ムシングとは
今、一部のアングラーの間で流行りの兆しを見せている釣法があります。
それが「ムシング」。ムシングとは簡単に言ってしまえばルアーフィッシング用のジグヘッドを使い、ワームの代わりにエサをセットしてターゲットを狙う釣り方です。
ジグヘッドを使っているアングラーなら一度は考えたことがあるのではないでしょうか?「これにエサ付けたらもっと釣れるんじゃないの?」と。
基本的にはその通り。ルアーのように自由なアクションでターゲットにアピールして、ルアーにはあまり備わっていないエサの圧倒的な集魚力で食わせる。これがムシングです。

無論フォールスピードや波動の強さなど、色や形を自由に選べるワームの方が有利な点もあるため、すべてにおいてムシングの方が上とも言い切れないのですが、それでも本物のエサを使う利点は大きいです。
この「ムシング」という言葉自体は山本釣具センター大矢野店の松嶋晃さんが作り出した造語です。
彼は早くからジグヘッド+エサの効果に着目し、ムシエサを使ってさまざまなターゲットを攻略しているいわばムシングのスペシャリストと言えます。
ジグヘッド+エサという発想はもちろん他でも具体化されており、エビエサを使用したマイクロテンヤもその一つ。
もともとのテンヤ釣りも言わばジグヘッドにエビを付けたようなものなので、これはごく自然な流れと言えるでしょう。
ムシングタックル

ムシングはもともと、アジングやメバリングといったルアーのウルトラライトゲームから発展していったものです。それゆえ、使用するタックルはウルトラライトタックルがよいでしょう。
超軽量ジグヘッドをキャストしてアクションさせられるロッドが必要となってきます。
具体的にはアジング、メバリング、トラウト、チニングなどのロッドを利用すると使いやすいでしょう。
リールは1000〜2000番程度のサイズを選び、それに装着するラインはナイロン・フロロカーボンであれば0.6号前後、PEであれば0.3号前後がよいでしょう。
もちろん、現在アジングやメバリングを楽しんでいる人は、そのままのものを使用すればOK。

また、磯竿でも釣りは可能です。その場合はなるべく柔らかめの竿を使うのがよいでしょう。道糸やハリスも普段使っているものの中でなるべく細めのものを選べば特に問題はありません。
ジグヘッドはワーム使用時と同様に0.5〜3g程度のものが基本となってきます。アジングやメバリング用のジグヘッドで大丈夫ですが、エサを使うことを前提にした専用品も発売されています。
エサ用ジグヘッドの最大の特徴はエサが取れにくいようにエサキーパーが付いていることでしょう。これがないと柔らかい生エサを付けた場合、キャスト時にエサが外れやすくなってしまいます。
また、ワームと違い、エサの場合はリトリーブによるスイムアクションが得られにくいので、フォールを意識した形状となっているようです。
エサの種類・付け方


「ムシング」の語源はムシエサから来ているものですが、エサはコケブ、アオケブ、モエビ、オキアミ、キビナゴなどムシ系、エビ系、魚系とさまざまなものを使うことができます。
ただ、やはり活きエサのほうが食いが良い傾向にあるようです。活発に動くことによって誘いとなってターゲットを魅了するのです。

ムシエサの場合、ワームと同様に装着した状態で真っすぐとなるほうがよいでしょう。また、お尻の方から刺すと身が切れやすくなってしまいます。口の硬い部分から刺すとエサが外れにくくなります。
エビ系のエサの場合、オキアミなどは足の付け根の硬い部分からハリを刺して、そのままクルッと身に通します。一方、モエビなどの生きたエサの場合、なるべく元気な状態を保って、動きを良くすることを考慮したいです。
そのため、尾を取り除いて、尾の先からハリを刺し、エビを真っすぐにした状態で腹からハリ先を出すのがポイントです。
キビナゴなどの魚系のエサの場合も身がちぎれやすいので、口やエラなどの硬い部分からハリを刺して頭からハリ先が出るようにするとよいでしょう。
また、ジグヘッドと組み合わせるためのエサも発売されています。オキアミベースですが、通常のものよりも身を締めており、フルキャストしてもハリ外れしにくくなっているのが特徴です。ムシ系や活きエサが苦手だというアングラーにはおすすめです。
ターゲットの狙い方

波止の付け根となる足元、ケーソンの切れ目やスリット、テトラの隙間などは地形変化が大きくて魚が付きやすい場所です。まずはそういった場所を狙っていきます。
釣り方は簡単。落とすだけです。エサの付いたジグヘッドをそのまま足元にフリーフォールさせます。このフォールのときに食ってくるパターンも非常に多いです。
ジグヘッドの重さは水深や潮流によって変えますが、ボトムを取れるのであればなるべく軽いほうがよいでしょう。1gを基準として着底が分からないようであれば重くする、食いが悪いようであれば軽くすればよいでしょう。
着底したら、ワームと同じようにチョンチョンとボトムを叩くように煽って誘いを掛けるのも効果的です。ルアーと違うところはストップ(ステイ)の間を長くとってやるというところでしょう。
何もしなくてもエサの場合は臭いなどで魚を誘う上、活きエサなら勝手に動いてターゲットにアピールしてくれます。やはりこれがエサの強みといえるでしょう。反応がなければ、ラインをある程度巻き上げ、再びフォールを繰り返すとよいです。
これだけで十分釣果は望めるはずですが、キャストしてより広範囲を探るのも効果的です。波止の下には基礎が入っており、それが波止から沖に向かって5〜10m程度伸びています。その基礎の切れ目の地形変化にも魚が付きやすく狙い目ポイントとなります。

キャストする場合、狙ったところまで届かないようであればジグヘッドを重くする必要があります。
海の状況やターゲットによっても異なってきますが、あまり重くし過ぎると食いが悪くなる場合もあるので様子を見ながら少しずつ重くしていくとよいでしょう。
キャストしてボトムを取ったら、ラインを巻きながらゆっくりと底をズル引きます。
底の形状が荒かったり、海底に障害物があって引っ掛かるようであれば、チョンチョンとロッドを煽りながら軽く跳ねさせてやると、根掛かりしづらくなります。
そしてしっかりとストップの間を長く取りましょう。
後は基本的に足元狙いの場合と同じです。ワームを使うときのようにスイムを重視するのではなく、フォールでの誘いとボトムでエサ自体が持つ集魚力を利用するのがコツです。
他でも使えるルアー+エサ

ジグヘッド+エサの釣り方をウルトラライトゲームを中心に紹介しましたが、ルアー+エサの釣り方はこれだけではありません。キジハタやアカハタといったロックフィッシュゲームでも有効なのです。
もちろん、ロックフィッシュ狙いでもジグヘッドを利用してもよいですが、ロックフィッシュ狙いでジグヘッドを使うのは、どちらかというとスイムアクションを重視している場合です。
そこで、テキサスリグでワームの代わりにエサを使って狙ってみましょう。
ハタ系のロックフィッシュを狙う場合はウルトラライトゲームと比べてフックのサイズがかなり大きくなってくるので、それに合わせてエサも多少大きめのものを使うこととなります。
使用するのは、魚やイカ、また鶏肉の切り身などです。魚の場合はサバなどがポピュラーですが、釣れた何かしらの魚をその場で切って使うのもよいでしょう。また、イカの切り身もおすすめです。
イカの白い身がターゲットに対してアピール力が高く、また短冊状にカットしたイカの身はフックに付けやすいのも特徴です。鶏肉はムネ肉で十分でしょう。
安く手に入り、身持ちが良いのが特徴です。どのエサを使う場合でも、事前に塩などをまぶして締めておいた方が身持ちが良いです。

また、そのときに味の素などのアミノ酸系の調味料をまぶして集魚効果を高める手法はエサ釣りの世界では上等手段となっているので是非試してみたいところです。
釣り方はロックフィッシュでも有効なボトムバンプとなります。根の荒い場所で障害物などを避けながらターゲットにアピールするのに最適な釣法です。
キャストして着底後、ロッドをチョンチョン軽く煽ってリグを跳ね上げながらラインを巻き取っていきます。
ときどき大きくジャークさせて大きめのフォールを演出してやるのも効果的です。基本的には前述したジグヘッドでキャストする場合と同じアクションで誘っていきます。

ロックフィッシュを狙うためのタックルは30g程度のルアーがキャストできるロッドを使ってラインはPE1.5号をチョイスするとよいでしょう。
使用するシンカーはこれまた水深や潮流によって大きく変わってきますが、8〜20g程度のもを用意しておきたいです。
確実にボトムが取れるものを選ぶことが重要です。
ルアー+エサでの釣り。ルアーのアクションや手軽さにエサの集魚力をプラスして高い釣果を狙う。エサ釣り師にとってもルアーマンにとっても試しやすいのではないでしょうか。皆さんも是非挑戦してみて、その釣果にハマってみてはいかがでしょう。