チヌ(クロダイ)のアタリが続かないときの食わせ技

「アタリが続かない」。それは1尾仕留めたという証拠でもありますが、釣り人の欲はそれだけじゃ収まらないのは皆も同じでしょう。結果的に苦労した1尾であったとしても、竿を出している最中に1尾で満足して竿を置く人は少なく、次の一投でくるのでは? と竿を振るものです。次の獲物を得るために、いろいろと策を講じてみましょう。

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そもそも論

「アタリが続かないというか、そもそも1尾しか居なかったんだよ」というのが正論ではないのか? ……いやいや「1尾釣れたあとの処理が悪かったからだ」という可能性もあります。

前者については、もうポイントを移動する以外の方法がないので、ここでは後者の意見を採用し、1尾釣れた後にどうすれば良かったのかを、理論的に考えてみましょう。

群れを留めるマキエ

チヌ釣り指南書を見ると、チヌを掛けてやり取り中にもマキエを撒くと書かれています。その意味を深く読むとチヌの行動パターンが見えてきます。

掛けた後にマキエを打つ意味を文字にすると「魚を散らさないため」となります。

これを深く読むと、「マキエに寄ってきたチヌは複数居る」ということになるのです。これは、チヌはツガイ(雌雄複数)で行動しているとされているからです。

もちろん全てのチヌがそうであるわけではなく、ある程度のサイズになるとそのパターンが多いということです。

手のひらサイズのチヌと年無しが一緒に釣れるというのはあまりないので、子孫を残すことができる大人の群れということになります。逆に子どもばかりの群れも夏から秋には多く見られます。

手始めとして、この魚を掛けた後のマキエを欠かさないように行いましょう。

間を置かない

これは留めるマキエにも関連することでありますが、釣り上げた後、モタモタせずスグに次の仕掛けを投じるということです。

しかし、釣り上げた魚を磯にほったらかしにしてというのはもちろんダメです。タイドプールがあればそこでもいいですが、無い場合はきちんと魚を扱うことです。

そのためには、事前準備が必要です。釣り終わるまで生かしておきたい場合は、ストリンガーやライブウェルを、釣り開始時に準備しておきましょう。

持ち帰る場合はエラと尾の付け根を切り、海水を入れた水汲みバケツなどに頭から入れ、血抜きを行っておくとよいでしょう。

ただし忘れると乾燥して傷んでしまうので注意です。また、海鳥も目を光らせていますので、注意しておきましょう。

マキエはきちんと混ざっているか

暑い夏もそうだが、寒い冬も同様にマキエを混ぜるのは大変です。

夏場は水分が蒸発するためマキエが乾燥してしまい、知らないうちに海中での流れ方が変わっている場合があります。

だから、釣り最中でもマゼラーなどをバッカンにセットしておき、たまに混ぜる必要があるのです。

冬期は寒さとマキエの冷たさから、混ぜ方が雑になりがち。バッカンの上の方はいいですが、減るほど粉が残っていたり、オキアミが偏って混ざっていることもあります。

夏季同様、釣りながらたまにマゼラーで混ぜるようにしましょう。

釣れたときの条件を再現するためには、釣れたときと同じ状態のマキエ(比重)を保つことも大切なのです。

流れが変わっていないか

釣れたときの流れと、次の仕掛けを投入したとき、流れが変わっているというのはよくあることです。ここで、「流れが変わったね」で終わらせてはいけません。

確かに流れの良し悪しはあり、魚が自分のポイントに寄ってくる瞬間はありますが、マキエが効いているのであれば、流れが180度変わった瞬間に魚が居なくなるわけではないからです。

まずは冷静に流れの向きや速さを判断し、底に溜まっていたであろうマキエがどうなったかを考えてみましょう。

もし流れてしまったのであれば、チヌが食うポイントが少し移動したかもしれません。

しかし、ここから再度ポイントを作り直すには時間が掛かり今居るであろうチヌは居なくなってしまうため、取り急ぎの策として、マキエをバラけさせて打ち、広範囲へ効くように撒いてみましょう。

バラケさせて打ったマキエは塊として撒いたマキエに比べて沈下が速いので、仕掛けの投入点にも注意しましょう。

ウキの流れ方が同じ場合でも、二枚潮になっている可能性があります。マキエの沈下方向、仕掛け回収時の仕掛けが上がってくる方向や抵抗などに気を付けて観察しましょう。

タナは合っているか

「チヌはマキエに浮く」と耳にしたことがあるでしょう。マキエを続けて撒いていると、底付近を遊泳していたチヌが、遠巻きにではありますが徐々にマキエにつられて浅いタナまで寄ってくることがあります。特に活性が高いシーズンに見られますが、冬期でも条件が良ければ浮いてくることもあります。

逆に潮が変わったなどした場合は、冷たい潮が入ってくることもあるため、タナが下がることも考えられます。2尾目が釣れない場合は、タナを5㎝刻みくらいで変えてみましょう。

できれば浅くする方から先に試すと良いです。チヌは上から落ちてくるものによく反応するからです。

天気は変わっていないか

魚は気圧の変動にも敏感に反応します。一般的に晴れの日は高気圧で、悪いほど低気圧となります。

ルアー釣りでは常識とされていて、気圧が低いとプランクトンなどが浮き、それをエサとする小魚、さらに小魚をエサとするフィッシュイーターまでもが浮いてきます。だから釣れ(釣り)やすくなるという理論です。もちろん実績もあります。

これはチヌにも当てはまることで、全ての魚の活性に関係しています。極論を言えば、気圧の変動で魚の活性が決まると言っていいでしょう。

この点ではウキフカセ釣りは有利で、マキエを撒くことにより食い気のない魚がエサを求めるように仕向けることができます。

だから、急に天気が変わった場合は、活性の高低、タナの変化も変わっているかもしれないと知っておきましょう。

もう一つ、急な天気の変動に左右されるのが光の量。今まで乱反射しなかったハリスが、光量が多くなったり、角度が変わったため、チヌから見ると光っているかもしれません。

また、ハリも同様になっているかもしれないのです。

対応策として、沈め釣りに切り替えて仕掛けの角度をできるだけ浅くしたり、ハリを反射しない赤や黒色、オキアミカラーに変更してみましょう。

ハリスがヨレていないか

細ハリスを使用するチヌ釣りでは、比較的ハリスが柔軟なのでヨレやクセに気付きにくいものです。確認のためにも、巻きグセを直す要領でハリスを手で伸ばしてみましょう。

また、その際はキンクやキズもチェックすること。ある場合は必ず交換しましょう。

ハリスは元のままか

ハリを飲まれてしまった場合、一旦切ってハリだけ結び直すのが通常でしょう。普通はこれで問題ないですが、ほんの10㎝切っただけでも、タナはもちろん仕掛けの流れ方が変わることがあります。

仕掛けの流れ方が変われば当然狙っているタナも変わり、ツケエの安定度も違ってくるということです。だから、釣れたときと同じ仕掛けでも、流れ方が違うから釣れる状態を再現できていないことになります。

ハリの結び目

釣れたときのハリをそのまま使っているのなら、結び目がズレている可能性もあります。一旦大きな力が加わっているのだから、結び目は締まり込んでいるはずです。

チモトが曲がっていないか、結び目が回っていないか確認しましょう。

ついでに、滅多にないですが、ハリが伸びてしまうこともあるのでチェックしましょう。細軸のハリを使っている場合が特にそうで、よく見るとふところが開いていることがあります。

風が強くなった

風が強くなると道糸が取られてしまい、軽い仕掛けだと仕掛けが思うように入っていかなくなります。

とりあえずの対応策は、ガン玉追加でできますが、強風ともなるとサスペンドラインや重い仕掛け変更を余儀なくされます。

ウキフカセ釣りでは風が大敵であるため、安易な対策は無意味となりやすいです。時間をロスしてでも思い切った仕掛けの変更が大切で、大変ですが吉と出やすいです。

ツケエに変化はあるか

マキエで活性が上がっている場合は、マキエに入っているオキアミを拾っていることが考えられます。つまり、ツケエのオキアミを選んでくれていない可能性もあるのです。

全くツケエが取られない場合は、ツケエを小さくしたり、オキアミの殻を剥いてムキミにしてみましょう。頭だけ数珠掛けにしても効果があります。

ツケエがかじられたり無くなる場合は、ハリが隠れるよう丁寧に装餌しましょう。警戒心を薄めることで、一気に食ってくることもあります。

ツケエのローテーションもおすすめ。特に食いやすさを優先させて、フラつきの少ない安定して流れる練りエサもいいでしょう。安定感とアピールを高くできるオキアミ2匹の抱き合わせも試してみましょう。

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足元に居ないか

エサ盗りが居るなら、エサ盗り用と本命用のマキエを打ち分けているはず。

釣れたのは本命用のマキエ付近でも、本命用マキエに寄ってきた個体だとはかぎりません。本命用とエサ盗り用のマキエを行ったり来たりしていたり、たまたま後から打ったマキエに寄ってきている可能性もあります。

事実、沖の本命用のマキエで釣れず、たまたま足元を狙ってみたら入れ食いになったというパターンも珍しくありません。チヌはこぼれたマキエに付くこともありますので、釣れない場合は必ず足元も試しておきたいですね。

さらに、エサ盗り用に足元に撒いているからといって、足元にチヌが居るとは限りません。マキエが流れて溜まった場所も要チェック。

チヌフカセ釣り

基本的なミスもチェック

基本/ウキ止め

ズレていないか、ゆるくなっていないか。ウキ止め自体が無くなっていたということもありえます。ハリスを利用してなるほどウキ止めで結んでいる場合は、ヒゲ部分がヘタってしまいウキを通過していないかチェックしましょう。

基本/ガン玉

小さなガン玉を使っていた場合、やり取り中に飛んでしまうことがよくあります。特にゴム張りのガン玉を使っている場合に多いので、有無と位置を再確認しましょう。

基本/ウキの破損

やり取り中、ウキを磯にぶつけてしまった場合、凹んだり欠けることがあります。木製のウキの場合は海水が染み込んで浮力が変わってしまうことも。念のためチェックしましょう。

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基本/ツケエ

突然アタリがあって釣れた場合、その一投のツケエの付け方など覚えていないかもしれません。

覚えていれば同じようにやれば良いのですが、忘れてしまった場合は、装餌方法を色々と試してみましょう。

もし練りエサで釣れたのであれば、量の増減を繊細に試してみるといいでしょう。練りエサは溶けながら流れるため、食ったときにどれくらいハリに残っていたのかは分かりません。

ハリに少量残っていても魚は食ってきますので、大きめからハリに沿わせるくらいまでの量を試してみましょう。

結論

机上の理論を繰り広げたところで、見えない海中は想像の世界であって、そもそも的確な解決策は出てきません。

それでも釣り人はあがき、次の1尾を手にしたいという欲求が先に立つのです。何事もそうですが、諦めなければ良いだけなのです。

すぐに心が折れることがないよう、常に探究心を忘れないこと。魚との戦いに終わりが無いことを覚えておきましょう。

よく釣る人には2種類あり、一つはポイントを熟知した人。もう一つは竿を振り続ける人です。もちろん、ただ振るだけではダメ。消去法で引き出しの中を一つ一つ試していきましょう。

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