沖堤防は周囲を海に囲まれているが、足場は案外しっかりしているところが多い。沖堤防まで渡してくれる渡船料もそこまで高くないので、初心者から上級者まで楽しめる釣り場といえる。
そんな魅力の高い釣り場であるが、地続きの堤防に比べて、さまざまな釣り方で楽しむことが可能だ。その中でもおすすめの釣り4選を紹介しよう。
ウキフカセ釣り

初めて沖堤防に渡る人もいるだろうから、ウキフカセ釣りの注意点から解説しよう。
潮の流れや打ち寄せる波などを遮るために設置されているのが沖堤防だから、通常はどこの沖堤防も潮通しが良く水深も深い。
場所によってはマダイやイサキなども狙えるが、初めてなら地続きの堤防でも狙っている魚種がよいだろう。定番のチヌとクロの狙い方を紹介しよう。
チヌ狙いの仕掛けと釣り方

行く場所を決めたら、何が釣れるか、エサは何が有効かをまずは調べること。調べてもいまいち分からない場合は、セオリー通りの釣り方で狙ってみよう。
船から下りたら、他の釣り人が竿を出した痕跡を探す。マキエの跡や濡れているなど、ちょっとした痕跡があるはずだ。魚を締めた跡なども目印となる。
まずはそこで竿を出してみよう。理由は、実績のある場所かもしれないことと、マキエが効いている可能性があるからだ。
チヌ釣りの場合、マキエをポイントに溜めてチヌを寄せて狙うから、次々とポイントを変えながら釣るのは難しい。最低でも30分くらいは同じポイントで粘るようにする。
逆にポイントを変更する理由は、そのポイント周辺だけ潮が流れていない、もしくは速すぎる場合、エサ盗りが多すぎてツケエがまったく持たない、などだ。
釣れないという理由だけでは「もうすぐ釣れるかも」という感情に押されてなかなか移動できないから、自分なりの基準を決めておこう。

沖堤防は地続きの堤防よりも魚が回遊してくる数が多いから、場所移動しても釣れる確率が極端に下がるわけではない。
仕掛けは5B以上のウキを使用した半遊動仕掛けを使う。水深が5mくらいの場所でも、流れが速いと底付近を狙うのは難しくなるから、これくらい重い仕掛けがベストだ。
狙うポイントは堤防の敷石の際。一帯の海底の起伏が荒い場所でない限り、チヌはカケアガリ(敷石の際)を目印に横移動してくる確率が高い。
敷石の上ではなく、沖側に敷石から2mくらいまでを目安にまずは狙ってみよう。
ツケエは通常のオキアミで大丈夫だが、練りエサは必ず持っていくこと。エサ盗りが多いときはもちろんだが、流れが速いときに確実に底付近を安定して狙うことができるので、重宝するツケエだ。
グレ狙いの仕掛けと釣り方

堤防のグレ釣りは思う以上に難しい。小型は多くいるが、30㎝以上になるとなかなか食ってくれない。
見極めは、20㎝クラスが数釣れるポイントであれば、30㎝以上が釣れる可能性はあるということだ。10㎝クラスばかりだと可能性は低いので場所を変えるかチヌを狙った方が無難だ。
ポイントの見つけ方はチヌと同様で、狙う場所も敷石の際付近を目安とする。マキエを撒くと海底付近からグレがワッと浮いてきてエサを食べるから、狙うタナは2ヒロくらいから始める。
ただし、底まで透き通って見えるようなところなら、底が見えない沖を狙う。こちらからグレの姿が見えないラインから沖がポイントになる。

水深に関係なく狙うタナは浅いから、仕掛けは軽いものでOK。0号〜G2くらいでよいが、自重のあるウキを使い遠投できるようにしておこう。
魚影の濃い場所で活性が高ければ、手前に小型、沖に良型というパターンになることも多い。
テトラがある沖堤防なら、断然テトラ周りが好ポイントになりやすい。テトラのコーナーや切れ目、潮が当たって跳ね返る場所などがそれだ。
テトラでの注意点は、アワセのタイミングだ。遅いとテトラに潜られるから、仕掛けを少し張り気味にして、掛けアワセで仕留めよう。
穴釣り仕掛けと釣り方

「穴釣り天国」と呼ばれる沖堤防のテトラ群。しかし、ハズレを引くことも多く、全く釣れない場所もある。
しかし、釣れたときのサイズが地続きの堤防の倍ほども違うから、テトラがあると必ず狙ってみたくなるのが沖堤防だ。
釣り方は地続きの堤防と全く同じ。違うのは大きなテトラを設置している場合が多かったり、波が荒い、水深が深いなどだ。必ず安全装備を万全にしてチャレンジしていただきたい。
タックルは30㎝クラスのカサゴを想定して揃えること。一気に巻き上げることができるロッドのパワーが必要だ。
ブラクリ仕掛けは根掛かりを想定して10個以上は持っていこう。重さは3、4、5号を持っていればだいたいカバーできる。
テトラとテトラの隙間の穴を探っていくのが基本。より奥深くへ入る穴を探して次々と狙っていく。
使用するエサは、活性が高いときはオキアミがハリに刺しやすく手返しが良くなる。
エサばかり取られる場合はイカの短冊やムシエサ、サバの切り身を使う。キビナゴも有効ではあるが、状態が良くないとエサ持ちが悪い。
見えるテトラの穴だけではなく、沖に沈んだテトラの穴もポイントになる。ただしラインがテトラに擦れやすくなるから、先端にフロロカーボンの5号クラスを5mほど結んでおくとよいだろう。
メインラインはPEラインが断然感度が良くおすすめで、細い必要はない。
エギング仕掛けとアオリイカの狙い方

アオリイカは根魚のようにじっと居座っているわけではなく、回遊している。だから回遊してくる条件を知ることが大切。
といってもそれほど大げさではなく、単に潮の流れに起因していることが多い。産卵時期は少し違う行動をとり、潮通しが適度にあり流れの穏やかな場所に産卵するため、湾奥などにも入ってくる。
秋は、活発にエサを求めて行動するため、沖堤防では頻繁にイカの回遊が見られるようになる。
時間帯

釣りの中で一番釣れるとされるのが朝夕のまづめ時。
アオリイカも同じであるが、まづめ時だけ爆釣というのではなく、午前10時だったり、午後4時だったりと場所により時合が違うことが多い。
なので初めて行く場所ではランガンしながら狙った方が断然釣果を上げやすい。
潮の流れ
回遊してくるタイミングは潮に大きく影響し、特に潮の変化が生じたときにアタリが多く出やすい。
潮の流れが変わったとき、動かなかった潮が動き始めたとき、流れる方向が変わったときなどにアオリイカも動く。
その変化を知るためには、海中の様子を把握しておかなければならない。特にエギをフォールする際、ラインにテンションを掛けておき、エギの引っ張られる方向を絶えず感じられるようにしておく。
少しでも変化があれば集中してその場所を狙い、変化がないようであれば、ポイントを変えればよい。
ベイト

ベイトとはフィッシュイーターが捕食するエサとなる対象のこと。イワシなど小魚の群れがあると、それを食べるためにフィッシュイーターが集まってくる。アオリイカも例外ではない。
ただし、アオリイカはスズメダイなどいつも堤防付近にいる魚も捕食対象としているので、ベイトがいないからといってアオリイカもいないわけではない。
ベイトの数が多いとそれだけエサにありつける確率が上がるためか、アオリイカの活性も上がり気味になる。アオリイカがベイトを追い掛けナブラが立つこともあるほどだ。
そんなときは表層付近にアオリイカがいるので、スローシンキングタイプなどで迷わずナブラ撃ちをしよう。

しかし、通常はベイトが多くいても、青物のようにナブラが立つことはあまりない。
アオリイカが泳ぐ速度もそれなりに速いが、青物のように追い掛けて追い詰めて仕留めるということはほぼなく、どこかに潜んで近づいたところを襲うパターンが多い。
だからエギを通す場所は通常通り、ストラクチャー周りや潮の変化がある場所だ。
ショアジギングの仕掛けと釣り方

沖堤防で必ずと言ってよいほどルアーマンが行う釣りがショアジギングだ。
以前は青物=ショアジギングという印象が強かったためか、青物が近郊に接岸してきた情報がない限り、ショアジギングを楽しむアングラーを見かけることはなかったが、多くの魚種が狙えることから、ショアジギングを楽しむアングラーが増えている。
また60〜100gといった青物狙いではなく、15〜40gといったライトなものも好まれている。
いわゆるガチタックルではなく、エギングやシーバスに加え、アジングやメバリングロッドでも扱える軽量のジグを使い、漁港周辺を探り歩くのが今風だ。
しかし、沖堤防となると話は別。やはり青物狙いで挑みたい。
ガチタックルでなくても、28〜60gのジグが扱えるタックルなら十分に狙うことができる。すでに沖に立っているわけだから、それだけ魚の回遊が身近で起こっているということだ。
ポイント

地続きの堤防と大きく違うのは、潮を見ながら狙うということ。
地続きの堤防の場合、ナブラ待ちやいつも釣れる場所というのがポイント選びの基準になるが、沖堤防では潮の流れでポイントを読むのが一番だ。
一見して分からない場合は、とりあえずジグを目一杯遠投して潮の流れを調べてみること。流れる方向はもちろん、海中の流れが上層から下層まで同じであるかも調べること。
上層は流れていなくても下層の潮だけ流れていることもある。そんな潮の変化を求めてポイントを探し当てよう。
それでもよく分からない場合は、沖堤防のコーナーや先端付近に釣り座を構えるとよい。潮の動きが一番あるところなのと、回遊魚が通るコースとなっている確率が高いからだ。
狙い方・キャスト

ナブラが起きた場合、ナブラの進行方向を予測して、ナブラの前方にジグが着水するようにキャストする。
ナブラがない場合は、潮が動いていることを確認して、潮上側へキャストしてから潮下へ引くようにするか、潮を横切るようにしてジグを引いてくる。
これは、魚は潮の流れに向かって泳いでいるため、ジグを見つけやすいようにするためだ。
狙い方・アクション
着水後フリーフォールさせて着底させ、すぐにワンピッチでシャクリ初めるのが標準と考えていいだろう。
水深が20m以内の場所なら、着水後一気に手元までワンピッチで引いてきてもよいだろう。それくらいの範囲なら、青物は見つけて追い掛けてくるからだ。
しかし、食わせるためのアクションは別。
ずっとワンピッチで巻き続けるよりも、途中でフォールアクションを入れたり、ちょっとしたストップを加えて食わせの間をつくったりすると、リアクションで食ってくれる確率が高まる。
タダ巻きなんかも有効だ。
沖堤防では想像以上にジグの後ろに魚が着いていることが多い。
釣れない=魚がいないのではなく、常に口を使ってくれないと考え、ワンパターンアクションではなくアクションをローテーションさせながら、ヒットパターンを探し当てよう。
ときには超高速巻きや、ブレードを使うなどしてワンパターンを防ぎ、結果を呼び寄せよう。