何を始めるにしても、まずはタックルを揃えなければならないことは言うまでもない。
ルアー釣りで必要となる基本的なタックルは4点。ロッド、リール、ライン、そしてルアーである。ラインに関しては魚種や釣り方によってはリーダーラインを別途用いる場合もある。
またルアーとラインを繋ぐスナップ類も初級者には便利なアイテムなので一緒に紹介しよう。
タックルを集める前に

前述した内容で済むなら今すぐにでも揃えられそうだと思った人もいるだろう。しかしロッドだけでも非常に種類は多く、魚種や釣り方に応じた専用に作られた品もある。
このため、対象魚を決めてそれを狙うためのタックルを揃えるのが通常である。
しかし、タックル類は他の魚種狙いにも応用が利く用品があるから、どんな物があるのかを知っておけば購入時の参考になるだろう。
そうすれば自ずと自分がどのタイプの道具を選べばいいかも判断しやすくなり、ルアーフィッシングを始める前の道具選びで助けになる。
高価な商品は高い性能を備えているが廉価品でもそれなりに使える。
ロッドの種類

ロッドの種類は大きく分けて2種類あり、アウトガイドロッド、インナーガイドロッドがそれである。複数のガイドが取り付けられたアウトガイドロッドが最もポピュラーなタイプである。
ラインセットが簡単で、説明書がなくとも使い方がわかる。ラインへの負担も少ないから、キャストしやすいのも特徴。
インナーガイドロッドはロッドの内部にラインを通すタイプ。ガイドにラインが絡みやすいアウトガイドに比べて、こちらはほぼその心配はない。
デメリットはラインとロッドとの接点が多くなるため、アウトガイドに比べてラインが出にくいことと、ロッド内部にラインに付着した塩分が溜まりやすいため、定期的なメンテナンスは欠かせない。
スピニングリール以外にベイトリール専用ロッドもあり、バス釣りではポピュラーで、船釣り用でもよく見る。近年は陸っぱりのソルトルアーでも使われるようになってきている。
ロッドはどれもカーボン素材が主流で、硬さを調整するためにグラス素材が配合されている。ルアーロッドは2本継ぎの2ピースが主流。
長さ、硬さ、適合ウエイト

ロッドは長さや硬さ、適合ウエイトによってさらに細分化されている。釣り方、使用するルアーの重さなどによって選択肢が分かれ、対象魚の性質に合わせた専用品もある。
例えばシーバスを狙いたい場合は、ロッドの説明にある対象魚にシーバスが入っていることを前提に選ぶ。
長さを選ぶ基準は、飛距離に比例している。短いものは取り回しが容易で疲れにくく、長いものはルアーを遠くまでキャストすることができ大きな魚とのやり取りも楽になる。
一般的には8.6〜9.6ftから選び、漁港や幅の狭い河川へ主に行くなら短く、大型河川やサーフなど広範囲を攻めるなら長くが理想だ。
硬さも重要。硬いほど反発力が強く魚の引きにも重量にも負けないロッドとなるのだが、力任せだとラインや魚の口が切れたり、柔軟性がないとキャストしづらくなる。
ロッドの硬さは釣れる魚の最大サイズで選ぶようにする。必要以上のスペックはデメリットの方が多くなるから注意だ。
ロッドの硬さにも比例するが、ルアーの適合ウエイトが設定されている。その重さを超えての重量はロッドの破損につながるという目安だ。

実際にはルアーを沈める程度なら表記よりも重いものが使用可能になっているが、ロッドの状態や使い方によりあっけなく折れてしまうこともあるから、通常は範囲内での使用を心掛けよう。
前述したが、ロッドを選ぶ際は対象魚に合ったものを選択するのがベスト。
代表的なのは、シーバスロッド、エギングロッド、ショアジギングロッド、アジングロッド、メバリングロッドなどで、フラットフィッシュロッドやロックフィッシュロッドもあるから、対象魚に合わせたロッド選びでは、さほど性能によるランク差以外に迷うことはないだろう。
もし対象とする魚の専用品がない場合は他のロッドを選ばなければならない。この場合、使用するルアーや魚のサイズに合わせたロッドを選ぶことが大切だ。
適したルアーが使えないスペックではおすすめできない。
ガイド

アウトガイドロッドにセットされているガイドにもいくつか種類がある。特にPEラインを使用する場合は対応品を使わないとガイドリングが破損することもあるから注意。
それに、廉価品はサビに弱く、また、海釣り対応品でないとサビ対策が施されていない可能性も高い。
ロッドが破損する一番の場所はガイドだから気を遣いたい部品である。
とはいえ、国内の有名メーカー品の海釣り用品であれば、ほとんどがサビに強い材質を使用しているから、さほど神経質になる必要はないだろう。
近年ではオールラウンド対応で、どのラインでも使用できるガイドが主流になりつつある。以前は用途や釣り方に合ったガイドがロッドに装着されていたが、統一される傾向にあるということだ。
このため、ロッド自体はさらに汎用性が高くなり、1本のロッドで多くの釣り方ができ、対象魚も増やせるということだ。
ただし、流用品は専用品には勝らないということは把握しておこう。個人のお財布事情にもよるが、できれば対象魚や釣り方ごとにロッドを揃えておきたいところだ。
リールの種類

スピニングリール、ベイトリール、スピンキャストリールなどあるが、海のルアー釣りでは扱いやすいスピニングリールが主流だ。
それぞれのおおまかな特徴は、スピニングリールはラインの放出が良くルアーを遠くまでキャストしやすい。
ベイトリールは細かな操作がしやすく手返しが良いことが利点。ただ、操作には慣れが必要で入門者には扱いが難しい。最初のリールはスピニングリールがおすすめだ。
リールの選び方

基準となるのはリールスプールに巻くことができる糸巻量である。番手が大きいほど、ラインをたくさん巻くことができる。自分がどれくらいの距離を狙いたいのかで選ぶ基準は変わってくる。
逆に言うとルアーをキャストする距離分だけラインの長さがあれば事足りるということだ。
しかしラインを結び直したり、切れたりして短くなったときのことを考えると、多めに巻いておいた方がいいことは確かだ。
それに、予想以上に大きな魚が掛かった場合、リールからラインを全て引き出されることもある。
市販のラインは150m巻がほとんどで、そのままの量をスプールに巻いている人が多い。
もし使用しているリールスプールが200m巻の場合は、廉価品のラインを50mほど下巻きして、それに直結してから使用ラインを巻くと良い。
リールは番数でサイズ分けされており、大きい番数になるほどサイズも大型になる。そして大型であるほど糸巻量も多くなる。これは使用するラインの量に比例してリールも大型が必要ということだ。
例えば、アジを狙う場合はそれほど遠投しないし、リールから多くのラインを引き出すほどの力もないから、50mもあれば事足りるため小さめのリールでも問題ない。
対して青物狙いではルアーを遠投し、さらに掛かってからはラインが引き出されることもあるから、100m以上ラインが巻ける大型リールが必要になる。
リールのギアタイプ

リールのギアには、ローギア・ハイギアなどギア比が違うものがある。最近ではハイギアタイプが人気で、高価なリールほどラインナップされており、その利便性も大きい。
特別な表記がないものはほとんどがローギアタイプとなっている。
通常タイプに比べての利点は、ルアーを回収するとき早く行えたり、素早いアクションをつけるときなど、速い動きをストレスなくこなせる。
さらに風が強かったり波が高かったりといった悪天候時には糸フケを早く巻き取り、ルアーにしっかりとアクションさせることができるというメリットが存在する。
糸フケがあると魚がヒットしたときにフッキングさせにくく、せっかくのチャンスを無駄にしてしまうこともある。
それに魚の食いが悪いときは微細なアタリを逃してしまうということもあるが、それを捉えることを可能にする。
ハイギアタイプのメリットだけ挙げたが、逆に、それを知っていなければハイギアの利便性はわからないだろう。これからリールを買う際に、ギア比によって使い方に幅が出せることを覚えておこう。
ラインの種類

魚と釣り人を結ぶ最も重要なアイテムがラインである。ライン選びはタックルを組む上での最重要アイテムと言っても良い。
なぜなら、安易に値段ありきで買ってしまうと全く用途に応じてくれなかったり、すぐに切れてしまって使い物にならないということもある。
まずはラインの種類と特性をよく知った上で、釣り方に合ったラインを選択する目を養おう。
ラインはナイロン素材、フロロカーボン素材、PE素材が主流。ポリエステルラインはアジングやトラウトなどで人気だ。
各ラインの特徴

ナイロンラインは多くの釣りで使用される最もポピュラーなもの。しなやかでキャストしやすく、なにより扱いやすい。その上、比較的伸度が高い。
柔らかさがあるからキャスト時にガイドに絡んだり、バックラッシュしてリールから出てきた余分なラインが絡まるなどのトラブルを防ぐことができる。
また、伸びる特性から魚が走ったときはクッションの役割をしてくれて、やり取りがしやすい。
フロロカーボンはナイロンに比べて初期伸度が低いため、小さなアタリも捉えやすいというメリットがある。
擦れにも強いから、魚がテトラや岩の間に逃げ込んでも根で擦れても切れにくく、リーダーラインとして多用される。
ロックフィッシュ狙いではメインラインとして使用されることもあるが、ラインにクセがつきやすいため細い号数が使われる。ナイロンラインよりも価格が高めだ。
PEラインは極細のポリエチレン繊維を編み込んで作られており、モノフィラメント(単線)よりも比重が小さいのが特徴。その上ガイドの糸抜けが良いため、ルアーの飛距離が出しやすい。
伸びが少なくから感度が極めて高い。他のラインよりも価格は高い。
リーダーラインの有効性

リーダーラインとは、魚に近い部分に擦れや衝撃に強いラインを結び、ラインブレイクを防ぐのが第一の目的。海のルアー釣りでは、フロロカーボンラインを使用するのが一般的だ。
特にPEラインを使う場合は必ずセットしよう。PEラインをルアーに直接結ぶと、結び目から切れやすく解けやすいからだ。それに、細いPEラインは擦れにも弱いからである。
PEラインを使用するのは、より細いラインを使って飛距離を伸ばし、感度を高めるのが目的であるから、切れるからといって太い号数を使うのは目的に反することになる。
このためリーダーラインをセットするのであるが、使うごとに傷が入ってしまう。特に海底の地形が荒い場所を攻めるときなどは、頻繁にチェックしておこう。
指で触ってザラザラしたりおかしいと感じる場合は交換だ。
ルアー

ルアーはエサとは違い、水に入れただけの状態で魚を食わせられるわけではない。釣り人の手でアクションさせることによって、食わせることができるのだ。
しかし毎度同じパターンでヒットしてくるわけではない。そのたびに釣り人は手を変え品を替えて挑む必要がある。その日の有効なルアーを見つけ出すためにルアーローテーションは欠かせない。
どんなルアーがあると良いのかは、ターゲットによっても大きく違うので、釣りたい魚に合わせて探してみよう。釣具店の店員にアドバイスをしてもらうのもよいだろう。
スナップ

スナップはリーダーラインやメインラインの先端に結ぶことで、ルアーの交換を容易にしてくれる。
交換時間のロスを防げるというメリットはさることながら、その日のパターンを見つけ出すために常に交換が予測されるルアーゲームにおいてはスナップの存在は大きい。
耐荷重があるため、目的に合わせた強度設定も重要である。