ルアーはエサに似せて釣るとはいうものの、人間から見てすべてが似ているかといえば疑問が残るところ。
それどころか、わざとエサや生物には見えないような物や、おふざけとすら思えるユニークな形状をしたものが存在します。本当にそんなもので釣れるのかとSNSなどで調べてみると、意外にも釣果が出ていたりします。
そこでルアーがなぜ釣れるのか? その核心の部分に迫ってみました。

波動でアピールする

魚は側線と呼ばれる部分で水の動き、いわゆる波動を感知しています。基本的にルアーはこの波動を、ベイトに近いものにすることでターゲットにアピールします。
波動が強ければ強いほど広範囲にアピールできます。そのため強波動なバイブレーションがサーチベイトとして使われています。しかし、小魚が泳ぐときにあんなにブルブル振動するはずもありません。見切られやすいというのがアピール力の強いルアーの弱点です。
逆に、小さなプランクトンなどをイミテーションするルアーは、波動をより小さいものへと近づけるため動きが少ないよう加工されています。

より本物らしい波動を出すことで食いつきやすくさせるため、シンキングペンシルなどの微波動ルアーというものも存在します。
どれがよいかはそのときの状況によっても変わってきますので、魚の反応を見ながらローテーションを組む必要があります。
見た目も重要

魚の視力は0.1〜0.6程度とか。実際にどのように見えているかは魚になってみないとなんともいえませんが、視力の悪い人間のようにぼやけて見えているとされています。
近いシルエットで、視界がぼやけていると考えれば、魚がエサとして見間違えるのも無理はありません。
さらにフラッシング効果でウロコが光に反射して光っているように見えれば、つい食いついてしまう気持ちもわかります。

しかし、世の中には魚とは程遠いシルエットをしたルアーが存在します。
その際たる例はスピナーベイトでしょう。ブレードにワイヤー、ゴム製のスカート。どれをとっても魚には見えません。しかしコレでめちゃくちゃ釣れることもあります。
スピナーベイトの場合、ブレード部分が光を反射し、強い波動を出してアピール。魚に注目させて、スカートが群れた小魚に見えているため釣れると言われています。
ラバージグ、及びタイラバのスカートやネクタイについては「魚の習性を利用して食わせている」、「独特な生命感でアピールしている」などが理由でしょう。
リアクションバイトで食う

酸っぱいものを見ると唾液が出る、熱いものに触ると手を引っ込めると、人間には脳で考える前に反射的に行動することがあります。
魚にもこの行動が存在しており、「目の前で動いたから思わず食いついてしまった」という反射行動を起こします。
実際の釣りでは、タダ巻き中に大きくシャクって変化をつけるなどがこれに該当します。これをリアクションバイトと呼びます。
魚がいるのに食いつきが思った以上に悪いときなどに使えますので、覚えておきましょう。
ただし、過度なやりすぎは厳禁。魚に不信感を与え、逆効果となり釣れません。
カラーを識別する

色彩感覚は魚種によって変わることがわかっています。ほとんどカラーで見える魚もいれば、モノクロのように見えている魚もいます。
このためカラーローテーションについては議論が絶えない部分です。現にイワシパターンだからといって、イワシカラーのほうが必ず釣れるというわけではないようです。
条件次第では自然界にはないようなド派手なカラーの方が釣れるケースもあるわけです。
いずれにせよ、魚がルアーを発見し、エサだと思わなければターゲットは釣れません。どちらのパターンの方が口を使うかは投げてみるまではっきりとはわかりません。
エサに似せたカラーで迫るか、シルエットの明暗で食わせるかは天候条件や潮の澄み具合、光の差し方によっても異なるので、カラーローテーションが重要とされる理由がここにあります。