釣りにおいて情報は最大の武器です。
ターゲットの特徴、釣り方などの基本はもちろん、釣果情報やプロアングラーのアドバイスなどさまざまなものがありますが、実践にまさる有益な情報はありません。
実際の環境や条件に合わせて常に考え、仕掛けを選ぶことが釣果を上げる最大のコツ。そんな現場から得られる情報を増やしてくれるアイテム。それが偏光グラスです。
偏光グラスとサングラスの違い

偏光グラスと一般的なサングラスは似て非なるものです。
目に入る光や紫外線を抑えてくれるという基本的なところは一緒。
ただし、通常のサングラスだと水面の照り返しなどの反射光を抑えるためには、レンズカラーを濃くしなければなりませんので、それだけ暗くなり見えにくくなるわけです。
それを軽減するため、偏光膜というフィルターを2枚のレンズで挟み込んだレンズ「偏光レンズ」があるのです。偏光グラスは主にこの偏光レンズを使ったサングラスのことを指します。
偏光レンズの仕組み

偏光膜の役割は、自分が見たい対象物から直接的に入ってくる光のみを通し、乱反射により斜め方向から入る光を遮るという効果があります。
釣りの場合、水面から跳ね返る太陽光をシャットアウトすることができるため、水中の視認性を飛躍的に上げることができるのです。

上の写真は裸眼で海面を見た場合のものです。なんとなく海中の様子は分かりますが、はっきりと判別することは不可能です。
偏光レンズを通すとどうなるのかというと……。

このようにボヤケていた海底がくっきりと見えるようになります。
当然サングラスとしての基本性能も備えているため、強すぎる光や紫外線もしっかり抑制してくれます。
偏光度と可視光線透過率

偏光度とは前述した反射光を防ぐ割合を指しています。
釣りで使うなら最低でも90%以上は欲しいところですが、だからといって安易に選んでしまうと偏光度は高いのにレンズが暗くなるという問題に直面します。
これは、偏光度を上げるために偏光膜を密にしたことで目に届く光が少なくなったり、レンズ自体の色による影響で視界が暗くなることで発生します。
そのため偏光レンズ選びに重要なのは偏光度と可視光線透過率となります。
可視光線透過率は、快晴の日に釣りに行くなら、10%台だと眩しさを軽減できておすすめです。曇や暗い時間帯が多いのであれば、30%台なら見やすくてよいでしょう。
自分のよく釣りに行く時間帯に合わせて、レンズを選んでみましょう
レンズの素材

偏光レンズに使われる素材は大きく分けて二つ。ガラスとプラスチックです。
ガラスは擦りキズに強く、透過性が高いためクリアな視界を確保することができますが、値段が高めで重たいことがデメリット。
対してプラスチックは安価で軽量。コーティングを考慮しない場合、擦りキズに弱いものの、落としたときに割れにくいことが特徴として挙げられます。
具体的な違いは、製造メーカーの使用している素材にもよるのでホームページなどで確認してみましょう。
コーティング

偏光グラスの能力をさらに向上してくれるもの。それがコーティングです。
たとえばプラスチック製のレンズは表面に擦りキズがつきやすくなるデメリットがあるのですが、それらを保護するためのコーティングをすることによってキズを抑制することができます。
このキズを抑えるコーティング剤には主にハードコートとマルチコートがあります。
ハードコートは主にキズに強く、マルチコートはキズ以外にもレンズ表面の反射を防いだり撥水効果を上げるなど効果はさまざま。これらの有無によっても偏光グラスの値段が大きく変わってきます。
釣り人に愛用者が多い「TALEX」の例だと、ハードコートは両面にコーティングされており、マルチコートが表面のみか裏面にもついているか、ミラーコートがあるかどうかの違いがあるそうです。
自分が購入するレンズが、どのようなコーティングがされているのかも購入の参考になるでしょう。
レンズカラーによっても見え方が違う



上の写真の通り、偏光レンズの色によって微妙に明るさも変わってきます。
具体的にはメーカーの作ったカラーに依存するため上記の例だけではありませんが、主にグリーン系は光量の少ない曇や夜釣り向け。パープルなどの色が濃いものが快晴時向けとされています。
どちらか迷ってしまうときはライトブラウン、ライトグレーがオールラウンドに使えるので、色選びの参考にしてみましょう。
また、ミラーコートがあるレンズは可視光線透過率も下がるので、レンズ選びの際に注意しておきましょう。
偏光レンズおすすめ5選
メガネを愛用するアングラーへ

普段はメガネを使っている釣り人も多いはず。そんな人は度付きの偏光グラスが最適です。
メガネをそのまま使いたい人は、「クリップオングラス」もしくは「オーバーグラス」を選びましょう。
クリップオングラスはメガネ自体に装着し、偏光フィルムを通して見ることができるアイテムです。フレームがない分お手頃なお値段で気軽に装着でき、しかも軽量なのがポイントです。
オーバーグラスは上の写真のようにメガネに被せるように偏光グラスを付けるタイプ。
メガネを覆う形になるため大型にはなりますが、クリップで付ける必要がないためサッと取り出して付けられて、必要ないときはサッと収納できるメリットがあります。
メガネに対して偏光グラスが小さすぎると、うまく反射光をシャットダウンできなかったり、最悪掛けられない場合もあるため、サイズをよく確認して購入する必要があります。