夢のデカバン! 自然のエサを大きく装餌すると確率アップ

伝説の70㎝オーバーからツケエのヒントを得よう

2002年6月に福岡県糸島・船越で70㎝を超えるチヌが釣れました。当時を覚えているチヌ釣り師も少なくはないでしょう。

では、そのときのエサがイワシだったことは知っているでしょうか? サビキ釣りに掛かった小さなイワシでスズキを釣ろうとしたものです。

もちろん、一つの事例だけで「デカバンを釣るならイワシ」と決めつけるのはあまりにも気が早いです。しかし、大きなヒントが隠されているような気がしますね。

デカバンは高齢者です。だから、速い流れや急激な水温変化を苦手としています。実は、高齢者という事実からは、それ以外にもさまざまな要素が読み取れるのです。

一般に、チヌの生態は30〜50㎝の中型を標準としています(50㎝を中型と呼ぶと異論があるかもしれませんが……)。それ以下のメイタも、それ以上のデカバンもその範疇には入っていません。つまり、「一般のチヌ」のラチ外にあるのです。

それがなにを意味するかというと、いわゆるチヌの習性はデカバンには当てはまらないことになります。これはツケエについても言えます。チヌはなんでも食べる悪食家として知られており、スイカやサナギも食べます。

だが、そんな「際物」をデカバンが食う確率は低いのです。まったく釣れないことはないのでしょうが、これまでロクマルを釣ったことのある釣り人から得た情報では大半がオキアミで、他はジンガサ、カニ、ダンゴが少々という程度にすぎません。

もっとも、この統計の結果はあまり当てになりません。エサ盗りが気にならない状況で100人の釣り人がいたとしたら、90人以上はオキアミを使っています。オキアミを食ったロクマルがメインになるのは当然のことです。

それを踏まえた上で、警戒心の強いデカバンは日頃食べ慣れた自然のエサしか口にしないのではないかという推論が成り立ちます。

イワシに話を戻すと、実は他にもチヌのエサとしてのイワシは実績があります。

かつて長崎県西海橋下での船釣りではイワシエサが定番でした。また、瀬戸内海ではイワシの群れを追うチヌが目撃され、表層を引いたルアーに連続してヒットしたといいます。

つまり、チヌは日常的にイワシを食べているわけで(もちろん、時期にもよりますが)、糸島のナナマルがイワシにアタったのは決してフロックではなかったということです。現にルアーでチヌを釣るチニングでよく使われてるルアーにはポッパーやペンシルもありますしね。

ただし、生きているイワシ(カタクチ)を入手するのは難しいです。どこでも売っているわけではありません。チャンスがあればという程度にとどめておきましょう。

標準としてはオキアミ、ムキミといった冷凍エサがメインで、ムシ類、シャコ、カニなどの生きエサがそれに次ぎます。

いずれも大きいサイズをたっぷり装餌する。「大エサに大物」という格言に従うとデカバンがヒットする確率は高くなります。ただ、大きいエサにハリだけを小さくするとハリ掛かりしづらくなります。この点は要注意です。

いわゆるチヌの習性には当てはまらない

干底一発値千金。

かつて我が社の釣り雑誌、釣ファンの主幹を務めていた若松敬竿さんがこんな言葉を残しています。干底(ひぞこ)とは最干潮の意味で、潮は動かず、水位はいっぱいまで下がった状態を指します。この時間帯は釣り人が最も戦意をなくすときです。しかし、チヌ釣りというジャンルを確立させた稀代の名手である敬竿さんは、その干底こそが千金の値を持つと断言しました。

その真意は潮の動き始めにあります。潮変わりに時合を迎えることは多くの釣り人が認めています。だが、さすがに干底での潮変わりに集中する釣り人は多くありません。潮が引けば大半の魚は沖の深みに移動し、そこらには小さな魚しか残っていない—そう考えるのも無理はありません。

しかし、釣り人には感知できない上げ潮はすでに底の方で動き始めており、大型の魚はいち早くそれを察知して活動を始めます。小物はまだ動き始めておらず、アタったとしたらデカバンである確率は非常に高い。これが「値千金」の意味になります。

デカバンは既存の観念では計算できないという一つの例で、他にもこれが当てはまるケースはあります。

過去の実績に捕われすぎると先入観を持つ結果となり、新しい発想ができなくなる可能性があるのです。干底は釣れないという先入観に捕われていたら、敬竿さんのような発想はできなかったでしょう。

一般的なチヌの習性とは?

いわゆるチヌの習性とは中型を対象としています。それはイコール群れを形成しているチヌと言い換えてもいいでしょう。別の見方をするなら、デカバンは1匹狼として行動しており、群れで行動する中型とは異なる習性を持っていることになります。

一つの例として、誘いがあります。好奇心が強いチヌにツケエをアピールするには、誘いは非常に有効な手段といえます。誘いをかけると、かけなかった場合に比べてアタリが出る確率は二倍以上にもなるといわれています。

しかし、それは群れを作る中型に限った話です。行動力が旺盛な中型は興味を引かれるとどこまでも追いかけます。一方、高齢のデカバンはエサが目の前から遠ざかっても追いかけようとしません。警戒心が強いことに加え、動きが少ないためそれほどエサを必要としないのです。

アワセが超々遅アワセなのはいうまでもありません。これは群れを作る・作らないに関係ありません。ただし、エサを飲み込んで走り出すまで、用心深いデカバンは平均して時間がかかります。ウキの動きは非常に緩やかで、根掛かりしたかのような沈み方をします。

ウキが見えなくなっても、エサを完全に飲み込んで走り出すまでたっぷり時間がかかることを予想しておきましょう。

もう一つ付け加えておくと、デカバンが走り始めたとき、軽々しくアワせてはいけません。パワーとスピードが乗った時点で竿を立てるとアワセ切れする可能性が高いのです。

何度も繰り返しているように、ロクマルに関するデータはまだまだ少ないのです。新しいデータを追加するのは、デカバンハンターの皆さんなのです。

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