絶対バラさないための太仕掛けスキルアップ論

小型ばかりでも太仕掛けで通す

より大型を欲するのは釣り人として当然のことだ。まして、大型のみを相手にする場合、仕掛けは太いものが基本になる。とはいえ、釣り人のスキルや地形と大きく関わっている以上、具体的にハリス○号と明記するのは難しい。

それに、太いハリスでは食わせづらいという事実がある。50㎝オーバーの尾長グレを狙う場合、昔はハリス5号でも食っていたが、平均して警戒心が強まっている現在、昼間にハリス5号では食わないエリアが増えている。そのため、まず食わせることを優先して2〜2.5号を使うベテランが増えている。

明らかに不利な条件からスタートして、その中でなんとか取り込もうと努力する姿勢がさらなるスキルアップにつながる。

とはいえ、ビギナーにとって2号は無謀といってよい。せめて3号はほしいところだ。それを起点にトータルバランスを考えたのが図の仕掛けになる。そして、時合が訪れたときはハリス4号にすればいいだろう。

もちろん、3号で何度もバラし、どうしても取れないときは3.5〜4号にすればいい。もっとも、その結果、アタリがなくなれば意味がない。それに、3号を3.5号にしたところで、バラしていた魚が急に取り込めるようになるわけでもない。

ハリスの号数をアップするのは釣り人の精神的な支えをしっかりさせるという意味が強いのだが、取り込みの技術に関してはあとに譲ろう。ここでは仕掛けの選定が本題だ。

釣り人がしばしば陥るのが、小型しかアタらないとついハリスを落としてしまうことだ。1尾や2尾なら我慢できても、5尾、6尾、さらに10尾、11尾と続くと、ここにはこのサイズしかいないと諦めてしまいがちになる。すると、2号竿、3号ハリスが大げさに思えてくる。

使い慣れた1号竿、1.5号ハリスが魅力的に見えるのはそんなときだ。竿は軽いし、道糸が細いからさばきやすい。30㎝のグレでも竿は大きく曲がり、十分魚の引きを楽しめる。

そんなとき、大型がガツンとアタるとまったく対応できず、アッという間にバラしてしまう。慌てて太仕掛けに戻してもあとの祭り。バラした大型が仲間を引き連れて遠ざかってしまっている。そういうケースが実に多い。

今日は大型狙い一本と決めたら最後まで貫き通す。これが悔やまない方法で、対応できる(はずの)仕掛けを使っていてバラしたのなら諦めもつく。だが、細くした仕掛けに大型がヒットしてバラしたら大いに後悔する。

前述したように、深場で食わせると底根に近いため一気に引き離す必要がある。軟らかい竿と細いハリスではそれは不可能に近い。太仕掛けでも油断すると底根に貼りつかれるのだ。現実は生やさしくはない。

最終的に大型が食わなかったとしても、困ることは特にない。重たい竿を振り回して疲れるのと、小型が食っても竿が曲がらない程度だろうか。

ただ、深場を流すと根掛かりすることがある。そんなときはメンテが欠かせない。ハリ先はもとよりハリの結び目、ハリスのキズは必ずチェックする必要がある。強引に引き切った場合は道糸のキズも見ておいた方がいいだろう。

大型とのやり取りはギリギリの状態でやるものだ。1カ所でも仕掛けに弱点があると間違いなくそこでやられる。したがって、チェックする場合は細心の注意が必要だ。これくらいならとか、もう一流しこのままでとか、そんな甘い考えでいるときに限って大型がヒットするものだ。キズが見つかればすぐ修復する。これも大切だ。

尾長の引きは一味も二味も違う

尾長は口太の大型と考えてはいけない。仮に同じサイズだとしても、取り込みははるかに難しいと思ってよい。

ここまで、単に大型とだけ表記してきたが、イメージとしては口太の50㎝クラスと思えばいいだろう。しかし、グレの大型を対象とする以上、尾長を抜きにしては語れない。60㎝を超えるグレといえばなんといっても尾長であり、グレ釣り師の夢でもあるのだが、残念ながら釣り場が非常に限られる。そこで、この特集では軽く触れる程度にとどめておくことを断っておこう。

改めていうまでもなく、尾長という魚は、同じグレとはいえ口太とはいくつかの点で異なっている。誌面が限られているから必要な部分しか解説しないが、釣りをする上で最も重要なのは歯にある。口太の歯はブラシ状で、それがハリスに与える影響は少ない。

だが、尾長のそれは鋭く、ハリを飲み込まれると歯が直接ハリスに当たり、切れる確率が高くなる。

そのため、尾長の取り込みは非常に難しく、やり取りに当たっては次の4点に注意しなくてはならない。

①できるだけハリを飲み込ませない。
②飲み込まれてもいいように軸の長いハリを使う。
③同じく、チモトにダイニーマなどの超高強力繊維を使用する。
④飲み込まれたときは手早く取り込む。

注意しなくてはならないと書いたものの、これは簡単ではない。①は早アワセにつながり、ハリ掛かりしない確率が高くなる。②は活性が高い場合に限定される。活性が低いと食い込みが悪く、エサを突つくだけで離すことが多い。

ツケエの動きを妨げない③は食いが非常にいい。だが、かなり手間がかかり、この方法を採用している釣り人は少ない。

④が難しいのは誰でも分かるだろう。大型は手早く取り込めるものではないのだ。

仮にハリを飲み込まれなかったとしても、尾長の取り込みにはもう一つ大きな問題がある。一般に、口太は水面まで浮かせて空気を吸わせると抵抗力を一気に失う。抵抗したとしてもパワーを失い、その後はささやかな動きしか見せない。

一方、尾長はそういうわけにはいかない。空気を吸っても一向にパワーは衰えず、隙あらば突っ込もうとする。そのため、タモ入れを失敗した直後は最大の危機を迎えることになる。竿は片手でしか保持してないから、大型に突っ込まれると耐えきれず、そのままノサれてしまうのだ。このケースで泣いた釣り人の数は計り知れない。

尾長といえば夜釣りで磯際を釣るものと相場が決まっていたが、最近はその傾向が薄れつつある。日中でも夜間でも流れの中で食うことが実証され、かえって際釣りよりもアタリが多いケースが増えている。

といって、際釣りが全面的に否定されたわけではない。昼間でも条件が合えば磯際でヒットするし、もちろん夜釣りでもアタる可能性は高い。とりあえずは、両面作戦で考えておくべきだろう。

小型に食わせて取り込み技を磨く

取り込む技術を高めるには経験が一番。だが、近年は大型が減り、なかなか経験する機会に恵まれない。

大型の取り込みは理論よりも経験が大きくものをいう。どんなにたくさんの釣り雑誌を読むよりも、どんなに多くの名手の話を聞くよりも、たった一度の大型の引きを体験した方がはるかに身につくことは間違いない。

大型の引きがどれだけ強いかを自分で体験すると、硬い竿、太いハリスの必要性が思い知らされ、キズのチェックが念入りになる。同時に、どのように竿を操作すれば魚を浮かせることができるかが分かるようになる。こうしてはいけないということも学ぶ。

全国的に知られている名手はすべてこうして大型の取り込み技術を身に着けてきた。

ところが、近年、大型に遭遇する確率は極端に減ってきている。大型を釣りたければ、経費と時間をかけて少しでも可能性が高い釣り場に行くしかないというのが現実だ。それが難しい一般の釣り人にとって、大型との遭遇は年に数えるほどしかない。その結果、大型の引きにはいつまで経っても慣れることはなく、取り込みの技術は一向に身につかない。そういう境遇にあるビギナーにおすすめしたいのが、小型の魚を細仕掛けで取り込むというエクササイズだ。磯では難しいが、ボラを釣ってトレーニングするのもいいだろう。

細仕掛けの程度は1号以下と解釈してほしい。できれば0.6号、せいぜい0.8号のハリスを使う。目指すのは次の二つだ。

  • どこまで竿を曲げれば切れるかを確認する。
  • 切れないようにやり取りする。

大型の経験がないとハリスが切れる限界、竿が折れる限界が分からない。たとえ限界を知っていたとしても、大型とのやり取りの最中に瞬間的に判断できるものでないといけないのだ。

当然のことながら、バラしても惜しくない魚でないとこのような実験はできない。ボラ釣りの話をしたのはそれが理由で、小型のグレもその部類に入る。

0.6号ハリスがどこで切れるかが分かれば、次は切れる寸前で絞るのをやめる。このとき、ただ竿を立てたままで耐えればいいのか、それとも送らないといけないかの判断をする。

失敗して切れればまた食わせればいい。何度も繰り返すことで経験値を上げ、それとともに技術はアップすると思えばいい。

竿を絞り、絞るのを止め、あるいは送り、また絞る。それを繰り返して魚を浮かせることに成功すれば、次の1尾に挑む。考えて動くのではなく、勝手に体が動くようになれば、間違いなく取り込み技術は上がっているはずだ。

あとは経験あるのみ。結果を楽しみに待つとしよう。健闘を祈る。

タイトルとURLをコピーしました