ウキフカセ釣りのタックルバランス

釣法=釣り方=仕掛けであり、どの釣法を使用して釣るかは釣り人次第だ。その選択を誤れば釣れない結果となる。それぞれの特性を知り、使い分けよう。

また、道具のこだわりが上達への近道でもある。仕掛け投入から、魚を掛けて釣り上げるまでの一連の動作をスムーズに行うためには、トータル的にバランスが整っていなければならない。タックルバランスを今一度見直してみることをおすすめする。

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釣法とは?

釣法とは、魚を釣るための手引きみたいなもので、一つの釣法で全ての条件下に通用するものではない。釣法=仕掛けであり、テクニックよりも前に、まず仕掛けを選ぶ眼を養わなければならない。選択する条件は以下の順序。

①対象魚の遊泳層(狙うタナ)

メインに狙う魚はどのタナを泳いでいるか。例えばチヌの場合、底付近を狙うのが一般的なので、移動仕掛けや半遊動仕掛けが適している。

②釣り場の水深

水深が5mにも満たない釣り場では、竿の長さ分にも満たない。こういう場所では固定仕掛けか半遊動仕掛けで狙う。

③潮流の速度

潮が速く流れる場所で、軽い仕掛けを使用すると、当然のことながらアッという間に流されてしまう。対象魚がツケエを食いやすい速度に抑える必要がある。

④仕掛けの重さ

使用するツケエに合わせたウキの浮力調整や、沈下速度に合わせて仕掛けの重さを決定する。もちろん、マキエに同調させる場合も重要。

以上の4項目は最低限の知識であり、仕掛けの選択を決めるのに重要な要素となる。

これに食い渋り・食うタナが深い・すぐにツケエを離す・エサ盗りが多いなど魚に対する対処法と、ウネリ・サラシ・潮の流れ、風の影響など、自然条件に対する対処法があり、それぞれの釣法はその一つ一つの悪条件を克服するために編み出されたものである。

つまり「○○釣法だから釣れた」ではなく、それはそのときの条件にマッチした釣り方だったから釣れたのである。一つの釣法にこだわらず、様々な釣り方をマスターすることで、ウキフカセ釣りは成り立っていることになる。

しかし、マキエとツケエの同調を最重視する考えは、どの釣法でも一致している。それは、魚が居る層を釣るのではなく、マキエを使って魚を寄せて釣る「ウキフカセ釣り」の原点だといえるだろう。

思い通りに魚を釣るためには、自分に合った釣り方を見つけ、より多くの情報を分析する「余裕」を持たなければならない。訳も分からずあくせく釣るよりも、引き出しを多く持つようにして、あらゆる条件でも打つ手が無くならないように各仕掛けの長所と短所を理解しておこう。

各釣法を使い分け、確実な1尾を手にしよう。

タックルバランス基本理論

堤防で30㎝クラスのグレを狙うのに太号数の道具はほとんど必要ないし、離島の尾長狙いでは細号数の道具は使い物にならない。

それをさらに細かく使い分けた「自分の釣り方に合った道具の選択」がタックルバランスである。
他人から押しつけられた道具や、尊敬する人が使用している道具をただ真似て使っても、それは最良のバランスとはならない。

自分の力加減や動作、釣り方に合わせた選択が重要となってくる。100人いれば、100通りの「タックルバランス」が出来上がるというわけだ。
要点を挙げると……。

  • 疲労度が少なく集中力が持続でき、1日中使用できる道具の選択。
  • 自分の釣り方に合った道具と仕掛けの選択。
  • 釣り場の環境や自然条件に合わせた衣類・道具の選択。
  • 当日狙う魚の魚種・サイズに合わせた仕掛けの選択。
  • 愛着がある道具。

以上のことに気を付けて、タックルバランスをコーディネートすることを心掛けよう。

タックルバランスにセオリーはあるが正解はない。自分に合ったバランスを追求しよう。

バランスを取る順序

対象魚がグレならば、必然的に竿はグレ竿に決まる。号数については、魚のサイズが数単位で変わるたびに竿の号数を使い分けている人はいないだろうし、持ち替えることが良策とはいえない。

それに、最初から小さなサイズを狙って釣行する人もほとんどいないだろう。

だとすれば、目標とする魚のサイズに合わせたタックルを選択することになる。

竿の号数を選び、ハリスを決定する流れが一般的であるが、それでは魚のサイズに合わせたタックルバランスにはならない。

では、なにから道具を選択するのか。当日狙う魚種を決めたのであれば、ツケエとマキエを決定するはずである。そして、狙うタナに合わせた仕掛けを組み立てる。
これを順に道具を組み立ててみると……。

  1. 釣れるタナに合わせたマキエを選択して「釣法」を決定。
  2. 対象となる魚種とサイズ、使用するツケエに合わせたハリの種類と号数を決定。
  3. 魚のサイズに合わせたハリスの号数を決定。
  4. 自然条件・釣り場に合わせたウキの号数を選択。
  5. 魚のサイズに合わせた道糸の号数を決定。
  6. 全体のバランスを考慮した竿の号数の決定。

この順番を見てみると、仕掛けを組み立てる順序と逆の順序をたどっていることになる。釣行前は魚をメインとして考えているが、いざ釣りを始めようと釣り場に着くと、使用する竿をメインに仕掛けを組み立てているのが現状だろう。

釣り場についても、対象魚とサイズを念頭に置き、タックルを組むようにすればアンバランスな仕掛けが組み上がることはないというわけである。

ハリのバランス

グレバリとチヌバリの大きな違いは、軸の太さと長さであるが、同じハリでも号数が違えば強度も違うのはご存じであろうか。

大きな魚を大きなハリで狙うのは、掛かりを良くして飲み込まれないようにするためだが、ハリは大きくなるほど強度が落ちてしまう。

フトコロが広くハリのアールが大きいほど、魚が掛かったときにハリのアール部分に力が掛かりやすく、伸ばされたり折れたりしやすくなる。同じ太さであれば、アールが小さいハリの方が強度面だけで言えば強いことになる。

つまり、簡単に言えば小バリほど魚の食い込みがよく、掛かったときの強度面で安心度が高いというわけだ。

しかし、小バリは飲み込まれやすい上に、大きなハリに比べて掛かりが悪いという欠点がある。いくら食い込ませてもハリが掛からなければ意味がないものとなる。では、どういう順序でハリの形状を選択すればよいのか要点を挙げると……。

  • 食いが悪いときは小バリにして食いを優先させる。
  • 食いが良いときはフトコロが広めのハリを選択し、掛かりを優先させる。
  • 使用するツケエの種類で、エサ持ちが良い形状のハリを選択する。

ということになる。

ハリにはこだわらなければならないポイントがいくつもある。

次に、ハリの重さについても重要視しなければいけない。

もちろん、ツケエ(ハリ)が仕掛けの中で先行して流れていることが前提となるが、全遊動や全層釣りなど、比較的軽い仕掛けを使用する場合、ハリの重量が大きく影響してくる。

特に0号以下のウキを使用する場合、太軸で重いハリを使用しただけで、仕掛けが入るスピードが変わってくる。

ガン玉で仕掛けが入るスピードを調節するよりも、より自然に仕掛けを流すためにもハリの重量で調節した方が、アタリが出やすく魚の食い込みも悪くならない。

ハリを決定する条件は、ハリの形状と重量を念頭に置いて決めるようにする。

ハリスのバランス

ハリスのほとんどがカーボン素材で作られており、道糸に比べて沈降速度が速く、強度も高い。魚をバラす原因も、根ズレによるハリス切れや、魚の歯やエラで切られる事がほとんどだろう。その原因を考えてみると……。

  • ラインを出すタイミングミス。
  • アワセのタイミングミス。
  • ロッドワークミス。
  • 突然のアタリに対処できないミス。
  • 釣り座の選定ミス。
  • 取り込み位置の選定ミス。

この中の原因の大半が、ラインを出すタイミングとロッドワークだろう。名手や名人と言われる人達は、これらのミスが極端に少ない。この人達の仕掛けを見て、ハリスや道糸が細いと感じたことはないだろうか? これは、ラインブレイクする確率が極端に少ないからであり、食い込みを重視しているからでもある。

自分が体感したことがあるサイズよりも、わずか数㎝大きな魚が掛かっただけでも、すごい引きに感じた経験が皆さんにはあるだろう。ハリスの号数選びは、自分が仕留めた魚のサイズにも比例していることであり、「このサイズであれば、この号数で十分獲れる」という、信頼度にも関係している。

魚の食い込みを重視するなら細くして、取り込みを重視するなら太くする。まずは確実に取り込むことを優先に考え、それで食わなければ号数を落としていく方が順当であろう。自分が取り込んだ魚のサイズとハリスの号数が標準号数である。

道糸のバランス

道糸のバランス取りは、号数よりも「風」と「釣法」、「竿の号数」のバランスが重要となる。

風が強ければ当然、号数が細い方が影響を受けにくく、使いやすいものとなる。しかし、風の影響を嫌ってウキを沈め気味に使うことが多い場合、一概に細くするだけでは対応しきれない。

道糸の号数を細くして全体のバランスを崩してしまうよりも、ハリスを長く取って対応した方が良い場合もある。

号数を替えるよりも「サスペンドタイプ」と「シンキングタイプ」の両方を替スプールにセットして使い分けた方が理想的である。また、ウキの浮力にも関係しており、特にウキの穴径も考慮して号数を選択することも大切だろう。

竿のバランス

対象にする魚種とサイズで号数を決定するのがセオリーだが、それにプラスして色々な要素が含まれてくる。

  • 自分がよく行う釣り方。
  • 釣り座や自然環境に合わせた竿の長さ。
  • 魚を掛けたときのスタイル。
  • 使用する道糸とハリスとの号数の関係。

竿を購入する基準は、対象とする魚のサイズやよく釣行する場所で選択すればよいが、号数を全てラインアップするには経済的にも苦しい。

善処策は、使用頻度が一番高い号数の竿を、完全に使いこなすことにある。つまり、力の入れ加減を知ることである。

順序としては、竿にリールをセットして道糸を通し、ハリスをセットする。そのときのハリスの長さは自分が普段使用する長さに合わせる。そして、動かないものに結び付けて竿をめいっぱい絞ってみる。そのときにやる動作の手順は……。

  • 竿を大きく立てて絞ってみる。
  • 竿をラインと直線にして引っ張ってみる。
  • 竿を横に寝かせ気味にして絞ってみる。
  • 竿を腹に当てて竿を絞ってみる。
  • ハリスの号数を細いものから太いものへと変更して試してみる。

この手順を踏んで、自分に合った竿の角度を見つけだし、力の入れ加減でラインブレイクする限界点を体に覚え込ませるとよいだろう。しかし、ラインブレイクする前に竿が折れる確率の方が高いと言ってもよく、そうそうラインが切れることはない。

釣り場でゴミがハリ掛かりした経験があると思うが、ビニールや流木が掛かっても、ラインブレイクすることはなかったはずである。このことからも、無理をせず一定の力で引き寄せることが理想となる。実際に体感するには、夏場にボラなどを細ハリスで掛けてやり取りを修得した方がよりリアルに経験値を積むことができるだろう。

タックルバランス早見表

口太グレを狙うタックルバランス(目安)

 20〜30㎝30〜35㎝35〜40㎝40〜45㎝45㎝〜
竿1.0〜1.25号1.0〜1.5号1.25〜1.5号1.5〜2.0号2.0〜3.0号
道糸1.5〜2.0号1.5〜2.0号2.0〜2.5号2.0〜3.0号2.5〜4.0号
ハリス1.0〜1.5号1.0〜1.5号1.25〜1.5号1.5〜2.0号1.75〜3.0号
グレバリ3.0〜5.0号4.0〜6.0号4.0〜6.0号4.0〜6.0号5.0〜6.0号

尾長グレを狙うタックルバランス(目安)

 35〜40㎝40〜45㎝45〜50㎝50〜60㎝60㎝〜
竿1.25〜1.5号1.25〜2.0号2.0〜3.0号2.0〜3.0号3.0〜5.0号
道糸1.75〜2.5号2.0〜3.0号2.5〜4.0号3.0〜5.0号4.0〜6.0号
ハリス1.25〜2.0号1.5〜2.5号2.0〜4.0号3.0〜5.0号4.0〜6.0号
グレバリ4.0〜6.0号4.0〜6.0号5.0〜8.0号6.0〜8.0号7.0〜9.0号

外ガイド竿 適合オモリ&適合ライン表

号数オモリ負荷
適合ライン(ナイロン)
0号1〜3号0.6〜1.5号
0.6号1〜3号0.6〜1.5号
0.8号1〜3号0.6〜1.5号
1.0号1〜3号0.8〜3.0号
1.2号1〜4号1.0〜3.0号
1.5号1.5〜4号1.5〜3.0号
1.7号1.5〜5号1.7〜3.5号
2.0号2〜6号2.0〜5.0号
3.0号5〜15号3.0〜10号
4.0号10〜18号4.0〜12号
5.0号12〜20号4.0〜12号

中通し竿 適合オモリ&適合ライン表

号数オモリ負荷
適合ライン(ナイロン)
0.8号1〜2号0.8〜2号
1.0号1〜3号1〜2.5号
1.2号1〜4号1.2〜2.5号
1.5号1.5〜4号1.5〜3号
1.7号1.5〜5号1.7〜4号
2.0号1.5〜6号1.7〜5号
3.0号5〜10号3〜7号
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