
電動リールは数ある釣りのタックルの中でも進化が著しいと言えるでしょう。機械的な部分よりもIC関連の技術的進歩の方が速いため、目に見える変化が大きいように思えます。
一番大きな変化は小型化でしょう。ICチップの小型化により、それを集積する基盤はもちろんのこと、それらを内蔵するボディも大幅に小さく、そして軽くなっています。
ひと昔前まで、電動リールといえば大きくて重いため、船ベリにタックルを固定するエサ釣りで使うというイメージが強かったですが、近年の小型・軽量化されたものは、通常のベイトリールと比べても遜色ありません。

この小型・軽量化により、ルアーフィッシングにも電動リールが浸透するようになってきました。
タックルを手持ちして、さまざまなアクションを与えるルアーフィッシングでは、軽量化というのはロッドやリールの開発において避けることのできない重要な問題です。それゆえルアーフィッシングでは軽量な手巻きのリールが長年好まれてきましたが、電動リールがここまで小型・軽量化されれば導入するアングラーが増えるのも自然な流れです。
電動リールのメリット
ルアーフィッシングで電動化の波を最初に受け入れたのはタイラバでしょう。
もともとタイラバはアクションを入れずに、ひたすらラインを定速で巻き続けるというのが基本です。この動作は電動リールが最も得意とするところで、指1本の簡単な操作で、好みのスピードの定速巻き上げが可能になります。
またヒットしたスピードを再現することも簡単です。感覚に頼ることなく、液晶パネルに示されていた数値と同じスピードで巻き上げればよいのです。初心者でもヒット状況の再現性が非常に高くなります。

タイラバでは水深100m前後のポイントを探ることも少なくはありません。ドテラ流しであればラインは150m程度放出されることもあります。そうなるとラインの回収時にはかなりの労力を要することになります。電動リールのありがたみを実感できる瞬間です。
「はい、回収してください」のアナウンスに必死でハンドルを回す必要はないのです。指1本で高速でルアーは手元に戻ってきます。
正確性やスピードだけでなく、パワーの強さも機械ならではです。大物が掛かった場合もポンピングで寄せるのではなく、ロッドの角度を一定に保ったまま巻き上げが可能です。
正直言って、悔しいですがタイラバにおいては電動リールを導入することにメリットは多数あれ、デメリットというのは見つかりません。
あとは好みの問題です。あくまでも機械に頼らず自らの手で魚を釣り上げることに面白さを感じる人も多いでしょう。車でもオートマ全盛の今、マニュアル車を選ぶ人もいるように、リールも断然手巻きがよいという人がいても不思議ではありません。しかし少しでも楽をしたいのならば電動リールを使わない手はないでしょう。

しかし釣果の面で電動リールが圧倒的に勝ることもあります。
最近流行りの電動ジギングですが、電動ならでは速い巻き上げが釣果に繋がる場面も多いようです。人の手では再現できないモーターの圧倒的スピードにしかターゲットが反応しない状況もあるということです。
圧倒的な釣果の差を見せつけられたら、手巻き派のアングラーも電動リールに傾いてしまうのも仕方ないでしょう。
基本的な使い方
使い方は解説するまでもありません。皆が想像の通り、レバーを指で倒す(回す)だけです。機種によってはジョグダイヤルとなっているものもあります。レバーは任意のポジションで止まるので、好みの巻きスピードの位置になったら、後は指を離していてもリールが勝手にラインを巻き取ってくれます。

現場での使い方はとても簡単ですが、最初のセットアップは必要になります。多くの場合は新しいラインを巻くときに行います。必要なのは0設定です。この設定を行うことで、ラインが何m放出されているかが、液晶パネルに正しく表示されるようになります。
機種によって異なりますが、巻き取りはラインの残り5mほどで自動でストップするように初期設定されています。ルアーの巻き込みによるロッドの破損を防ぐためです。最後の取り込みは手巻きでするというのが一般的です。しかし、これも設定によって変更可能です。ラインを巻き取り、仕掛けが丁度手元にくるときにストップするようにすることもできます。
その他にも正確な水深を知るために、ルアーが海面にあるときを0に設定するなど、IC内蔵ならではの便利機能も多く搭載されています。
その他のリールの基本的な機能は手巻きのものと同じです。ドラグやメカニカルブレーキの設定は正しく行う必要があります。
