングのすすめ 入門時の注意点や魅力を紹介

大屋晃洋
Writer/大屋 晃洋(おおや こうよう)▶夏はマゴチのシーズン。デカイやつもやってくる。

大海原に漕ぎ出して、自分でポイントを探し出して魚を釣る……。そんな自由なスタイルに憧れて始めたカヤックフィッシング。今まで届かなかったエリアに行くことができるようになり、魚との距離は格段に近くなった。ときには思わぬ大物に出会うことも少なくない。

始めた当初は、わずか数百m沖に出るだけで、こんな世界が広がっているとは思ってもみなかった。縦横無尽に漕いで好きな場所で好きな釣りを……そんな贅沢でわがままな釣りを実現できるのが、カヤックフィッシングの最大の魅力だ。

とはいえ、興味があっても、何から始めればいいのか? 危険性はないのか? など、分からないことばかりではないだろうか。かくいう私もそのうちの一人だった。見たことはあったが、周囲にやっている人もおらず、右も左も分からないままに入門した。カヤックフィッシングを始めて5年目とまだまだ経験は浅いが、僭越ながら入門時の注意点や魅力をこの場を借りてお伝えしたい。

安全に楽しむためのマナーとルール

カヤックは、常に危険と隣り合わせであることを忘れてはならない。釣行の際は、事前に気象・海象を確認して、安全に釣行可能か否かを判断することが重要。あくまで私の基準だが、波0.5m未満、風速4m未満なら大よそ出艇可と判断している。ただし、次第に波風が強まる予報の場合は、いくらそれまでが穏やかでも見送るようにしている。また、どんなに穏やかな予報だとしても、最終的には現地に出向いて出艇可否を判断する。単純なことだが、不安や恐怖を感じることがあるなら出艇は諦めるべき。

せっかく来たから……と無理をしてしまうのが、何よりも危険である。常に安全第一に冷静な判断を心がけよう。釣行最中にも頻繁に予報をチェックする癖をつけ、常に安全を意識したい。

穏やかな日を選んで釣行すること。
穏やかな日を選んで釣行すること。

海の上は自分たちだけではなく、漁船や遊漁船などの船舶が行き交う。フラッグを高く掲げて自分の存在を示すこと。カヤックは喫水が低いので、少しでも波があると船舶からは非常に見えにくい。また他の船舶がいる場所には近付かず、離れた場所で楽しもう。漁港の入り口などの航路付近、漁師がイケスや網を入れている場所では、絶対に釣りをしないこと。エンジンを持たないカヤックは、海の上では最も弱者であることを自覚して行動しよう。

沖に出られる距離は、その日の海況、パドリング技術、カヤックの種類などによって異なる。自身の機動力を把握して、無理のない範囲で楽しもう。カヤックで行ける沖合はたかだか数㎞が限度。

勘違いしてはいけないのは、カヤックに乗ったからといって、プレジャーボートや遊漁船と同じ土俵に立てるという訳ではないということ。

感覚的には、おかっぱりの届かないエリアに届くようになる……といったところだろうか。

万が一天候が急変した場合や艇の不備が起きてしまったときに自力で帰れる距離が、カヤックの射程距離である。

このようなサーフで跨って出艇するのが最も安全。
このようなサーフで跨って出艇するのが最も安全。

艤装と装備

艤装は、カヤックフィッシングの醍醐味の一つ。魚探やロッドホルダーなど、自分の釣りのスタイルに適したアイテムをセレクトして、狭いデッキでいかに快適に釣りを楽しめるかを追求する。ときには、工具を用いて艇に穴を空けて加工することもある。他にもカヤックには、食料や水と釣った魚を入れるクーラーボックス、ランディングネット、魚の締め具やナイフなどを持ち込む。携帯電話は緊急時に連絡ができるように、防水パックに入れて肌身離さず持っておこう。

マイカヤックの装備。
マイカヤックの装備。

ライフジャケットは言うまでもなく、必ず着用すること。自動膨張式は、万が一沈して膨らんでしまった場合に、再乗艇の妨げになる恐れがあるので適していない。なるべくシンプルで動きやすいものを使用したい。カヤック用品としてパドリング専用のものがあるので、そちらを選べば間違いない。漕ぐためのパドルも必須。さまざまな形状、長さ、材質があるので初めて選ぶ際は種類が多くて悩むだろう。専門のショップ店員に予算と用途を伝えて相談することをおすすめする。

最も胸が高まる瞬間。
最も胸が高まる瞬間。
カヤックで転覆
転覆してしまった事態を想定して再乗艇の練習は必須。

春の釣果

私のホームとする北部九州は、初春を迎えると穏やかな日が増えて、出艇できる日が多くなる。ただし、時期的にカヤックの射程圏内では釣果は得づらい。実際に、サーフでのヒラメやマゴチくらいだった。季節が進んで春真っただ中になると、水温の上昇と共にさまざまな魚種の釣果が上向く。

沿岸部には、アオリイカが産卵を意識して接岸。産卵場となる藻場を探して、エギングで狙う。カタクチイワシやキビナゴなどのベイトフィッシュが接岸すれば、それを追うスズキ、チヌ、ロックフィッシュなども狙える。魚探を駆使してベイトフィッシュの群れを捉えてメタルジグで狙っている。マダイも乗っ込みシーズンでは、ポイントさえ押さえていれば出会える確率は非常に高い。たまにはのんびりとキス釣りなんかも面白い。

アオリイカ
藻場を直撃できるのでハイシーズンはアオリイカも簡単に釣ることができる。

タックルは全てSLJ用を使用。キャスティング用にスピニングタックルと、バーチカルにベイトタックルの2本を持ち込んでいる。ラインの太さはそのとき狙いたい魚種によるが、なるべく細い方が、底取りしやすいし潮流の影響を受けにくく釣りやすくなる。

秋の楽しみ方

季節が進むと青物の回遊も期待できる。ベイトフィッシュの接岸次第では、ほんの数100m沖でも釣果が上がる。

秋に回遊してきたメーター近いサワラ。
秋に回遊してきたメーター近いサワラ。

サーフでは、マゴチが旬を迎える。水深の浅い岸寄りで釣れるので、入門者にもおすすめ。キジハタやアラカブの釣果も上向く。根のある場所を探してメタルジグやワームを落とすと反応が良い。ときには小型のクエが釣れることもあるので油断はできない。

河口付近では、スズキやチヌの魚影が濃くなる。ベイトフィッシュを追っていれば、ミノーやバイブレーションで狙うと釣りやすい。これらは、あくまで私のホームの北部九州の話なので、エリアが変わればまだまだたくさんの楽しみ方があるはずだ。

シーバス
シーバスはサーフでベイトについて回遊していることが多い。

カヤックフィッシングは未だ普及して歴史が浅く、入門するための情報が少ない。間違った判断をすると命の危険がある遊びなので、軽い気持ちで始めて欲しくないのも本音であるが、正しく遊べばこれほど楽しく魅力的な遊びはないと感じている。今後は、カヤックで愛用するタックルの紹介や四季にあった魚種の狙い方などを解説して、カヤックフィッシングの魅力を伝えていけたらと思っている。

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