猪熊博之のフカセ釣り新提案「ツケエへのこだわり」

猪熊博之
いぐまひろゆき

グレ・チヌのフカセ釣りで次々と新しいスタイルを確立してきた磯釣りのトーナメンター。主な戦績は第30回G杯争奪全日本がま磯(グレ)選手権優勝、第15回、第16回、第19回釣研WFG優勝、など。がまかつフィールドテスター、釣研インストラクター、東レ・モノフィラメントインストラクター、マルキユーインストラクターとして活躍中。

どんな釣りであっても、使用するエサは戦略を考える上で大きなウエイトを占める要素となります。フカセ釣りにおけるエサはマキエとツケエに分かれますが、今回はツケエについての話です。

28年前のツケエと今のツケエ

私がフカセ釣りを始めた28年ほど前は、ツケエのオキアミは何ら加工が施されていないオキアミ生を使用していました。そのころのツケエで重視されていたのはオキアミの鮮度で、よりきれいで白いものを選んでハリに刺すようにして釣っていました。

加工オキアミの登場以前にはオキアミ生がツケエとして使用され、頭付きでハリに装着するのが最も釣れるパターンだとささやかれていた。

ハリに刺すオキアミは、頭が付いている状態の方が食いが良いという一般的な情報を信じて、好んで頭付きの状態でハリに刺して釣っていました。それが今では、特にグレ釣りにおいては、その真逆のツケエを好んで使用しています。

現在の私は、普段の釣りではオキアミの頭は意識的に付けないようにし、元々は白かったオキアミを赤系や赤茶色に色付けし、きれいな姿かたちは避け、できればオキアミの表面に粉が付着したオキアミを好んで使用しています。

加工オキアミの頭と尻尾を取り除いてハリに装着。現在のグレ釣りではオーソドックスなパターン。

では、なぜそのような考えに至ったのかを、例を挙げながら説明していきましょう。

マキエの中のツケエ

狙ったポイントにマキエを撒き、魚を寄せて釣るフカセ釣りでは、マキエに反応したグレは集魚材とオキアミに反応して、それを捕食しています。集魚材に混ぜられたオキアミは、集魚材の粉にまぶされ、集魚材の色が付着し、そして姿はオキアミの原型をとどめていません。

上層から落ちてくるマキエの中のオキアミはその状態。つまりグレたちは原形をとどめないオキアミを捕食しているわけで、その中に姿かたちが視覚的に同調されていないオキアミ、つまり奇麗な姿のオキアミがあると目立ってしまい、マキエとツケエが同調するどころか違和感を与えます。

グレを狙う場合、私の持論として、目立つエサは見切られるのか敬遠されてしまうのか、いずれにしても食いが悪くなってしまう傾向が強いと思っています。食いが悪いという意味は、効率良くグレが釣れない、つまり数が釣れないということです。

グレの目線と釣り人の目線

人間から見るととても美味しそうには見えないが、これが最も進化したグレ用ツケエの姿。

グレ釣りというゲームの本質は、マキエに反応している個体の総数から何尾のグレにツケエを食わせることができるかという確率のゲームだと感じています。つまり、例えば自分が打ったマキエに反応しているグレが20尾いたとして、その中から何尾に食わせられるかということです。

ここで先述したような奇麗な姿のオキアミをツケエとして使用し、20尾のうち5尾しか食ってこなかったと仮定すると、残りの15尾はマキエの中に含まれているオキアミは捕食するけど、奇麗な姿のツケエには反応を示さなかったということになります。

マキエの中のオキアミをイメージして、ヅケをハリに装着する。

しかし、マキエの中のオキアミと姿かたちが似ているオキアミをツケエとして使用すると、20尾いるグレの中から10尾ぐらいは食ってくるのではないだろうかという考えなのです。

釣り人目線で見たときには、奇麗な姿かたちをしているオキアミの方が美味しそう(グレが食ってきそう)だと感じても、実際はマキエの中で混ぜられて原形を留めていないオキアミを捕食しているのが現実であり、それこそが魚目線と言えるのです。

海水の温度や釣り場の状況、時期、潮の流れ方などなど、狙う魚の動きに合わせて釣り方を工夫しているように、ツケエも魚の目線に合わせて選択することが釣果をアップさせるカギとなることは言うまでもありません。

仕掛けとマキエの同調を強く意識することがフカセ釣りの基本であるように、ツケエの姿かたちもマキエと合わせて同調させることをもっと意識して釣る時代となっているように感じます。

私自身が、そのことに気づいてから長い年月が経ちますが、食わせるツケエの発展はまだまだこれからです。

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