水温が下がると体力のない小型は物陰に身を潜め、活発にエサを追うのは良型ばかりとなる。寒グレが絶好のシーズンといわれる所以だ。同時に、この時期は記録更新のチャンスともいえる。
1㎝でも大きいグレを釣りたければ今をおいて他にはない。準備万端整えて、いざ出陣だ!
大型が期待できる釣り場を選ぶ

グレの良型は条件が整ったところにしか生息しない。いくら頑張っても、いないところで釣ることはできない。
グレとチヌという魚の決定的な違いの一つに、良型の生息場所がある。チヌは大型になっても人間の生活圏の近くにすむ。したがって、40〜50㎝クラスでも比較的大都市の近くでも釣れる。
しかし、グレはそうはいかない。小型ならチヌと同じく漁港や河口で釣れるが、30㎝を超えるとそういうところにはほぼいない。グレという魚は小型と大型とでは生息条件が異なるのだ。
いや、事情は少し違う。言い方を変えよう。大半の魚はグレと同じく、小型と大型とでは好む条件が違うものなのだ。しかし、チヌやスズキ、ボラなどは大型になっても漁港や河口の周辺を好む。
つまり、チヌやスズキのような感覚でいると、グレの良型は期待できないことになる。では、どんなところならグレの大型は期待できるのか……ということになる。

外洋に面した荒磯で、水深があり、潮通しが良いところというのがその答えであり、有名なグレ釣り場はすべてそういう条件を満たしている。
逆の言い方をするなら、それ以外の釣り場ではあまり期待できないと思ってよい。
最終的には、それなりの経費をかけて遠くへ行く……それが大グレを釣るための第一歩となる。
水深があり潮通しが良いという条件は、大型を釣るための大きな要素でもある。水深があっても潮通しが悪ければ、グレそのものの活性が上がらないし、大型の狙い撃ちが難しくなる。
潮通しがよくても水深がなければ、大型が潜む可能性は非常に少なくなる。
大型のタナは深いと思うべし

魚は小型ほど浮きやすく、大型はなかなか浮いてこない。大型を釣りたければ深ダナを探った方が確率は高い。
最近ではめったにお目にかかれなくなったが、時合を迎えるとグレがマキエを追って湧くことがある。
入れ食いする絶好のチャンスだが、往々にしてそういう場合、ハリに掛かるグレは小・中型がメインになる。大型が浮くことはほとんどない。理由は、強い警戒心にある。
グレが成長するスピードは諸説あるが、40㎝まで大きくなるのに8〜9年かかるといわれている。
厳しい自然環境の中でその年月を生き延びるには、いくつもの修羅場をくぐり抜けているはずであり、当然のことながら警戒心は十分養われている。
エサがあるからというだけの理由で簡単には浮上しない。現代は、自然界にエサが少ない時代ではない。
昔は確かにそうだったが、たくさんの釣り人が大量のマキエを投入するようになり、今では底で待っていれば余ったエサが高い確率で沈んでくる。あえて危険な思いをする必要はないのだ。
したがって、より大きいグレを釣りたいと思えば、少しでも深いタナを流した方が確率は高い。経験としてこのことを知っているベテランは多い。
しかし、深ダナを釣るには別の難しさがあり、深ダナを釣ったことによる難しさもある。以下、その点を解説しよう。

当たり前のことだが、深ダナを釣ろうと思えばツケエをそこまで送り届けなければならない。カゴ釣りでない限り、ツケエをガードするものはなく、水面から深ダナまで無防備の状態が続く。
エサ盗りが多ければその距離は持たない。5mならなんとか持っても、10mはまず維持できない。
つまり、エサ盗りが多ければ深ダナを釣るのは難しいということになる。今の時期はエサ盗りが少ないとはいえ、ゼロというわけではない。
特に、大グレが期待できる釣り場は九州南部、または対馬暖流の影響を受けるエリアであり、エサ盗りの被害はバカにできない。
したがって、深ダナを釣るならエサ盗りの少ないエリアを攻めるのが定番になる。マキエワークでかわすのは不可能ではないが、分かりやすいのは遠投することだ。
30mでツケエが持たなければ40m、それでもダメなら50mと距離をどんどん延ばしていく。

深ダナを釣ったことによる難しさの説明に移る。
ここまで深ダナという用語で通して来たが、少しだけ触れておこう。小・中型がウキ下3ヒロで食っていれば、4ヒロ、もしくは5ヒロにすることでより型のよいグレがヒットする確率が高くなる。
そういう意味での「深ダナ」というわけなのだが、より深いところを釣った結果、ヒットポイントは底根に近くなる。
するとどうなるか? ハリ掛かり直後のグレは底根に突進する。その距離が短いと根に張りつく可能性が高く、それを避けるには太い仕掛けで強引にグレの頭を上に向けないといけない。
特に、ハリ掛かり直後の対応が大切で、のんびりしているとすぐ張りつかれてしまうので注意だ。
