
ガン玉の役割はあまりにも多すぎるため、あえて付けないという釣り人が多い。
しかし、厳しい条件が重なる場面では、仕掛け操作を思い通りにするためにも、ガン玉が欠かせなくなる。今こそ使うべきテクニックをご紹介しよう。
仕掛けのトータルバランスを見る。最優先は仕掛けを使いこなすこと
ウキフカセ釣りの仕掛けを構成するパーツは、ハリ、糸、ウキの3点が基本なのだろうが、チヌ仕掛けは底を狙うことを踏まえてガン玉(オモリ)も入る。つまり、魚を釣りやすくする手段、それがガン玉の役目である。
もちろんガン玉なしで釣りをすることもあるが、この場合も考え方としては必要ないから付けないのではなく、外す必要があるので外した、という意味合いだ。
いずれにしろガン玉は、釣り方を補うという点では使い方に変わりはないと思う。
この大変便利で、かつ、とってもやっかいな代物を、自分の味方にして使いこなすか、見当違いで敵に回すのか。使い方次第では、いかようにも変化するものであり、自分の釣り方に合った使い方を要求される「絶対」のない世界なのだ。
チヌ釣りにおけるガン玉は、クロ釣りのそれとほとんど同じ使い方をする。サイズや位置、またはその数など目に見える部分で違う面や、例外的なものもあるが、ガン玉の使用目的は同じである。
しかし、これはチヌとクロを同じやり方で釣るという意味ではないので誤解のないように。
現在、チヌ釣りほど多くの釣り方があるものも少なく、例えばウキ一つをとってもさまざまなバリエーションが考えられるし、スイカやサナギなど使用するエサによる違いからも、その使い方は数限りない。
そこで、本記事では、釣り方はウキフカセ釣り、場所は磯もしくは堤防、エサは主流となっているオキアミという設定で話を進めたい。
ガン玉の目的を端的に言うと、魚を釣りやすくするための手段であることは先に書いた通りで、その使用法を大きく分けると、仕掛けのなじみ、安定、ウキ浮力の微調整などが挙げられる。
ここでいうなじみとは、潮になじませる、つまり潮に合わせるということで、安定とは、風や波、潮流などの諸条件の中で狙ったポイントに仕掛けを安定させるとの意味でとっていただきたい。
まず考えるエサ盗りの有無

磯際を狙う場合、エサ盗りの有無が作る仕掛けを大きく左右する。
特に磯際はそのエサ盗りの種類、数とも沖めのポイントを上まわり、厳しい状況を強いられる場合が多い。
このような場合のガン玉の打ち方としては、いち早く仕掛けを狙うタナまで落とすことを考え、ハリ上40~50㎝のところに2B、ときには3Bクラスのものを付ける。
さらにウキ下20㎝くらいのところにウキのブレ防止や仕掛けの安定をはかる目的でBクラスのものを打つ(その他には付けない2点打ちにすることが多い)。
またこのとき、狙うタナが竿の長さ以上になる場合は、なるべくウキに近い位置に打ち、水深が深くなるにつれて重いものにしている。
そしてハリスに付けるガン玉の方は、ハリスを太くすれば重いものを、細くすれば軽いものをというように水中でなじみを考えて使い分けている。
見た目にはとても不格好な仕掛けだが、エサ盗りの多い磯際を狙うときは、ハリから一つめのガン玉まで距離を他のポイントを攻めるときよりも短く取れるようにする。
これによりツケエがエサ盗りの層を高確率で通過するし、仕掛けを磯際に止めておきやすくなる。
また、このエサ盗りの層を通過させるというのには、ガン玉の動きだけでなく、マキエの量はもちろんのこと、マキエと仕掛けの投入のタイミングなども大きく影響してくる。
魚の食いに対しては、食い込みが悪いようであれば、ハリ上に付けたガン玉の方を上に移動させ、それに見合う分だけのタナを下げ、加えて、ハリのサイズや種類の交換などで対応し、極力ガン玉のサイズは替えないようにしている。

それよりもさらにエサ盗りが厳しい磯際を攻めなくてはならない状態であれば、ハリ上に付けたガン玉のサイズを上げるのではなく、追加していく形を取る。
ハリ上1mくらいまでの間に打つガン玉は、その上に付けたものより遥かに魚の食いがデリケートになる。
しかし、ここで、あえて40~50㎝のところに打つというのは、磯際で釣るということ、そしてエサ盗りが多いという2点の要素が重なり合った場合のみで、それ以外ではこの間にあまり大きいサイズのガン玉を打つことはない。
状況が厳しいときは、仕掛けの安定を優先させる
エサ盗りが少ない場合は、仕掛けの安定を優先する。
潮流れの速さや波の高さなどによっても異なるが、通常はハリ上1ヒロのところからウキまでの間で、同サイズのものか、上下のバランスを考えて二段打ちするパターンから始めることが多い。
特に磯際のような限られたスペースを攻める場合には、仕掛けを長く磯際のポイントに留まらせておけるようにとの考えから、風や潮流、またはその他の条件で、仕掛けをポイントから外されないようにすることを第一としている。
二段打ちにするガン玉のバランスは、上下同じものか、下の方が大きなサイズのものとなる。
潮流れが比較的速いときなどは、下のガン玉のサイズを大きいものにし、仕掛けの重心を下げ安定させている。
上のガン玉は波の上下などによるウキのブレ防止や、ウキ浮力の微調整をする役割をしている。
したがって上のガン玉は、下のガン玉より大きなサイズを付けることがほとんどなく、そのようなときはウキ自体を交換するようにしている。
仕掛けの組み立ては3パターンから始まる
通常の流れの中を釣る場合のガン玉は、上からウキのブレ防止兼ウキ浮力の微調整に一つ。仕掛け自体の重心となるもの(なじみの手助けをするもの)で一つ。そしてハリスのフケを調整するものが一つと計三つのガン玉で仕掛けを組み立てる。
この場合、ハリスのフケを調整するガン玉がこの仕掛けの中では一番移動や交換の多いガン玉で、特に中層を狙った釣りでは大変重要な役割を果たす。
潮流の速いときにはなじみを考え、このガン玉の位置を下げ、そのときにツケエの位置が下がったと思われる分だけウキ下を浅くする。
潮流の緩いときには、逆にハリスのフケを大きく取るため、このガン玉の位置を上げてやり、その分、ウキ下を深くしてやるという具合で、エサ盗りの有無でも同じような動かし方をする。
エサが取られる場合は、前者のようにガン玉を下げてタナを上げてやり、エサも取られずアタリもないという場合は後者のような動かし方をすればよい。
以上のようにガン玉というのは、それ自体でも大きな仕事をするが、ただ単にガン玉の取りつけ取り外し、移動や交換だけでは対応として不十分な場合が多く、前述したようにウキ下の上下プラスガン玉の移動とか、ハリの交換プラスガン玉のサイズ変えなど、トータルな面での使い方をしてこそ、大きな力を発揮するものである。