狙ったタナへ仕掛けを送る。状況に合わせてラインをコントロールする
状況や仕掛けによってガン玉の性質も変わる
なぜガン玉を打つのだろうか。仕掛けを早くなじませるためか? ウキにアタリを出しやすくするためか? 水深を調整するためか? エサ盗りをかわすためか? など、いろいろ言われているが、どれも間違いではない。
しかし、使い方を間違えると、何の意味もなくなってしまうことがある。
例えば、エサ盗りが多いと、早く沈めたいと釣り人なら誰でも考える。だが、よく考えてみよう。早く沈めるためには、どのくらいの重さのオモリを使えばいいのだろうか。
ただ沈めるだけなら3Bもあれば速く沈むが、エサ盗りが多いときは、この中途半端な速さが逆に致命傷になる。
3Bくらいのガン玉だと、マキエの中を沈んでいくとき、目立ってしまい、エサ盗りにツケエを取られてしまう。
エサ盗りの中を突破するには最低でも中通しオモリ2号から3号くらいがいる。このくらいの速さならばエサ盗りよりも早くタナを取ることができる。
このように間違った使い方をすると何の意味もなさないのがガン玉である。しかし、うまく使えば強い味方になる。
ガン玉を打ったときにハリスとの関係はどうだろうか。よほどガン玉に大きさの差がないかぎり、ハリスの沈み方は変わらない。
4号のジンタンを3号や2号に変えたからといって、それほど沈む速さは変わらないのである。また、ハリスの太さによっても沈み方が違うと思われがちだが、これも大差はない。
ただし、仕掛けを沈めて(タナを取る)いくときに、きちんとハリスを張っていないと絡まってしまい、ごちゃごちゃになって沈んでいくので、少し引きながら沈めるようにしてやることだ。
磯際を攻めるときのパターン

磯際狙いの仕掛け図を見ていただきたい。
Aは海面があまりザワついておらず、際から少し離れていてもいいと思うときで、この場合はガン玉を打たない方がよい。
Bは磯際ギリギリを狙うときで、どちらかというと壁に沿わせるようにして釣るときに多用する。
打つガン玉の大きさは、その日の海の状況によって違うが、大きさの同じものを均等に打つようにする。ハリスが短い場合は二段でもいい。
※A・Bともにウキは固定でセットするようにする。
Cはサラシや返しの潮が強くて、磯際に仕掛けがじっとしていないときに使う。AやBだとウキがじゃまになったり、サラシに乗ってしまい磯際にじっとしていない。
このときウキは00~000。00とはマイナスBくらいで、000はマイナス2Bである。一番サラシや波に抵抗を受けやすいウキを沈めることによって、磯際に仕掛けを落ち着かせておく。
なお、ハリスの中にウキを入れる。ハリまでの距離はその日の食い方によって変える。
またハリスを長くしたいときは、道糸とハリスとを直結にして、ウキ止め(シモリ玉)は入れずにおけば、道糸にウキを戻せるので、AやBと同じ仕掛けにすることができる。
通常の流れを攻めるときのパターン

通常の流れを攻めるときはどうするのか(通常の流れの仕掛け図を参照)。
Aの仕掛けを私は一番多く使う。もっとも基本的な私の仕掛けと言える。このときのウキ止めの位置は、水深にもよるが、3~5ヒロにする。
ただし、ハリスの長さは計算に入れない。ハリスは流れに対してオモリを基点にL字になるようにして流すので、スイベルからが水深になる。
しかし、4号のジンタンで5ヒロを沈めるには、そうとう練習しておかないと、なかなかうまく沈んでいかない。
Bは水温が上がってきて、クロの活性が高く、サラシや払い出しが強いときは、ガン玉を三段か四段打つ。あまり強くないときは二段にして、ハリからタナまで何ヒロといったようにして合わせていく。
CはAと同じ考え方だが、Aのときより動きがゆっくりになる。またガン玉を打ったときはハリの位置からタナを数えるようにする。どちらかというと、深いタナを狙うときに使うことが多い。
Dはポイントへダイレクトにツケエを入れたり、深いタナを狙うときに使う。この仕掛けのときは道糸を強めに張りながら流すようにする。タナはスイベルの位置からとる。
本流を攻めるときのパターン

本流を攻めるときの仕掛けは3パターンである。
本流狙いでは打つガン玉が少し大きくなりAが基本。この場合、タナが取れたときにウキの流れの中に入ってしまうことがある。
タナが取れる前にあまり糸を出し過ぎると、ウキがシモってタナが取れなかったり、ウキが道糸に巻きついてしまうので注意が必要だ。
Bは仕掛け全体を流れの中に入れて本流の流れに乗るようにするので、ウキと水中ウキのバランスはあまり差が出ないように、同じ号数がよい。
遊動は1~2ヒロくらいで、あまり深くしないこと。ただし、 ウキによって浮力が違うことがあるので、事前によく調べておくこと。
Cは流れに負けたり、流れから外れないように道糸を張りながら流すパターンで使う。少しずつウキ下を変えて、タナを探っていく。
流れの中に同調しないこともあるので、タナ合わせは1ヒロずつで行う。タナの取り方について注意しておきたいことは、水中ウキや重めのガン玉をスイベルのところに打ったときである。
ハリスにガン玉を打っていなければ、スイベルから何ヒロのところで釣るということを頭に入れておきたい。
この場合、ハリスの長さは考えずにタナを取る。そして、スイベルのところからハリスがL字になる感じで流す。
またハリスにガン玉を打ったときは、ハリスから釣ろうとするタナの深さを計る。このとき は、少し張りを弱くして、潮に乗せて流すようにする。
ちなみに、中通しオモリ1号といった極端に重いオモリを使うときは、そうとう強めに張りながら流すことになるが、流れから外れないように気をつけたい。
いずれにしてもマキエとの同調を常に考えに入れながら、仕掛けに合ったラインコントロールをしなければならない。自分が狙ったところへ仕掛けが届かなければ、釣れるものも釣れなくなってしまうからだ。