グレの泳層に合わせてマキエをコントロールする
グレがどの遊泳層にいるか、またはどの水深に誘い出したいかによって、どのようなマキエを使用するのかが変わってきます。
深場に潜んでいるグレに対して、軽く拡散するマキエを投入してもグレの口には届きません。また、非常に活性が高くて水面近くまで浮いているのに重たいマキエを連続して撒くと、グレの群れはそれを追って深場に沈みかねません。

今や集魚材はグレ釣りにはなくてはならないものとなっています。種類は多く、比重や沈み方、色などさまざまなものがあるから、どのように使い分けるかを自分で確かめておく必要があります。
このように、状況によってマキエのタイプを使い分けなければ、満足のいく釣果を上げることはできません。
マキエは大きく次の三タイプに分けられます。
- 軽く拡散する
- 重く、固まりの状態で沈む
- 軽くも重くもない中間タイプ
他にも、まとまりが良くて遠投しやすいタイプ、まとまりやすいが着水すると拡散するものと種々あります。
マキエの比重を使い分けるには?
集魚材のタイプを使い分ける
集魚材を利用すれば簡単に重たいマキエ、軽いマキエはできます。
ただし、いつも手元にあるとは限りません。
集魚材は種類が多く、さまざまなタイプがあります。
重たいマキエ、軽いマキエがほしければ、それに適したものを使えば簡単に特徴のあるマキエか完成します。
集魚材ではないものの、パン粉を加えれば安価で軽いマキエができます。使用が許されていればムギを使うのもよいでしょう。カキ殻やトウモロコシを含めて、比重の大きい要素を混ぜることで重たいマキエができあがります。速い流れの中で強制的に沈めようとすれば、これくらい重たいものを混ぜないと沈んでいく先を予測できません。 ただし、その日にどのような磯に上礁するかどうか分かっているケースは少ないです。
多くの場合、船長の判断と釣り客の希望とで当日に決まるものです。集魚材の重たいタイプ、軽いタイプ、遠投できる集魚材の予備は必ず準備しておきたいところです。

オキアミをカットするか原形か
エサ盗り対策としてオキアミを小さくカットすると、原形に比べてゆっくり沈むようになる。
解凍したオキアミをマキエヒシャクですくって海に投じると、同じブロックであっても沈み方は均一ではありません。早く沈むもの、ゆっくり沈むものといろいろあり、すべてが同じ沈み方をしません。理由は、体内に含まれた空気にあります。集魚材を混ぜるという作業で体内の空気はある程度押し出され、同じ沈み方をするようになります。
さて、次の段階です。このオキアミを原形で撒くか、それともカットするかで沈み方は違ってきます。原形だと早く、カットするとゆっくり沈みます。
本来、オキアミをカットする目的は、主としてエサ盗り対策にあります。ヒシャク1杯当たりの「粒」を増やせば目くらましになり、エサ盗りの目がツケエに向く確率は低くなるという理由です。
その一方で、原形は尾長が好むという特徴があり、尾長ハンターたちは常にカットせずに使用しています。そのため、早く沈む傾向があることを知っておく必要があります。カットされたものとは数秒の違いでしかありませんが、尾長は口太より浮きやすい習性があり、原形を大量に撒くとせっかく浮いてきた尾長がまた潜ってしまいかねません。また、同調させるタイミングも微妙に変わります。カットしたものと同じタイミングで釣っていてはアタリはでません。

オキアミをすり潰して練り込む
向かい風に対して最強のマキエが存在している。
エサ盗り対策やグレがヒットしやすいという目的で、現代は遠投釣りが欠かせない存在となっています。しかし、しばしばそれは妨害されます。特に、強い向かい風があると遠投釣りは不可能になります。重たいウキを使えば仕掛けはそこそこ飛んでも、マキエはそういうわけにはいきません。その対策として遠投用の集魚材が開発されてはいるものの限界はあります。所詮は粉とオキアミです。少しばかり粘りを出しても飛距離はそうそう伸びるものではありません。通常タイプより少しは飛ばしやすいという程度でしかありません。
こういうケースで有効なのがオキアミを潰し、よく練り込むことです。かなり手間はかかるものの、こうすることで粘りがあって硬いマキエが完成します。これなら50数mは十分飛びます。
しかし、問題もあります。水面はもちろん、中層でもバラけることはなく、固まりのままで海底まで沈む。それではグレを浮かせることはできず、沖は警戒心が緩むというメリットを生かすことができません。
このようなケースでは極小カップのマキエヒシャクを用い、1杯当たりのマキエを少なくします。小さくて固まりではあるものの、小魚が突つけば形は崩れ、やがて食べ尽くされる可能性が高いです。グレの群れは沈みません。

流れがなければ早く沈み、潮が速いとゆっくり沈む
マキエの比重を変える基本的な方法はそれぞれのフレームを見てもらうとして、それ以外の方法を紹介しておきましょう。
まずは流れの速度による沈み方の変化です。これは分かりやすいでしょう。潮が静止した状態ではマキエが真下に沈む。そのため、沈むのは早いです。
対して、潮が速いとマキエは横に流され、沈下速度は遅くなります。本流では重たいマキエを使用する人が多いのはこれが理由です。軽いマキエでは7mの水深まで沈めようとしたとき、はるか彼方まで流れ去ってしまう可能性があります。
マキエシャクの使い方によって沈み方は変わる

同じマキエでありながら沈み方が変わるもう一つの理由は、ヒシャクの使い方が異なるケースです。マキエを広く散らすバラ打ち、遠くまで飛ばすための点打ちという方法はよく知られていますが、バラ打ちすればゆっくり沈み、点打ちすると早く沈みます。
点打ちの場合はバッカンの内側にカップを押しつけてマキエを押し固めるから、塊のままで沈んでいく。早く沈むのは当然です。
他に、マキエヒシャクを斜めに振り抜いて切るような打ち方があり、マキエは横に、あるいは斜めに狭い範囲で広がりながら着水します。この方法だと点打ちに次いでマキエは早く沈みます。
どれほど軽いマキエを使っていても、早く沈む打ち方をしていればグレの泳層は次第に深くなる可能性があります。拡散する軽いマキエだから大丈夫だと安心していると失敗することを肝に銘じておきましょう。