風は数ある自然的要因の一つ。特に強風となると大抵の釣りでは不利に働くことが多く、ほとんどの釣り人は嫌がるもの。
しかし、風とうまく付き合うことができれば、釣りづらいどころか釣果を伸ばすことも可能なのです。
風の悪影響
まずは、釣り人が風を嫌う要因を整理してみましょう。
キャストがうまくいかない

真っ先に思い浮かぶのが飛距離の問題。ルアーにせよ、エサ釣りにせよ風が強ければ飛距離を稼ぐのが難しくなります。
ある程度の追い風やそよ風程度ならほとんど問題ないのですが、強風になると釣りにならないほど飛ばないこともあります。
横風ならポイントを外しやすくなり、風も計算に入れたキャストが必要になる場面も増えて厄介な問題にもなりかねません。
仕掛けが軽量、風の抵抗を受けやすい大きな仕掛けなどは、特に影響を受けてしまいます。
対策

1番手っ取り早いのは仕掛けを重くすること。これはどんな釣りにもいえることで、大抵の釣りの風対策ではこの方法が取られます。
しかしルアー釣りの場合、ルアー自体の重さを調整しづらいケースが多々あります。トップウォーターにシンカーを付けるわけにもいきませんしね。
そういうときは、弾道が低いキャストが求められます。サイドキャストがその代表例で、風が強いときの対策としてよく用いられます。
ラインが流される

空気に触れる場所にあるラインはどうやっても風の影響を受けてしまいます。
特にPEラインは比重が小さく風の影響も受けやすい弱点があり、繊細な釣りではマイナスに働くこともあります。
ラインが流されるということは海中の仕掛けにも影響します。
ようはラインを引っ張っているのと同じです。それによってルアーが意図しない動きをすることもあります。
また、ラインが流される、つまり糸フケができるということはアタリが取りづらくなる、ライントラブルが発生しやすくなる可能性があるなどの問題もあります。
対策

まずはラインが空中にでている部分をできる限り少なくすること。ロッドを下げたり、座りながらアクションをすることで対策できます。
こうすることでアタリも取りやすくなりますし、風の影響を極力抑えることもできます。
エサ釣りでも同じことがいえて、ラインの張りを維持することはとても重要なポイントとされています。
このようにラインの張りを管理することをラインメンディングと呼びます。
その他の悪影響
直接釣りには関係ないものの、風によって邪魔に感じる要素はいくつかあります。
置いていた荷物が飛ばされそうになったり、海風に体温を奪われて寒くなったり、それによってモチベーションが下がったり。
ラインの結束時も風が邪魔をしてきますので、厄介な要素です。
これらの問題は「荷物が飛ばされないように注意する」、「厚着をする」、「風の中でも結べるように簡単な結束方法を覚えるか、ノッターを利用する」といった、対策が考えられます。
風を利用する
風は不利に働くだけではなく、有利に作用することもあります。
何度も同じ釣り場に行ってデータを取り続けたアングラーは、風速と方向を見ただけで今日の釣り場を絞り、確実な釣果を得ることも可能になります。
ただ、これはフィールドの地形や潮の流れのパターンなども影響してくるので、ここでは一般的に風が釣り人にとって有利に働くことを紹介します。
まずは、追い風。単純に飛距離を稼ぎやすく有利に働くことが多いです。特にルアー釣りでは飛距離はルアーをアピールできる距離を伸ばすことができ、釣果を上げやすいメリットがあります。

だったら向かい風はデメリットしかないのかといえばそうともいい切れません。
風は上潮に影響しやすく、当て潮になりやすい。つまりプランクトンの位置を予想しやすいメリットがあります。
向かい風は軽量リグにとっては不利に働きやすいと前述したため、アジング、メバリングではデメリットばかりになりやすいように思えますが、実際には向かい風はプランクトンを主食とする魚を寄せやすい環境を作ることもあるのです。
まさに「風が吹けば桶屋が儲かる」。向かい風もデメリットだらけではないのです。
同じことが他の釣りにもいえます。ただ、風や潮だけが釣れる要因になるわけではないので、総合的な判断と経験が重要になってきます。
事前に気象情報を確認しておこう

以上のことを踏まえて一度気象情報に目を通してみましょう。
潮汐、風速、風向き、その他釣り場の状況などを考慮に入れると、釣れそうな場所がある程度絞られてきます。
釣りのメモなどを取っておけばなおよし。条件と釣れたルアーをメモしておけば、その釣り場の傾向なども読めてきます。
風を嫌がるだけでなく、風とうまく付き合い、釣果を伸ばしていきましょう。