釣りに必ずといってよいほど出てくる「まづめ(まずめ)」というワード。釣りに最適な時間帯はどこかといえば決まって「食事時となるまづめ」と答えられます。
しかし、我々人間のように仕事や学校があるわけでもない魚に、どうしてこんな規則正しい食事の時間が定められているのでしょう?
まづめのメカニズムについて解説します。
まづめ(まずめ)とは

まづめとは太陽の日の出前後、日の入り前後の時間帯のこと。釣りにおいてゴールデンタイムと呼べる時間帯です。
まづめの正確な時間帯についてはいろいろな解釈がありますが、一般的には夜が明るくなりはじめてから日が昇り始めるまでを朝まづめ。夕暮れから完全に暗くなるまでを夕まづめと呼びます。
ただし、相手は自然ですので当然活性の上がり方にはそれ以外の条件が複雑に絡み合っています。そういった意味でも大体日の出、日の入りの前後1〜2時間とされています。
魚が活発にエサを捕食し始めるのがこのまづめとされており、とにかく時間に迷ったら早朝、夕方に竿を出すと覚えてよいでしょう。
もちろんターゲットによって「昼行性」「夜行性」もしくはそれ以外の要素が交わり、釣れる時間帯は前後します。
魚の知識もふまえた上で釣行時間を調整すれば、短時間で、より釣果を上げることができるのです。
まづめはプランクトンがキーワード

まづめが釣れる理由に深く関わってくるのはプランクトンの移動です。
プランクトンは小魚のエサなので、イワシやアジが集まり、同時にフィッシュイーターも集まるため魚のサイズを問わずさまざまな魚が捕食を開始するのです。
昼行性の魚、夜行性の魚を問わず活動するという意味でも、魚種を選ばず釣れやすいといわれる理由です。
夕まづめのメカニズム

動物プランクトンは日没が始まり夜になるにつれて海底から海面へと移動します。これを「日周鉛直運動」といいます。
夜に浮いてきたその動物プランクトンを小魚が捕食し、食物連鎖が始まるわけです。
また、動物プランクトンには虫と同じように明かりに集まる特性があり、常夜灯下が釣れるといわれる理由はここにあります。
この特性を活かしたのがいわゆる夜焚きと呼ばれるイカメタル。爛々と光る集魚灯にプランクトンを集めて、食物連鎖を起こさせることでイカを寄せるというわけです。
朝まづめのメカニズム

一方、朝まづめは植物プランクトンが影響しています。夜、暗くなってきたときに光合成をするために植物プランクトンが浮上するためです。
あとは夕まづめと同じく食物連鎖が起きて活性が上がり、ナブラなども起きやすくなるわけです。
魚は光を感知できるのか

魚は脳の一部に松果体という組織を持っており、そこで光を感じることができるとされています。
それにより光が当たることでホルモンの分泌、調整がされ、活性が上がったり下がったりするわけです。
しかし魚にも生存本能が備わっているため、それによっても釣れる時間帯がズレてきます。
たとえば、アジやメバルはナイトゲームが釣れるとされています。これは大型青物などの天敵ができる限り活性が低く、暗さで見つかりにくい時間帯を狙って捕食するためといわれています。
魚によって捕食の行動原理が変わってくるので、釣れそうな時間帯を把握しておくと良いでしょう。
さらに釣れるようになるためには

まづめは入門者でもわかりやすく釣行時間の目安になるので、スタートダッシュを決めるにはよいでしょう。
しかし、まづめはあくまで釣れる要素の一つにすぎません。そこに潮汐や魚の習性などを加え、より釣れる時間帯を考えることで、短い時間帯でも好釣果を叩き出すことができるのです。

また、まづめの時間帯にこだわりすぎるのも難点。まづめの時間帯だけが釣れるというわけではないですし、例外的な要素もあります。
例えば、シーバスの場合。シーバスはナイトゲームとまづめが基本の時間帯となります。このことだけ見ると夕方から夜に釣ればよいだろうと思うでしょう。
これ自体は間違った考え方ではないのですが、もし初心者だった場合、少し話は変わってきます。
キャストもまだ不慣れで、海面にルアーを叩きつけてしまうことやライントラブルを起こしてしまう可能性、ラインを結ぶ時間もかかってしまいます。
そうなるとナイトゲームを主体にした時間組は悪手にもなるのです。
そのため、あえて日中の活性がまだ上がりきってない状態でフィールドに入っておけば、まだ周りも明るく、キャストの練習時間も取れます。
自分のスキルや学校や仕事などの時間帯も考慮して、行きやすい時間帯を考えてみましょう。
朝まづめがよいのか、夕まづめがよいのかを考える

魚によって答えが変わりますというのが結論ですが、それでは面白くないので、例として全体的に見れば朝まづめと夕まづめどちらが良いのか考えてみましょう。
まず、魚は種類でいえば昼行性の魚が多いです。なので昼行性の魚を狙うと想定してみます。
その場合、朝のほうが利点がやや多くなります。なぜなら、朝は起きた直後であり、全体的に空腹度が高いと推察できるからです。
また、ルアーや仕掛けなどを見ると、食う食わないを問わず魚はある程度スレます。
人間は昼行性であり、深夜に釣りをする人は基本的には少ないです。つまり、日が上がってから夜にかけて何かしらの釣り仕掛けが投げられている可能性があります。
そのため、昼間見たルアーや仕掛けなどによって魚がスレているかもしれません。それらの要因から、朝まづめのほうが釣れそうと考える人が多いようです。
ただし前述したとおり、これは魚によって変わります。時間帯や地域性、フィールドによっても大きく変わり、ここで解説した考え方はあくまでほんの一例です。
自分のターゲットを知り、フィールドの特性を覚え、同じようにどちらが良いか自分なりの答えを見つけてみましょう。