基本的なウキの形状
ウキの形状を大きく分類すると、球体がベースになったものと棒(円柱体)がベースになったものの2種類となります。
球体のウキには玉ウキ、円錐ウキ・ドングリウキがあり、ラグビーボールのような水平ウキもその派生形。
棒状のウキは総じて棒ウキと称されていますが、球体にトップ(細い棒状のパーツ)が取り付けられたもののように、両者の中間的なウキもあります。

たとえばフカセ釣りなら一般的に用いられているウキは、円錐ウキまたは棒ウキ。
特別な機能が付加されたウキとしては、夜釣りに対応したケミホタルをセットできるタイプや電気ウキ、マキエを入れるカゴと一体となった種類があります。
同じウキ釣りでも向き不向きがあるので、釣種によってウキのチョイスをする必要があります。
円錐ウキ
円錐ウキの分類

上部が膨れているタイプのウキをドングリ型、逆に下部が膨れているタイプのウキを円錐型(通称・涙型)と区別して呼ぶこともありますが、現在はこれらを総称して円錐ウキと呼ぶのが一般的です。
ちなみに上部がフラットにカットされているウキはソロバン型として分類されます。
一見すると同じような形状の円錐ウキでも、道糸が内部を通る構造となっている中通しタイプと、環(ウキの下部に取り付けられた金属製の輪)というパーツの中に道糸を通す環付きタイプがあるので、それぞれの特徴を知った上で上手に使いこなしましょう。
円錐ウキの長所と短所

円錐ウキの最大のメリットは潮乗りが良いことで、流していく釣りを容易に行えること。また仕掛けをシンプルにすることができるため投入時の糸絡みが少なく、強風時でもキャストしやすいです。
波やウネリがある場合でもタナをキープしやすいことから、常用している釣り人も少なくありません。
デメリットとしては高浮力の設定では感度が落ちること。また遠投すると視認性が悪くなり、目視では小さなアタリを取りづらくなってしまう点も弱点と言えるでしょう。
円錐ウキの選び方

円錐ウキを選ぶ上で検討すべき要素としては、大きさ、形状(デザイン)、重心、糸落ちの良し悪し、カラーがあります。
大きさ(重さ)に関しては、大きいほど遠投向きで、小さければ高感度というのが基本的な考え方。
デザインに関しては、わずかな力でも傾く(高感度の)ドングリ型に対し、円錐型は安定性に優れている傾向があり、ソロバン型は視認性の高さを目指しているものと解釈できます。

ソロバン型はウキが傾いている向きによって視認性が異なることから、仕掛けが引かれている方向を確認しやすい(沖へ引かれているときはよく見える)ですが、仕掛けを回収するときに抵抗がやや大きいことがデメリットとして挙げられます。
円錐ウキの重心は、ウエイトが取り付けられている位置がウキの上部なのか底部なのかで決定されます。
ウキから下の仕掛けが引っ張られたときに、ウキが傾きやすいのが高重心の特徴で、低重心のウキは安定した飛行姿勢で遠投性能に優れます。

環付きウキは道糸との接点が小さいことから、圧倒的に糸落ちが良いです。
また道糸をウキの手前から海中に入れることができるため、風や波、ウネリなどの影響を受けづらいことも大きなメリットだと言えます。ただし投入時に絡みやすい点には注意を払わなければなりません。

中通しウキの糸落ちの良し悪しは、搭載されたパイプの材質や穴径の大きさに左右されます。
糸落ちが良ければ確実に仕掛けを入れることができる反面、ウキ止めを付けない場合では目視でアタリを取りづらいケースもあります。どのような仕掛けを組むかで最適な糸落ちがあります。
シモリ玉なしでもウキ止め糸が止まる機能を持たせるなど、各メーカーのこだわりが詰まっているのがパイプです。
外見では分からない部分ですが、しっかりとその特性を理解して、ウキの持つ実力を発揮させたいです。

円錐ウキのヘッドのカラーに関しては天候にかかわらず見やすいオレンジ系とイエロー系が定番で、中でもオレンジ系の人気が高いです。
一方で、ウキストッパーなどの仕掛けパーツに関しては、海中で目立つイエローの支持率が高くなっています。
水平ウキ・ななめウキ

水平ウキが円錐ウキと異なる点は、文字通り水平の状態で海面に浮かぶこと。道糸が糸穴の入り口(ウキの頂点)で折れ曲がる形となる円錐ウキに対し、水平ウキでは竿先から糸穴の出口までが真っすぐな状態で使用されます。
大きな糸穴を備えている水平ウキはウキ止めなしで使用することが前提となっていて、マイナス浮力の水平ウキは潮が通す釣り場におけるグレ釣りで威力を発揮します。

海面に浮かべて使用する場合も、アタリがあれば道糸の抵抗により海中に入るので、初心者でも十分に使いこなせるでしょう。
糸抜けが良いことから飛ばしウキとしての実績が高く、小型棒ウキ(アタリウキ)との組み合わせは浅ダナ攻略に有効な手段となっています。
棒ウキ

チヌ釣りで人気の棒ウキは感度の低下を気にせず浮力を設定でき、重たい仕掛けにも対応可能です。
細くて長いトップの目盛りを活用することで小さなアタリを捉えやすく、遠投時の視認性が高い点でも優れています。
海中に入っているウキのボディ全体で潮流を受けられることも有利な点で、強風の中でも狙った潮筋を外しにくいです。
遊動式の仕掛けで使用する棒ウキは環付きタイプで、道糸が海中でウキと接していることがラインメンディングのしやすさというメリットを生じさせます。
棒ウキには内蔵されたオモリで立つ自立タイプと、仕掛けにセットしたオモリで立てる非自立タイプの2種類があります。
自立タイプの棒ウキは遠投性能が高く、ウキが素早く立つのが特徴。一方の非自立タイプは感度に優れ、ツケエの有無さえも把握できます。
ただし非自立タイプの棒ウキは遠投するのが難しく、ウネリが入っているとウキが立ちにくいです。
注意すべき点は仕掛け絡み。棒ウキが仕掛けに絡まないようにするためには、ウキストッパーの位置はオモリの位置からウキの長さ分以上離すこと。
小型棒ウキ

小型の棒ウキは高い感度と円錐ウキのような使い勝手を両立し、なおかつトップを交換することで状況にマッチしたセッティングができます。
チヌ釣りでもグレ釣りでも使い勝手が良いことから根強い人気を誇ります。
ゴム管で仕掛けにセットする小型の棒ウキは、ノベ竿を使ったウキ釣りのほか、フカセ釣りでは元ウキよりも先にセットすることで、繊細な変化を捉えるアタリウキとして活用できます。
電気ウキ

ボディの内部に電池を入れて、LEDを光らせることができるのが電気ウキ。円錐ウキタイプや棒ウキタイプの電気ウキがあり、日中の釣りと同様の仕掛けを組むことができます。
混雑した釣り場では、隣の釣り人のウキと見間違えないよう、発光色を変えられる電気ウキが便利です。
化学発光体(ケミホタルなど)を装着するためのホールがあるウキも夜釣りに使用可能。発光体にはサイズがあるので、ウキにマッチした規格の発光体を選ばなければなりません。
水中ウキ

マイナスの浮力(海中に沈む)を持つ水中ウキは、円錐ウキや棒ウキとの組み合わせで使います。中層から底層の潮流を捉えることを主な目的としたアイテムで、二枚潮の攻略に有効です。
しっかりとタナを取りたい場面や、ウキを安定させたい場面でも活躍してくれます。

メインの円錐ウキ(親ウキ)の浮力よりも重たい水中ウキを組み合わせれば、仕掛け全体に張りを持たせた状態をキープしつつ、沈め釣りを展開することができます。
この攻め方はターゲットがどの層にいるか判断が難しいケースで試してみる価値があるでしょう。